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頂き女子 Ser②【社会構造と人間心理】

あるホストクラブにて、、、

僕は極度に緊張をしながらその時を迎えていた。



『こんばんはー!ヘルプのジセおじGAMIと言います。まだ入店したばかりの新人でわからないことが多いですが、少しの時間を楽しく過ごして頂けるように頑張ります。よろしくお願い致します!!』

「はぁ・・・(溜息)」

『お名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか?』

「・・・ねぇ、ツバサ(指名のホスト)はいつ来るの?」

『本日はお店が混んでいるみたいで、ツバサさんもご指名が被っていて、、、もう少しで戻られると思うので、お待ち頂けませんか。」

「・・・」


・・・前回の最後の方で、少しだけホストを経験したお話をしましたが、コミュニケーション能力のない20代前半~中頃にかけての当時の僕だとこんな会話しかできていなかったと思います笑

にしても20年近く前の当時のホストの世界って、最初の入店した時の祝い金はありましたが、時給保証が数時間しかついてなかったり、完全成果報酬制度だったので、当時の僕のように会話力とか、コミュニケーション能力がない(顔も良くない笑)とあの世界では絶望的でした。。。

結局、バンドマンの知り合いの指名客のテーブルに呼ばれた時に一緒に盛り上がったりする位しかできなくて、後はトイレ掃除、食器洗い、路上に出てキャッチと、ホント大したホストらしい仕事をしたことがなく、その世界を去りました、、、苦笑

が正直それで良かったなと今では思っています!

当時はLINEとかもなかったので、メールで支配人のツバサさん(仮名)と連絡を取っていましたが、当時得た面白知識として、ツバサさんは連絡帳の読み仮名を「アアア」でいれており、

ジセおじGAMI『何でツバサさんは読み仮名アアアでいれているんですか?』

と僕が聞くと、、、

ツバサ「連絡帳を開いた時、1番上に出るからだよ!」

ジセおじGAMI『へぇーなるほど!!』

ツバサ「ザイオンス効果といって、電話帳開ける度に何度も俺の名前を繰り返し相手に見せることで、思い出してもらう方法さ!」

と言っていました!笑

ザイオンス効果とは、特定の人物や物事に何度も繰り返し接触することで、好感度や評価が高まっていくという心理的傾向を表す言葉 で、 アメリカの心理学者ロバート・ザイオンスによって1968年に発表されたものです。

なるほど・・・心理学的にも色々考えていて、やっぱりホストって人の行動真理とかしっかり学んでいないと昇りつめることなんてできないよなって、思い知らされた一件でした。

その後、僕は良くライブを見に来てくれていたお客様の一人から働いている六本木のサパークラブの人が足りないし、一緒に働いたら楽しそうだから良かったら少しの間だけでも働かないか?と言われ、丁度その時にPVつきのCDを出して75万円の借金があったので、返すまで頑張ろうと思い、働くことを決意しました。

サパークラブって何?って言う方もいらっしゃると思うので、簡単に説明すると、『ガールズバーの男Ver、、、ボーイズバー』と言いましょうか笑 
お店の営業時間も24時OPEN~翌朝6時CLOSEみたいな営業体制でした。

なんというか、お金持ちが来ることが多い場所で、ファンになってくれたらチップを頂けることもあったりしました。主に接客する相手は男の人というか、キャバクラ・ラウンジ・クラブなどのアフターでお金持ちの男性のお客様が女性を一緒に連れて来て朝まで飲んでいかれることが多かった印象です。

みんなで盛り上がることが主体のお仕事だったので、ホストみたいに厳しくなかったり、ちゃんとお金も時給制で頂けていたので、それなりに楽しく、当時は接客だけでなく裏方の料理作りやお酒作りもさせて頂け、こちらはホスト違いとても良い経験になったなと自分の中では思います!


話は過去語りになってしまいましたが・・・
本題はここからで、夜の世界は日本の社会構造がそのまま表れており、さらに言えば『頂き女子』みたいなものが現れた背景って、社会構造+人間のある行動真理によるものが大きいのではないかと思っています。


日本の社会構造

僕は日本の以前から根付いているものって、、、

受験して良い学校に入って
良い学校を出て、良い会社に入って
お金が安定して貰え、安心安全の中、結婚して

結婚したら、子供を産み、家族を作り
男性が働き、女性が子育てをするのが当たり前
女性は結婚して子供を産むと、社会から離れるのが一般的だから
女性に重要な仕事を与えないようにしよう。給料も男性を多くしよう。

こんな考え、多分僕らのこどもの頃は当たり前にあったし、未だに、なお男女平等とか言いながらもそういう思想から来る、日本の社会構造ってあると思います。

これの何が問題かと言うと、結婚していようがしてなかろうが、社会構造として男性の方が給料が高い。女性の方が給料が低い。社会的に立場の低い状態にさらされているということです。

2022年度調査 労働政策研究・研修機構のデータ

当然、男性でも社会人になったばかりの時は給料も安く、手取りで15万円行かないような会社も未だに存在しています。(物価はこんなにも上がっているのにです・・・)

それが学歴も高くない女性だったらなおのこと、社会に出たら低賃金で働かせる会社は案外多いと思います。そういう状態を心のどこかで分かっているのか、若い女性達は学生時代から夜職をアルバイトでして稼いでいる人も現代少なくないのかなと考えます。


さらに言えば、学歴がある程度あり、ある程度の企業に入った男性は年齢と共に給料だったりボーナスが上がっていきます。今や幻想と言われ始めている、「年功序列」というヤツですね。

長年その企業に在籍すればするほど仕事の成果云々関係なしに給料が上がるシステムです。

実はある程度年齢を重ねた正社員の男性が給料が上がる仕組みって、元々結婚して子供が出来、家族を養わなければならないから、その分(妻が働けなくなり、子供の生活費もかかる)の上乗せで会社が出してくれるという意味もあったのだと思います。

だから結婚していない独り身の男性でも勿論年齢を重ねれば給与が上がるのですが、家族もいなくてお金のかかる趣味もなければ、お金は貯まりますよね。

そこで、そういう男性をターゲットにした商売が所謂、夜職だと言われることもあります。

お金の持っている男性が若い女性にお金を使う。そしてその女性もおじさん達の相手をして疲弊して、癒しを求めにホストにお金を使う。それが、今回の『頂きりりちゃん』こと渡辺被告が犯罪を犯してしまった一つの社会構造
↓↓↓

そしてホストがどこにお金を使っているかと言うと、お店に主に借金返済や自己を飾る投資にお金を使っている印象があるので、儲かっているのが金融会社だったりクレジット会社、またブランド業界と言われています。
また売掛により回収できなかったお金を自分で建て替えないといけないので、逆にお金がなくなってしまうという人もいます。

お金の流れとしてはこんな感じでしょうか・・・

今回の渡辺被告(25)は自分よりも二倍以上年上の50代男性から3,850万円、もう一人の50代男性から1億1千万円だまし取ったと言われていますが、ホストの田中容疑者(26)にも毎月800万以上貢いでいたとも言われています。

おじさんが若い女性にお金を使ってしまう
また
若い女性がホストにお金を使ってしまう

といったことは自分のコントロールの効く範囲で誰にも迷惑をかけないでやるのならそれは構わないと思いますが、

結局、「サンクコスト効果」と呼ばれるお金と労力をかけたのだから将来のリターンがあるまではお金をかけ続けようという状態になり、歯止めが利かなく借金を背負ってしまったり、

また「頂き女子マニュアル」にも書いてあった、お金を先に求めず、助けると自ら言わせる、所謂「ソクラテス・ストラテジー」と言われる方法をとっていて「サンクコスト効果」をさらに助長させてしまったり、

結局は一度どっぷり浸かってしまうと、自分の意思の力だけでその状態から逃れることって難しいのかなと思います。


さらに言えば、「頂き女子マニュアル」が3万円で凡そ1,000人の女性に売れたというお話で考えることって、

人間の『適応的無意識』という
人は「人生に役立つかどうか」で無意識LVで情報を取捨選択していて

人生という無理ゲーを少しでも攻略できそうな情報にフォーカスする心理があり、「頂き女子マニュアル」はそういった無意識LVの欲求に強く訴えかけていたので、1,000人も購入者がいたのだと推測できます。


頂き女子の報道を見て、日本の世の中は未だにそういった社会構造の中に成り立っていて、また欲望を刺激するような心理的な仕掛けだったり、本能的に行動を助長するような仕掛けが沢山あるなと思いました。

犯罪は確かに悪いことですし、罪は償う必要はあると思います。ただ、何でそんなことを起こしてしまったのか、自分も同じ立場に置かれたらそう考えてしまうような何かが働いていないか、色々と考えていく必要があると思います。

自己責任と言われる今の時代だからこそ、一つ一つのことや出来事に深く思考していき、しっかり考え、自分なりの考えを持っていきたいですね!

あとがき

今回も前回の続きで、「頂き女子」事件から考える、日本の社会構造だったり、人の行動真理のお話をしてきましたが、いかがだったでしょうか?

勿論、こういう事件などから、色々と考えを巡らせると、辛い世の中だなぁとかネガティブな部分ばかり見えて来てしまいますが、ネガティブな部分の方がインパクトが強いのでそう思うだけですし、ニュースになることも大抵はネガティブのことが多いです。

だからこそネガティブに触れてばかりいると、人間ってどんどんネガティブな方向に傾いていくと思いますので、逆に次の3回目では「頂き女子」事件から見るポジティブな側面に光を当てて考えていきたいと思います!

今日もここまで見て頂きありがとうございます!!


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