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リング

柳さんと見た!
1〜2年以内に一回見たはずなのにオチ以外ほとんど覚えていなかった。
最近真田広之が出ていると知って、えっ?出てたっけ?なんの役?と思うくらいには記憶がない。メインキャラクターだったのに……
今回はそんな真田広之にノックアウトされた。

最近ジャパニーズホラーをB級映画しか見ていなかったので数多の感動があった。

ホラー論について全然詳しくないのでめちゃくちゃ勘でものをいうんだけど、リング以前とリング以降だとホラーの質が変わったんじゃないかな。
そう思ったくらいおそらくリングの影響を感じさせるような怖い描写を今までたくさん見てきた。

パラノーマル・アクティビティでも思ったけど、余計なCGを使っていないと視聴中のノイズが減るのでかなり嬉しい気持ちになる。
CGに関しては映画が公開された年が1998年だったというもの大きいと思うけど。

ストーリーが一瞬たりとも目が離せないくらい目まぐるしく進んでいく。
呪殺のタイムリミットが迫っていく中で文献をあたって、見たビデオにいつどこの誰が写っているのかを解明するターンは謎解きとして見ていてワクワクした。98年の映画なので図書館に行くしかなく、なんの資料を探すにも手間がかかるのでそりゃ玲子も大学で教鞭をとっていて幻視ができて霊感もある異能持ちの元夫に頼るよ……このシチュエーションでこんなに心強い人はいない。
そして謎を解いた結果辿り着いた山村志津子も明らかにモデル(御船千鶴子)がいたのもアツかった。知っているエピソードが作品に使われているのを見ると興奮する。魍魎の匣やゴールデンカムイでも使われていたよね。
それだけ日本中を騒がせたニュースなんだろうな。

真田広之があまりにもハンサムで、ところどころ話が入ってこなかった。
鼻の形が芸術的に美しいので360度どこからみてもハンサム。ヒゲもよく似合っていてとにかくかっこいいのに、そんな真田広之に余計なロマンスシーンを与えなかった監督はすごく理性的だと話しながら見ていた。
主人公である浅川と竜司の関係性ってもう離婚してるからというのもあるだろうけどかなりドライで、竜司に至っては主人公のことを苗字である「浅川」呼びだったのも距離感があって良い。
一方玲子は竜司のことを「竜司さん」と呼んでいるのも結婚生活をしていた頃の面影が見えて好きですが。
玲子が呪いのビデオを見てしまったと竜司に相談した後、竜司もなんの躊躇いもなくそのビデオを見て呪いを共有してくれるの良いよね。
竜司は能力持ちかつ霊感があるからそういう類のビデオを信じていないわけではないはずなので、呪いを一緒に被ってくれたのは優しさなのかもしれない。
玲子が「私が死ぬ時は一緒にいて」と竜司に言ったり、ところどころに人間関係の淡い湿度を感じる。

真田広之演じる高山竜司は演者本人の年齢を考慮すると38歳くらいで、一方主人公の浅川玲子を演じていた松嶋菜々子は25歳とかなので年齢差……!と思ったし、玲子に小学生の子どもがいることも考えると結婚してから離婚したの何年前?となる。どこでどういう関係で出会ったんだろう。
Wikipediaを読むと竜司の家に来ていた中谷美紀演じる高野舞は竜司の教え子兼恋人らしく、竜司さん……………と絶句してしまうけど、この映画が98年の作品だということを思い出して色々出かかっていた倫理的な問題への指摘したさを飲み込む。
でも積極的な歳下から猛アピールされる竜司のシチュエーションは見たことないのに見える気がするし、100%フィクションだと割り切ればかなり好きな関係性です。

この映画って最初の方は話し声が小さい登場人物と大きめのBGMと恐怖に歪んだ死に顔でびっくりさせてくるんだけど、貞子が出てくるシーンは全然大きな音で驚かせる手法は使わないんだよな。とても上品。
あとちゃんと見返したらジャパニーズホラー感のあるじっとりとした嫌さがずっとあった。
智子が死んだ後幽霊になって玲子の息子を唆し、ビデオを見せるくだりとか、かなりギョッとする。取り返しがつかないことが起こってしまったという怖さ。この時点では呪いの解除方法が一切わかっていないから、呪いを受けてしまったら絶望的なんだよね。
あとは濁った水が成人男性の胸上まで溜まった井戸の中に入る描写とかもかなり嫌だった。
刻一刻と呪いのタイムリミットが迫っていく中、選択肢は貞子が落ちたであろう井戸をさらって遺体を供養することしかないのでバケツを使ってひたすら水を汲み出していく。
下の方はヘドロが溜まっていて、手を突っ込んだら藻のような髪の毛が手に絡まるシーンなんかは感覚までこちらに伝わってきそうでゾワゾワする。
外がどんどん暗くなっていく中水の中で白骨化した死体をさらうってだけでも怖いんだけど、感覚的な嫌さもある。

実はリングで貞子がちゃんと井戸から這い上がってくるシーンはラストで竜司を呪い殺すシーンにしかないのって改めて見てみると結構衝撃的。
井戸から這い上がってテレビから出てくるシーンの印象が強いしメディアでも擦られ続けているので、いざリングを見るとここしかないのか!という驚きが強い。
でもこのシーンが全て事件が解決してほっと一息ついたような最後にあるからこそ、当時映画を見た人に多大なる衝撃を与えたんだろうな。

その後玲子が竜司が亡くなった後の家を見ながら自分と竜司は何が違ったのかということを考えた結果、ビデオをダビングして人に見せたか見せてないかの違いに気付き、走る車の中で父親に電話をしながら息子を助けるためにビデオを見せるようなことを匂わせつつ終わるのも後味が悪く、好きです。
呪いは伝染していく。

呪いのビデオの中に映像として一瞬入っていた、頭に白い布をかぶって何かを指差す人に竜司がなっていて、部屋に来たものの何もわからない玲子にビデオを指差して教えてあげるのも良い。

この指さしのシーンが『ハエ男の恐怖』という映画のオマージュだと知ったのでその映画を見ようと思って調べたら58年の映画であるせいかどこにも配信がなくて残念だった。

次はリングと同時期に上映されたらせんを見るよ〜
こっちはどういう系統のホラーか全く知らないので見るのが楽しみ。

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