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つられて夜中にバターごはんを食べたわたし

どんなに食に対して神経質で鈍感すぎてもやっぱりおなかは空く。

いろいろと落ち込むようなことがつづき、気がついたら最後の投稿から2カ月も経っていた。それでも短歌づくりは続けていて、1月から数えて100首を越え、今月から某同人誌にわたしの作品が掲載される。この長いコロナ禍の冬、わたしを支えてくれたのは、まぎれもなく短歌だった。そしてきょう、短歌にハマるきっかけとなった歌人・穂村弘のエッセイ集を再び開いてみることにした。

本人は美食家でもなければ、料理が上手なわけでもない。食べることに対して執拗にまで神経質、はたまた鈍感すぎる。ほむほむの信じられない食生活や味音痴ぶりに「え?」と目が点になることもしばしば。それなのに、だんだんとおなかが空いてくるから不思議だ。夜10時半ころから読み始め、半分読み終えた0時ころには、おなかがぐーぐーと鳴りはじめる始末である。※この辺りの感想は、あとがきの本上まなみさんと意見が違います。

そんなわけでわたしは途中で読むのを中断し、王道アカン飯「バターごはん」をおよそ20年ぶりに食べ(たぶん、数日前にNetflixで見た「深夜食堂」にバターごはんが登場したせいだと思う)、最終的に冷蔵庫からビールを取り出してしまった。こんな夜中に。でも金曜日だし、まあいいか。なんとなく、布団の中で菓子パンを食べてしまうほむほむにちょっと近づけた気がして、ついにやけてしまう。野菜食べなきゃとか、発酵食を摂らなきゃとか、そういうことをどうでもいいやと感じさせてしまう、このひとはいったいなんなのだろう。

お皿の裏を洗わない……というほむほむ。奥さんがこっそり全部洗い直していたことを突然知ることになるのだが、それを読んで自分の記憶を重ね合わせてしまった。以前うちに通っていた男性が、ごはんを食べると毎回洗いものをしてくれていたのだが、たいていは食べかすや油が残っていたりしていて、彼が帰ったあとにもう一度洗っていたことを思い出したのだ。そういう男性は案外多いのでしょうから、どうぞご安心ください、ほむほむ。ちなみに、わたしも温かいごはんに冷たいカレーが好きだぞ。

君がいない夜のごはん
穂村弘/著
文藝春秋、2011年/刊


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