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こころの艦隊

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記事一覧

植物の根

植物の根

植物の根には、花も実もことごとく含まれているではありませんか。最初に道徳があり、事業はその後にあるのであります。後者を前者に先立ててはなりません。内村鑑三「二宮尊徳」『代表的日本人』鈴木範久訳 岩波文庫

静かな暮らし

静かな暮らし

ほど狭しといへども、夜臥(ふ)す床あり、昼居る座あり。一身を宿すに、不足なし。(中略)ことを知り、世を知れれば、願わず、走らず。ただ、静かなるを望みとし、愁へ無きを楽しみとす。鴨長明『方丈記』角川ソフィア文庫

狭いとはいっても、夜に寝床があり、昼に座っている場所がある。ひとりで暮らすには十分だヨ。ものの道理が分かるようになり、世の中のありようを知ったならば、無理なことを望ます、あくせくしないこと

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人と自然

人と自然

船でも建物でも、造った本人が一番簡単にばらすものだが、同様に人間の場合でも、接合し作ってくれた自然が一番上手に分解する。キケロー『老年について』中務哲郎訳 岩波文庫

サステイナブルな考え方

サステイナブルな考え方

目先のことだけを考える者は、春に植えて秋に実るものをもなお遠いといって植えない。ただ目の前の利益に迷って、蒔かないで取り、植えないで刈り取ることばかりに目をつける。それゆえ貧窮する。
蒔かないで取り、植えないで刈り取るものは、目の前に利益があるようだが、一度取れば二度刈ることはできない。蒔いて取り、植えて刈る者は、年々尽きることがない。ゆえに無尽蔵というのだ。二宮尊徳「二宮翁夜話」『日本の名著 二

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ご飯にありつく方法

ご飯にありつく方法

ひもじいときに、よその家へ行って、「どうか一飯めぐんでください。そうすれば私は庭をはきましょう」と言っても、一飯をふるまってくれる者はない。空腹をがまんしてまず庭をはけば、あるいは一飯にありつくこともあろう。これは、おのれを捨てて人にしたがう道であって、物事すべてがうまくゆかなくなったようなときにも可能な道だ。二宮尊徳「二宮翁夜話」『日本の名著 二宮尊徳』中央公論社

狸

狸は夜半よく小屋へいたずらに来た。戸をほとほとと叩くので、出てみるとたいてい誰もいない。外の木かげなどにかくれて見ていると、戸のところに逆立ちして尻尾でたたいているものだそうである。

一番こまるのは夜半のいたずらで、イロリの火でもきえると小屋の中へはいって来て顔を前脚でなぜまわしたり、舐めたり、時には胸の上に上ったりする。宮本常一「世間師(1)」『忘れられた日本人』岩波文庫

明治時代の山の暮ら

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こども

こども

子どもが歩き始めるのにふさわしい時期はいつでしょうか?
子どもが歩き始める頃です。

子どもの歯はいつごろ生えるのがよいのでしょうか?
子どもの歯が生える頃です。赤ちゃんは何時間くらい眠るのがよいのでしょうか?
赤ちゃんが必要とする睡眠時間だけです。ヤヌシュ・コルチャック『コルチャック先生のいのちの言葉』津崎哲雄訳 明石書店

photo credit: titanium22 via photop

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風まかせ

風まかせ

焚(た)くほどは 風がもて来る 落葉かな良寛『良寛 旅と人生』松本一壽編 角川ソフィア文庫

私が庵で燃やして煮炊きするくらいは、風が吹くたびに運んでくれる落ち葉で十分に間に合うことだ。だから私にとっては、この山中での暮らしは物に乏しくとも満ち足りていることよ。(解説:松本一壽)

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表だけの発達

表だけの発達

「どこの国でも表が表だけに発達すると、裏も裏相応に発達するだろうからな。—なに国ばかりじゃない個人でもそうだ」夏目漱石『虞美人草』新潮文庫

「ひとは見た目が九割」とか言うけれど、みてくれだけの発達はどこかむなしい。奇抜なデザインよりも、心を込めてカードを送ろう。

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しずかにすごす

しずかにすごす

思ふべし、人の身にやむことを得ずして営む所、第一に食ふ物、第二に着る物、第三に居る所なり。人間の大事、この三つには過ぎず。餓えず、寒からず、風雨に侵されずして、閑(しず)かに過すを楽しびとす。兼好『徒然草』第123段

何か食べるものがあって、雨に濡れる心配がない。それで家の中でしずかに過ごすことができたらいいじゃないか。

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欲の魔法

欲の魔法

欲無ければ一切足り
求むる有れば万事窮す無欲一切足
有求万事窮良寛『良寛 旅と人生』松本一壽編 角川ソフィア文庫

欲を持たなければすべて満ち足りる。
あれもこれもと欲ばるから困ったことになる。

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いきがい

いきがい

生き甲斐(がい)とは、考えてみれば、与えられた所与としての生命を手段として、己れがこの手段を捧げて悔いない目的を自ら見出さなければ決して生じはしないものではなかろうか。
今道友信『美について』講談社現代新書

今日、いちにち分の命を使って何をしよう。

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天地に委ねる

天地に委ねる

天というものは実に恩恵の深いもので、人間を助けよう助けようとばかり思っている。それだからもしわれわれがこの身を天と地とに委(ゆだ)ねて天の法則に従っていったならば、われわれは欲せずといえども天がわれわれを助けてくれる。内村鑑三『後生への最大遺物』岩波文庫

上は内村鑑三が講演において二宮尊徳の思想を要約して述べたくだり。

今日を生きる

今日を生きる

鉄鉢(てつぱつ)に 明日の米あり 夕涼み里の家を回って施しを受けるこの鉄の鉢に、明日の朝煮るお粥のぶんだけの米はある。これで安心だ。この夕暮れ時の涼しさをゆっくりと楽しもう(解説:松本一壽)

良寛『良寛 旅と人生』松本一壽編 角川ソフィア文庫

昨日は近所の小学校に投票に行った。夜は速報番組がにぎやかだったようだ。むかしから選挙結果にはいつも失望していたので、そうした番組は観ない。

ふたご座流

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