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【フォト・ドキュメント】パンクムーブメントの軌跡【第14回】

80代から90年代にかけて強烈なインパクトと存在感を放っていた伝説的ロックバンド「THE FOOLS」。このバンドのフロントマンであり象徴的な存在だったのが伊藤耕である。その生涯をかけて自由であり続けた男の真相に地引雄一が迫る。

最高に格好いい“愚か者”人生
伊藤耕

新宿ロフトにて(1980年1月22日)



強いメッセージ性



「僕が最初に耕を見たのはフールズの前身バンドでもある『SEX』のライブでさ。78年にS-KENスタジオで東京ロッカーズのイベントをやっていた時にフリクションと一緒に出てたんだよ」

 SEXは78年に結成されたパンクバンドで、メンバーは伊藤耕(Vo)、後にTHE FOOLSのメンバーで盟友でもある川田良(G)、そしてバンド2期目目に加入したマーチン(Dr)も在籍していた。

「音楽的にはやっぱりパンクニューウェイブ系で、この当時からメッセージ性の強い歌詞を歌ってたね。『TVイージー』とか『街を歩いてみろ』なんかの曲は、当時の若者たちの社会での生きづらさみたいなものを歌っているんだけど、それだけで終わらないんだよね。最後には“それでも諦めるな”、“決してサジを投げるな”とかさ、ポジティブで前向きな印象があった。だから初めて彼らを見た時は音楽性そのものより耕の歌詞に強い印象を受けたよ」

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