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プライドと偏見

柳さんと見た!

先日見たグッドオーメンズシーズン2にこの作品の名前が登場したので見てみましょう〜!ということになった。

柳さんは『高慢と偏見とゾンビ』を見るために「プライドと偏見」を見たらしいときいて、「高慢と偏見とゾンビってB級かと思ってたんですけどもしかして名作ですか?」と訊いたら「かなりすごい 高慢と偏見にゾンビを捩じ込む手腕には舌を巻く」と返されて爆笑した。この話好きだからどこでもします。

そのこともあり、見ている間頭の片隅にほんのりゾンビのことがあったんだけど、このラブロマンスに……?ゾンビを……?という思いがずっとチラついていた。

作品はどこのシーンでも、どこを切り取っても絵画のように綺麗でびっくりした。絵だけでとびきり美しい。
その上ラブロマンスとしても素敵だった。

かなり序盤の方でリジーがダーシーに対して偏見を持っており、ダーシーはリジーに対して高慢な発言をしていたのでタイトルの「高慢と偏見」ってこれのこと?もうタイトル回収したの?という驚きがあった。
高慢と偏見が出てくるまでが早い早い。

ダーシー、見た目もハンサムなんだけど、映画を吹き替え版で見たのでその声の良さに思わず息を呑んでしまった。声優は東地宏樹さんでした。
この声なら許せないことも許せるような気がしてくる。

冒頭姉妹たちが家でキャイキャイするところから始まるんだけど、この映画では姉妹同士の軽口とかはありつつもその間の可愛らしさをメインで描いているので、ベネット家の姉妹たちがじゃれあっていればいるほど嬉しい気持ちになった。かわいい子たち……

特に長女のジェーンと次女のリジー間の親愛は見ていて癒される。
同じ部屋で寝ているし、歳も近いし仲が良いんだろうな。

ジェーンがビングリー青年と良い感じの仲になっていく過程で最初は無愛想で高慢でぶっきらぼうだと思っていたダーシーが徐々にリジーに心を開いていく過程が良かった。
特に帰りに馬車に乗ろうとするリジーの手をサラッと取ってエスコートし、なんでもないように振る舞う場面では、リジーはえっ、あなたそんなことするの?という顔をしていたし、ダーシーはリジーに触れたあとおろした手に力が入っているようなところがアップになっていた。
言葉を使わなくてもリジーの手にもっと触れたかったんじゃないかと思わせるような演出にときめきがあり、良い。

ダーシーからリジーへの告白のシーンまでが早くて、映画の時間まだ結構残っているのにもう告白しちゃうの?と思っていたら大雨の中2人ともずぶ濡れになって振られていたしさらにめちゃくちゃ揉めていた。
ダーシーはあの場面でリジーの母や妹たちに品性がないと口にしてしまったり、ジェーンはビングリーに気があるように見えなかったから別れさせたというようなことを言ったり、リジー的には印象が最悪なことしか言っていないのでこれは……終わったな……と思った。
育ちの差があるのにあそこで愛する女の家族の品性について言及してしまうの、あまりにも悪手じゃないですか?

でもここから名誉を挽回してくるのでダーシーは一筋縄じゃいかない。悪印象を善行で塗り替えていく力技。
リジーも自分の意見をしっかり持っており、それを人に臆することなく伝えることができる女性なので、一筋縄じゃいかない同士の方が絶対にいい。

将校のウィリアム、一目見た時はなんでハンサムなんだ……とびっくりしたし、なんかリジーともいい感じの雰囲気なのでもしかしてこのままダーシーとウィリアムの幼馴染組がリジーを取り合う三角関係になるのか……!?と思っていたけどそんなことはなかった。
ダーシーにこんな酷い目にあわされたんだよと話すけど、その実自分がダーシー(とその妹)を酷い目にあわせていたので甘い顔して狡猾。
15歳であるリディアと駆け落ちして、返してほしければ多額の金をと要求するところはもはや詐欺師だった。
でも家族からリディアは……うん……嫁げるか心配だったからさっさと嫁いでくれてよかったよ……みたいな扱いを受けていてびっくりした。もしかしてウィリアムは凄まじい性格の子を引いてしまったんじゃないか?

コリン神父、真面目で真っ当な人なんだけどとにかく退屈そうでずっと不憫であった。
アプローチされたらノーセンキューですって言いたくなるのがわかるタイプの人。
でも家の相続権を持っているので結婚した方がいいし、母も結婚をせっついてくるあたりがさらに鬱陶しい。
コリン神父がリジーに(良いリアクションが返ってくるはずがない)アプローチしているところを見ている姉妹たちのクスクス感、生々しい〜……と思いながら見ていた。
ああいうおそらく本人間で自分達は釣り合ってないはずなのにどうしてアプローチしてくるんだろう?と嘲笑を込めた雰囲気っていつの時代もどこにでもあるのかもしれない。

ベネット家の父のこと、ずっと好きだった。
(幸せのためとはいえ)結婚をせかしてくる母と違い、娘が幸せならそれでOKな父。
コリン神父のプロポーズを断った時、母から今から追いかけてOKしなさい!と叱りつける母とは対照的に、もしプロポーズを受け入れたら口をきかないぞと言い、告白を断ったリジーを肯定する父……
最後ダーシーにプロポーズされた後もダーシーは高慢な男じゃなかったのか?と怪訝な顔をする父に、いかにダーシーが家族のために色々してくれたかを一生懸命話すリジーを見て父とリジーで泣いてしまうシーンではこっちまで泣いてしまった。
リジーは気は強いけど聡明な子なので、なんだかんだリジーのことを一番心配していたのかな。そんなリジーが愛する人と婚約できてお父さんも嬉しかったんだろうな……
無駄なことは言わないし結婚にあまり関心もないけど、いつも娘のことを想っている父。いい。

ダーシーが振られたにも関わらず自分の妹にリジーのことを詳細に話していたくだり、ニコニコしながら見ていた。愛じゃん。そんなの。
ダーシーの叔母に弾けと言われて下手くそだけどぽろぽろ弾いていたピアノもダーシーは妹に上手だったと伝えているし、おそらく事細かに話しているのでピアノもそうだけどあの時リジーが叔母になんて言い返したと思う?みたいな話もしていると思う。

親友に別れた方がいいと言った口でやっぱり付き合ってた方がいいと言って復縁させること自体はどうかと思うけど、結果的に全員満足いったのでおそらくOKです。
ビングリーはジェーンのことが好きなら親友にどうこう言われたからじゃなくて、自分の意思を持ってお付き合いしなさい。
ジェーンにつれない態度をとって実質婚約解消した後なのにベネット家にビングリーとダーシーで挨拶に向かうところは肝がすわってるな……と驚いた。そこで本当は「座ってください」と言われてゆっくり会話する予定だったのが、一向に座らせてもらえる気配がなく、そのまま本当に挨拶だけして家を出て行ってやっちゃった……どうしよう……と頭を抱えるくだりはかなり好きだった。計画してたんだ、一応。
その後単身で戻ってくるくだりも好き。

そしてラストシーンの美しさよ!
眠れなくて家を出たらまさかのダーシーがいて、そこで対話をしていくうちにゆっくりと日が昇ってきて、そして無愛想で無口だったダーシーが情熱的な愛の告白をするという……
燃えるような朝日の中ダーシーの手をとって手の甲にキスをするリージーもなんと美しいことか。
ここで軽率にキスをしないところもいい(軽率なキスも好きですが)。朝焼けの中2人でおでこをくっつけて終わる。


ずっと綺麗な映画で、終わり方も美しく、は〜素敵な作品を見た……という感想を抱いたと同時に、見終わった瞬間これに……ゾンビを……?と思ってしまった。
これに……?ゾンビを……?

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