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らせん

柳さんと見た!
いつこさんがリング→らせんと見ていて、調べてみるとらせんはリングと同時期に上映されていて、しかも続編ということで我々も見ることにした。
リング面白かったしね。

そしたらとんでもない映画だった。
貞子シリーズって実はホラーミステリだし、パンデミックものだし、SFだってなんで今まで誰も教えてくれなかったんですか!?紛れもないサイエンス・フィクションだった。
でも正直サイエンスなフィクションの部分は理解度80%くらいだと思う。
なのでこの記事で見当違いのことをいっていてもどうか許して欲しい。
このアカウントは安藤と高山と舞の関係性に打ちのめされた人間でしかないので、優しい気持ちで読んで欲しい。
強い強い感情を見せ付けられてメロメロになってしまった。

これ、らせん→リングを見た人はめちゃくちゃな気持ちになってしまったんじゃないか?
同時期に上映したなら全然あり得るよね。

この物語は佐藤浩市演じる解剖医である安藤視点で進んでいくせいか、『リング』では地に足ついた人間であった高山竜司がわりと儚かった。死者の幻覚として安藤の前に現れる高山は容赦がないんだけど、ラストシーンの儚さと美しさたるや凄まじいものがあった。

安藤もある種の儚さがある。
自分のミスで息子を溺死させており、しかも遺体は見つかっていないのか手元には遺髪しか残っておらず、泣きながら解剖用のメスで何度も手首を切ろうとしては怖くなってやめてしまう。
息子にまた会いたいと思っているものの、死が怖く鬱屈としており張り詰めた雰囲気がある男からしか出せない色気がここにある。

序盤の方で安藤と高山は学生時代問題を出して謎解きをしあっていたという情報が明らかになる。
高山の解剖の前に安藤が思い出していたのは「RIPPER」と答えが出た時、顕微鏡から顔を上げて自分を上目遣いで見ながら柔らかく「わかんないか?お前のことだよ。お前の未来だ」と言う高山の顔なんだけど、この時点の回想ではロマンス的な甘めな雰囲気がある。

この解剖のシーンで安藤には身体がひらかれている高山が目を覚まして起き上がってくるように見えるんだけど、臓器を取られて空っぽになった自分の体を、仰向けで目線だけ下に向けて覗き込む高山が異様にセクシー。
「自分の手首も切れないくせに、よく人の体こんなことできるよな」ってひらかれた体のまま安藤のことを揶揄するのもかなり好き。
というかそもそも解剖のシーンが全体的に色っぽかった。安藤が高山の喉から切り始めたのも、貞子が安藤の喉を舐めていたシーンを彷彿とさせる。

高山は恋人である高野舞に「学生時代に暗号を作る遊びが流行ったことがあって、俺の作った暗号を解けたのは安藤だけだった」と言っていたらしい話を聞き、安藤と高山は唯一無二の存在だったとわかる。
雰囲気から察するに四六時中一緒にいたわけではなさそうなんだけど、意識せざるを得ない人だったんだろうな。まぁそりゃ未来予知とかできるような男だし、めちゃくちゃ美しいしな。意識せざるを得ないか……
高山が安藤のことを舞に話していたのって信頼だし、グッときた。こういう関係性、大好きだ。
あと高山にとって安藤は気やすさがあるというか、あまり裏表のないようなわかりやすい人間で付き合いやすかったのかもしれない。

この時点で安藤は舞から呪いのビデオの存在をきかされるんだけど、リングとは違ってまずその呪いのビデオの存在すら不確かなので安藤は一蹴してしまう。
ここがリングと違って難しいところだなと思う。実際この作品ではこのビデオの存在ってかなり小さい。それよりも浅川玲子が残した手記の影響の方が大きいからな……
貞子=ビデオ!井戸!というイメージがあったけど、今作ではそれが完全に覆された。

解剖していた高山の胃から数字が羅列されたメモが出てきたところで、そのメモは学生時代に高山と出し合っていた暗号の解読方法で読めると判明する。
そのメモを解読した結果、「DNA」と出てきて、バカバカしいと安藤はそこで暗号解読をやめてしまうんだけど、ここで一緒に見ていた柳さんが「らせんってこと?」と気付いていて、かなり賢かった。
そういえばDNAってらせん構造だったな……

ところで胃からメモが出てくるような話ってドラマの『アンナチュラル』でもあったけど、解剖医とミステリが絡むと死体の胃から意図的に残したヒントが出てくる描写はあるあるなのかな。

このメモって死ぬ直前に高山が「RIPPER」である安藤に託してメモを書いて飲み込んだということで、それってかなり賭けだしものすごい信頼とも取れるけど、高山にとって安藤が想定の範囲内でしか動かない人間であることの証明でもある。
だからこそ安藤をこの途方もないらせんに巻き込んだんだろうな……

高山ってこのシリーズの黒幕ともいえる存在で、貞子に人生を費やしても良いと思ってからは自分の超能力で全てを見越して、生きているうちに様々な手配をして死んでいくのであまりにも完璧人間。
高野舞と付き合い始めたのも、舞の体が貞子を宿すのにふさわしいと思ったから付き合い始めて利用したんだろうし、安藤に託したのは安藤が手のひらの上で転がされてくれると思ったからだろうし。

高山が自分のDNAを残したことを後悔していると舞に話したこと、それはそれとしてビデオを見てしまった息子を救おうとしていたこと、でもその意思が死の間際に変化したこと、息子をこの世に再び生まれさせ直す決意をしなかったこと、かなり謎が多い。この辺りの高山が息子に抱いている感情についてはちゃんと理解しきれなかったな。
この世で生きるのは残酷とは思っているけど、一度息子は生まれているので反出生主義ともまた違うんだろうし……

舞って切り揃っていない前髪を眉上でぱつんと切ったボブヘアーで、内気で垢抜けない少女というキャライメージだと思うんだけど、そんな見た目でも時々ギョッとするくらい美しく見える。瞳の強さ、鋭さに息を呑んでしまう。

浅川の上司である報道部の吉野さんが「らせん」ではたくさん動いて喋ってくれて嬉しい!
今年のマックの月見バーガーのCMでも思ったけど松重豊、ハンサムですね。
しかもこの松重豊は30代なのでレアなものを見られているな〜!と感慨深い。

安藤を演じる佐藤浩市って確か高身長だったはずなのに、吉野と一緒に並ぶと安藤が小柄に見えるのでどういうマジック?と思って調べたら松重豊は身長が188センチあるらしい。
なので脚長……ビデオを掴む手デカ……と思いながら見ることになる。
松重豊、一挙手一投足が魅力的。

吉野がいてくれたからこそ浅川が手記を残していたことが判明するし、リングで浅川と高山が追った貞子や呪いのテープについて1分で見事に説明してくれる。ご丁寧にありがとうございます。
まぁその結果ビデオも見ていないのに死んでしまうんだけど……
そしてリングのあらすじが吉野によって1分で終わってしまったので、「らせん」って何する映画なの!?と思いながら見ていた。浅川玲子の交通事故とその息子が死んでしまったことくらいしか不明な点がないし、この点に関しては最後まで不明だった。原作では明らかになってるんだろうな。

しかし子どもを事故で失って後悔と喪失感に苛まれ続ける安藤、自分のDNAを子どもという形で世界に残してしまったことを後悔していた高山、自分の子を手にかけた貞子の父である博士、と自分の子に対する思いや考え方がそれぞれ描き出されていておもしろいな。

リングでは貞子の生きていた頃の写真って出てこなかったと思うんだけど、今回吉野が持ってきてくれた写真の貞子は劇団をやっていた上に美少女で驚いた。
こうして見ると貞子って舞と近い系統の美人かもしれない。目が鋭い美女。

吉野から呪いのビデオを受け取った際に高山がそのビデオを渡してくる幻覚を見た安藤は、残りの暗号も解読した結果、それが高山からの「present」であることを理解した上でビデオを見る決断をするのがかなり良い。
死を望んでいる安藤に呪いのビデオを手渡すという形で死を提供したと思わせるミスリードが見事。

そして貞子が井戸の中で苦しみもがきながらゆっくり死んでいく幻視が見えるんだけど、そこで博士が「許してくれ貞子……この世に生まれてきちゃいけなかったんだ」と言うあたりかなり高山とダブるものがある。
博士は貞子を生かしてはおけない、高山は息子を産ませるんじゃなかったと思っているので子に生きててほしくないという理由はかなり違う上に高山はこんな愚かな選択肢は選ばなかったけどさ。

安藤って息子を失ったことで中身が空洞になっているんだと思う。息子に謝る夢を見て叫びながら飛び起きる男、憐れで不憫で魅力的。
そのせいでそのウロに入りたい実体のないヤツらに付け込まれてしまうし、ビデオを見ていたら突然目の前にいた美しい姿の貞子に首を舐められたりキスされたりする。
安藤って生気が薄いし、ちょっと突けば揺らぎそうな感じがあるし、美味しそうなのかもしれない。

鶴見辰吾演じる宮下のことが結構好き。
特に好きなシーンが吉野と会社で揉めた後宮下が運転する外国車で会話するシーン。
安藤は呪いのビデオを見てしまったし貞子にロックオンされてしまったのでそれどころじゃないんだけど、宮下が「お前いつにも増してどん暗い顔してるぞ。もうすぐ死にそうって感じだよ」と言って安藤が「そうだろうな」って返すので「発光クラゲのタンパク質でも打ってやろうか!そしたら明るくなるだろ」って言うんだけどこの会話がかなり好き。

このシーンだけでこの人冗談のセンスがいいんだろうなと思う。その後続けて宮下が「笑えよ」って言ったら安藤が口角を釣り上げてニッと目が笑っていない笑顔を作る流れも大好き。
宮下にとっては高山から未知のウイルスが発見されて詳細不明だし、安藤は呪いのビデオを見てしまってあと1週間の命なので双方にとってわりと深刻なシーンなんだけど、この2人ってこういう冗談を言い合えるくらいには気のおけない仲なんだろうな。
安藤が高山に向ける感情とは全く違うタイプだ。

高山から舞へ手紙のようなものが届くんだけど、そこに子どもと並ぶ成人男性のような姿が描かれている絵があって、その流れで安藤が小さな遊園地で遊ぶ子どもをぼーっと見つめるシーンに移るの、映像の流れとして美しいな〜!と思いながら見ていた。そしてどうやらこのシーンの子どもの父親役が原作者である鈴木光司っぽい?全然気付かなかった。

安藤は高山が自分にビデオで死を与えた代わりに、そのビデオを全て壊して貰って貞子の呪いを打ち止めにしようと考えていると察するんだけど、安藤って(高山が残したヒントが少ないとはいえ)高山が自分に向けている感情や考えついては割と鈍感なんだろうな。
その点舞は人の感情を読み取れる分高山への解像度も高いので、先生はそんなこと思ってないって断言できる。

今まで死んだ人間を切り刻むだけだった安藤が吉野から回収したビデオを壊したことで何人か、何十人か、何百人かの命を助けたのかもしれない!と言っているけど、この後息子一人のために人類を裏切ることになるなんてこの時は露ほども思わないだろうし、思えないよ。
まさかそんな規模の大きい話になるなんてさ。

半ば自暴自棄でビデオを壊した後、舞がおずおずと安藤の手を握りしめて頭の中を読むくだりがあるんだけど、ここ以降のくだり全部好き。
「でも……死ぬの怖がるのって恥ずかしいことじゃないよ。ビデオ見たの後悔してるのだって」って安藤の全てじゃんね……
高山が呪いのビデオと死をプレゼントしてくれた!ようやく死ねる!息子のところに行ける!と思っていたけど、実はそれは気を張っていただけで最初からずっと死ぬのが怖い男……死ぬのが怖い自分が恥ずかしいと思っている男……
舞に自分の本心を読まれてようやく泣きながら「俺は死ぬのが怖い 死にたくない 助けてくれ」と言えるようになったの、情けなくて可哀想で魅力的で大好きだよ……

高山がプレゼントしてくれたビデオである手前、弱音とか吐けなかったのかな。

ひとまわり以上歳下の女の子に泣いているところを抱きしめて慰めてもらう安藤 そのまま孤独と寂しさゆえに勢いで舞とセックスしちゃう安藤……
柳さんともこの話をしたが、この場面の安藤と舞のセックスってお互いが高山にとって重要である人物であるが故に高山の存在が余計に意識される行為であるため、実質3Pだと思う。
その後「頼みがある。俺が死ぬ時まで一緒にいてくれないか」って言って手を取ろうとしたら拒否されてしまうところまで含めて良い。
妻と離婚している安藤にとって自分のことを心の底から理解して受け入れてくれる他人なんていないんだよな。だから息子への想いがより強まる。

舞がずっと一緒にいられて、自分のことを理解してくれたのは高山先生だけだったと思っている反面、高山は医学部時代の人たちとそれなりにいい関係を築いていて、離婚はしたものの結婚もしており、子どももおり、大学で教鞭を取るという形で人と関わる仕事についているのでかなり対比的だ。
役者の年齢を考慮するとまだ20代になったばかりの舞に「自分には高山先生しかいないんだ」と思わせた上で交際している高山竜司の罪深さよ。しかもとびきり美しい男だし。
こんな男と付き合ったら世界の全てが高山竜司で埋め尽くされてしまうよ。
にも関わらず高山は“舞”についての執着はなくて、貞子をこの世に呼び戻すのに舞を利用したかっただけっぽいので報われないよね……
でも貞子の魂が入った舞って外見も記憶も舞のものをそのまま残しているので舞じゃないわけではないんだよな……沼男問題みたいだ。

パソコンが悪意のあるファイルを開いたらウイルスに感染してしまうように、もしかして呪いのビデオを見たら人体に貞子のウイルスが生成されてしまうのか……?と考察していた場面って、かなり突飛な説明なんだけどそれでも呪殺を科学的に理由付けしようとしていて感動した。
その後ビデオを見た安藤と身体を重ねた舞も夜に口を抑えて飛び起きるのでそのウイルスに感染したのか!?と思いきや、貞子を妊娠したことによるつわりだったの、美しいミスリードにも程がある。

こうして言葉にすると呪いのビデオでウイルスが感染だの貞子を妊娠するだのめちゃくちゃなんだけど、映画を見ていると『らせん』では何をするんだ?どうなってしまうんだ?とずっと思いながら見ることになるので、そう来たか!という展開の連続に感動してしまう。ホラーミステリとしてすごく良くできている。
連絡に出ない舞に死ぬ前に会いたいと思って部屋に押し入った結果浴室から水が漏れていたので舞は浴室で倒れていると思いきや、浴槽の中に血だけが残っていてもぬけのからだったのも、死体があると身構えさせてからの拍子抜けなので演出が上手い。

その後安藤の体からはウイルスが発見されなかったこと、一方吉野の喉から採取されたウイルスの写真からは高山の喉から発見されたのと違う形のウイルスがいたんだけど、吉野にいた方のウイルスってどう見ても形状が精子なんだよね……
セックス後に安藤はウイルスの検査をしたので安藤からはこの精子の形状をしたウイルスが発見されず、結果的に命も助かり、舞は貞子を孕んだのか……!?すごいな。
じゃあ男が生き残るための術って、貞子の遺伝子をこの世に残すための生殖行為ってことですか?
でもそのウイルスを移された女性って生き残る方法がない感じなのか?いや貞子になって生まれ変わるのか。でもそれって生き残ったって言える?
というかダビングの件ってまだ有効なの?わかんないよ〜

この後積極的で上機嫌になった舞があの時の貞子の動きで安藤の喉を舐めてキスしてくるんだけど、この時点で舞は貞子になってしまったことがわかるし、その後ビルの通風口で井戸のような空間から出産の形跡がある舞の死体が出てくるので演出が本当に巧み。

あと大好きな演出は、宮下までもが「なぁ安藤、山村貞子の井戸、ひょっとして淵のところが一ヶ所欠けてるかな」って言うシーン。前に死んだ吉野と全く同じことを言う。
ビデオを見てないと言う2人が口を揃えて同じことを言うシーン、訳がわからなくて物凄く怖くて肝が冷えた。
そして浅川玲子の手帳を読んだ時点でウイルスに感染することが判明する。
そうなると井戸の夢を見るようになる上にウイルスの増殖に手を貸して、山村貞子に協力したことになるので状況としてはかなり絶望的。対処法を知らなければ逃れようがないもんな。

その後舞のガワになった貞子と安藤が研究室で出会うんだけど、この舞の形をした貞子が明るく朗らかで、でも積極的でセクシーでものすごく魅力的なんだよね。
髪型も外ハネのボブになっていて、明るいコーラルオレンジのリップもつけて、ずっと露出がない服を着ていたのにキャミソール型のオレンジ色のワンピースまで着ている。
今まで垢抜けない内気な女の子だった舞の雰囲気が明らかに一転しているけど、決して感情的に喋るわけじゃないし、安藤に比べたらかなり理性的に見える。

その舞(貞子)から「安藤さんは私のことが好きだから抱いたんじゃない。死ぬのが怖くて、心細かっただけよ。でも私はあなたの助けになってあげたかった。でもあなたはあたしのことを愛してなんかいなかった。高山先生に優越感が持てて嬉しかったんでしょ?」と言い当てられるの、本当に哀れな人間すぎて見ていて心が踊る。
高山への憧れや尊敬や劣等感から高山のものである舞を抱いて高山から奪い取ったような気持ちになって優越感を抱いた結果、自分が舞だと認識していた人間が死んでしまったの、どうしようもないよね。

「許してくれ、舞」と言って顔を覆ったら舞(貞子)が頭を撫でて「許すよ安藤さん……許してあげる……」と言ってくれたので一瞬絆されそうになる時の安藤の顔がたまらなく色っぽい。
背中を丸めているせいで舞とほぼ同じ目線で、泣きそうな目で、眉をハの字にして、怒られた子どもみたいな顔をしているの。
安藤ってパートナーが欲しいわけではないんだけど寂しがりやで孤独に苛まれているので人肌に飢えており、舞でも貞子でも触れられたら拒否することができないのが抜けてて隙だらけでとてつもなくセクシーだと思う。
そんなんだから井戸に連れて行かれるし、貞子につけいられるんですよ。

いやそれにしても舞のガワをした貞子の受精卵を摘出して、高山なら病院に残っている高山の喉の細胞から、安藤の息子なら安藤が大事に持っていた髪の毛からDNAデータを抽出して受精卵に組み込んで、その卵子を子宮に戻すことで高山と安藤の息子を産み直すことで蘇らせるってものすごい設定だな……
宮下も協力してくれたあたり、生きながらえる術がここにあったんだろうな。

「裏切った相手はこの世界か、それとも神様か」ってセリフ、ものすごくて大好きだ。
今じゃ不妊治療の一環でこういう卵子を子宮から取り出して、受精させてからまた子宮に戻す技術をきくことがあるけど、この当時はまだ全然普及してなかったんじゃないかな……
これは勘100%で喋っているのであまりまともに取りあわないでください。
だからこそ自然妊娠じゃない上にDNAをいじって死者を蘇らせることで神様を裏切っているし、貞子のウイルスがたくさんの人類に蔓延るのを阻止できないから世界も裏切ることになる。

高山と舞(貞子)は浅川玲子の手記を出版することで貞子のウイルスを拡散させようとしていたけど、家族にきくと当時『リング』も『らせん』も小説がとにかく流行っていてベストセラーだったらしく、そういう構造が作品を見ている側とダブるものがあるあたりかなり秀逸だなぁと思う。

その後高山が安藤の息子を指して「あいつは俺の兄弟だ」って言っているの、本当に……高山……お前って男はよ……となる。それに一切怒ったりできない安藤は高山に対して甘いんだろうな。
安藤って自他の境界線が結構曖昧な人なのかもしれない。
舞(貞子)が息子に近付こうとしたときはすごいスピードで拒否していたので、息子と高山の血が繋がっているのは満更でもないのかな……

そして最後のセピア色のシーンで高山と一緒に来る舞(貞子)の美しさたるや!
あの野暮ったかった眉上でパツッと切られた前髪をオールバック風にあげてしまって、赤く深い色のリップをつけて真っ黒な服を着ている姿がなんと似合うことか……
このシーンで高野舞に中谷美紀をキャスティングした意味がわかった。中谷美紀にはとびきり魅力的な女性である貞子を演じて欲しかったんだな〜……

安藤は舞(貞子)が息子に近付くのは拒否したくせに、自分に別れのキスをしてくるのはキュッと目を閉じて受け入れる!しかも高山の前で!
安藤!そういうところだぞ!
しかもこの受け入れる時の安藤の表情がまた良い……隙だらけで……

そしてこのシーンの舞、安藤の背が高いので少し上を向いて、それでもギリギリだからなんとか下唇にキスするんだけどセクシーとかわいいと綺麗が押し寄せてきてめちゃくちゃになる。
このシーン、「子どもをこの世界に連れ戻すなんて残酷なことできない。安息が訪れるのはずっと先なんだよ」と言う高山も含めて美しくて大好きだ。

そして高山の死後に舞の元へ絵として送られていた安藤と息子が海辺で手を繋いでいる場面で物語が終わるんだけど、その終わり方含めてなんて綺麗な映画なんだろう……としみじみする。

ものすごく良い映画だよ。何よりも美しい。キャスティングのセンスもいい。
リングの続編でこんな気持ちになるなんて思わなかったな〜〜〜
安藤の隙だらけで不憫な色気に打ちのめされてしまった。
あとリングとらせんでは見えている世界が180度違うので続けて見ると驚く。リングは正統派ジャパニーズホラー的な美しさがあるけど、らせんは物理的な人間の美しさがある。

アマプラであと少しで配信が終わってしまうのが本当に残念。
リングも大好きだけど、らせんの方がより好きかもしれない。また見直すと思う。

貞子についても、実はとびきりチャーミングで魅力的な女性だと知られて良かった。
あの黒髪ロングで顔を覆っていて白いワンピース姿の何も喋らない幽霊代表みたいな姿の彼女はパブリックイメージの1つにすぎないんだな……

多くの収穫があった映画でした。
とっても面白かった!

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