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読唇術ができるんです。

語学を深く学んだことにより、思わぬ新たな能力が開花したことのひとつに「読唇術」がある。

耳が不自由な方々の読話や口話というものに比べれば、私のそれは比較にもならないのだが、単語や簡単な一文なら結構分かってしまうようになっていた。

語学を学ぶ上で、相手の口の動きを必死で凝視しながらリスニングにスピーキングと喰らいついた経験や訓練が、読唇術という思わぬ能力として私に身についていた。それは知らぬ間にではあるが、母国語でも第二言語でも可能になっていたのだ。おそらく、語学を学ぶ方々の中には隠れ能力のひとつとして、裏定説として、実は私も出来るという方も多数いることかと思っている。


ささやかな私の読唇術の能力に気づいたのは、テレビを観ている時に音声にならない部分の会話がふと分かることに気づいたことだ。それ以来、その音声にならない部分まで、私が頼まれてもいないのに追加すると、私のその能力に家人がみな大変驚いた。毎度驚いてくれるので、調子に乗って何度か繰り返すうちに、なんだかスパイみたいだと私の能力を気味悪がるようになってしまい、現在はその技を封印しつつある。

ささやかなことでも、自分にとって新たな能力を体得するということは嬉しいことだ。何かに挑戦することは、達成しようとすることの他に、思いもよらぬ副産物や副作用があることを知ったのだった。

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