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[モバイル&サウンド85]〜バグルズ/イエス/エイジアを渡り歩いたジェフ・ダウンズ1

今回の[モバイル&サウンド]は、バグルス、イエス、エイジアと渡り歩いたジェフ・ダウンズの「キーボード・サウンド・ヒストリー」。

これはもう。。。圧巻のキーボード・サウンド&ミュージアムの様相。。。

ただし。。。「そのサウンドはアルバムのプロデューサーが誰なのか」によって。。。かなり違うって印象がある。ジェフがプレイしているエイジアやイエスのそういう存在の比重が高くないって感じるライブ・アルバムのサウンドだと。。。物足りないって思えたり。。。

なので、ジェフのキーボードについて詳しく触れる前に、まずはスタジオ・アルバムのプロデューサーとのコラボ・サウンドがどういうものかを探ってみる。


バグルスとトレヴァー・ホーン

ジェフ・ダウンズがメジャー・ポップ・シーン登場したのは1979年。。。「ラジオスターの悲劇」のヒットを飛ばしたバグルスのキーボードとして。

この曲が1981年開始のMTVの1曲目だったってのは、よく言われるエピソード。

ただし、開始直後のMTVはマイナーなチャンネルに過ぎず、アメリカではバグルスは全然売れてなかった。。。とジェフはインタビューで語っている。その後のバンド遍歴を見れば、納得!?


この曲の入っているアルバムのメイン・プロデュースは、もちろんボーカル/ベースでもあるトレバー・ホーン。後に超売れっ子プロデューサーになる。

彼らは既にそれなりのキャリアを積んでいて、バグルスで初めてデビューしたってわけはないらしい。

曲のタイトルが時代の先駆者的なイメージを誘うけど。。。落ち着いて聞いてみると、ドラムとベースはフツー!?な音(所々にエレドラが入ってるけど。。。)だし、ジェフの機材が他のプログレ系と比べて尖ってるってことでもない。

とはいえ、トレヴァーの過激にイコライジングしたボーカルやキャッチーな女性コーラス、いくつもの印象的なキーボードのフレーズ等。。。アレンジがスゴく凝っている。


イエスとヒュー・パジャム

そのポップ・ユニットが。。。メンバーの脱退で混沌としていたイエスに加入して、いきなりプログレ・フィールドに。。。

実際のところは、マネージメントが同じで、レコーディング・スタジオも同じ。。。というような繋がりから発展したっていう経緯。

バグルス+イエスな1980年リリースの「ドラマ」ってアルバムは、プログレ界隈!?では色々と言われているけど。。。個人的にはイエスの中でも非常に気に入っているアルバム。

このアルバムには・・・80年代のジェネシス、ピーター・ガブリエル、フィル・コリンズ、ポリス、ケイト・ブッシュ等にも関わっているプロデューサー/エンジニアのヒュー・パジャムの名前がある。

それぞれが輪郭のくっきりした、あるいはパンチのある、あるいは重量感のあるサウンドで、それらはこのアルバムの曲にも感じられる。

アルバムのオープニング曲"Mashine Messiah"は、キーボードが随所で大活躍している。


・20秒あたりからの「ふーん」って音程が上下/定位が左右に動く+ギターとのユニゾンフレーズ

・バグルスっぽいシンセで始まる1分25秒あたりのボーカル・パート

・2分8秒ぐらいからのオルガン〜シンセの流れ

・3分15秒あたりからのシンセのオーケストラっぽいフレーズ

・3分55秒あたりからのモーグ・ソロ

・5分5秒あたりからのアクセントのあるピアノ〜メロトロン〜繊細なシンセ・サウンドへ

・8分30秒あたりからのオルガン+シンセ・サウンド

等。。。非常にスリリングなキーボード・アレンジが施されている。


エイジアとマイク・ストーン

バグルス+イエスは。。。トレヴァー・ホーンのライブでのボーカルの力量不足などから、あっという間に空中分解して。。。その後に結成されたのがエイジア。

1982年発売のファースト・アルバムは、誰も予測してなかっただろうけど。。。全米年間アルバム・チャート1位を記録。

この"Daylight"は。。。それに続く1983年リリースのセカンド・アルバム「アルファ」には入ってなかったけど、ライブでは度々演奏されてたシングルのB面の曲。後に、ボーナス・トラックで追加されたりしている。

とにかく、特に初期のエイジアのサウンドは、アリーナでコンサートを見るような。。。スケール感のあるサウンドが売り。

荘厳なパイプ・オルガンで始まる曲の。。。「タタタター🎶」ってサビのピアノ(1番だと42秒あたりあから)って、「ラジオスター・・・」の歌始まりと共通するようなフレージングだけど、曲全体のサウンドの味付け、スケール感が全く違う。

2分過ぎからのマルチ・レイヤーな分厚いシンセをバックにしたソロも聴きどころの一つ。

プロデューサーはマイク・ストーンで、クイーンのボヘミアン・ラプソディの入ってる「オペラ座の夜」や「A Day at the Races」ではエンジニア、「どんどん・ぱーん!」のリアルな足踏みサウンドの「We Will Rock You」や「We Are The Champions」の入ってる「News Of The World」ではクイーンと共同プロデュースをしたという経歴の人物。

他には。。。超ヘヴィなギター&ドラム・サウンドのジャーニーのアルバム「フロンティアーズ」、大ヒットしたシングル「ヒア・アイ・ゴー・アゲイン」の入ってるホワイトスネイクのアルバムも彼のプロデュース。

そう聞くと。。。なるほど、どれもゴージャスなサウンドで、クイーンはコーラス、エイジアはシンセの「レイヤー」がサウンドの要にもなっている。


個人的には。。。「プログレッシブ」って。。。何も曲だけじゃなくて、レコーディング機材の進化とか。。。ってのもあるわけで、カナダのスタジオで録音された音源がこういうアリーナ・サウンドになるって。。。エイジアのアルバム・サウンドは。。。1970年代とは違った意味で「プログレッシブ」なロックだと思ってる。


続編はこちら。


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