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日々是暴食★トラウマめし【第32食】インド・コルカタの屋台で立ち食いカレー

 2018年の年末年始にインドへ行った。中国東方航空で上海と昆明を乗り継ぐ激安便で8万720円、今考えるとかなり安い。試しに同じ旅程をスカイスキャナーで調べてみたら最安値はエア・インディアの11万6千円だった。物価高と燃料代の高騰で海外旅行は段々と行きにくくなっている。円安だしなー…。

 ともかく3回乗り継ぐハードな格安便ではあるが20時間くらいかけてインド東部の大都市、コルカタ(カルカッタ)へやってきた。

コルカタ空港。タクシーはなるべく正規のに乗ろう

 言わずもがな、沢木耕太郎の『深夜特急』のインド編最初の都市であり、バックパッカーをしていた諸先輩方がたくさん訪れてきた所だ。「カルカッタにはすべてがあった」という熱狂の残り香はまだある。いまやGDP世界5位という経済大国だが街はボロボロ、道ゆく人もかなり香ばしい。最高だ。

 夜中に空港へ着いたが宿をとっていなかったのでタクシーの運ちゃんにオススメなところへ連れて行ってもらった。ちなみに、客引きについていったら白タクだったが、このあと大麻やハシシでガンギマリな白タクに何度も遭遇したので、ちゃんとしたタクシーの方がいいだろう。

 連れてこられたのは一泊1万円近くする高級ホテルだった。これは失敗。しかし飛行機で疲れていたので素直に従い爆睡。朝飯のバイキングには鶏肉や豆のカレーが並び、しっかりと「インドへ来た」感を味わえた。

やや高だけどしっかりしていたホテルVIP
朝食バイキングは当然カレーが並ぶ
コーヒーとパンも美味かった

 2日目の宿は日本人バックパーカーの間では「伝説の宿」と言われているサダルストリートの『ホテル・パラゴン』にした。飛び込みで行っても余裕で泊まれたが、おそらく90年代や2000年代初頭の盛り上がりは無いっぽい。

バックパッカーに有名な『ホテル・パラゴン』

 確かに汚く狭い部屋だったが、シャワーのお湯は出たしWi-Fiもあった。値段は覚えていないが500円ということはなく、1000円はしたはずだ。時代とともにボロ宿もアップデートしているのか。

 サダルストリートそばのニュー•マーケットを冷やかし、そのまま歩いて『インド博物館』へ。なんでも200年以上前に設立された世界でも有数の古い博物館なのだとか。ガンダーラ美術というのだろうか、精巧な仏像に息をのむ。この旅は仏教聖地をめぐるのがテーマだった。

巨大なニュー•マーケット
インド博物館の中庭は憩いの場
数千点もの美術品がけっこう雑に展示されている
年末だからか人で賑わっていた

 博物館近くには外国人を狙った客引きや物乞いがたくさんいた。というかインドはどこへ行っても物乞いの人だらけだ。幼い姉弟にしつこくつきまとわれて「ノーマネー、ごめんね金ないのよ」と何度も言っているうち、業を煮やしたお姉ちゃんが、俺が身につけていたミニバッグのジッパーを開け、中に入っていた財布を取ろうとした。引ったくって走り去ろうとしたので、コラ!と大きな声を出して捕まえて返してもらった。デブでもそういう時は走るのだ。

 さすがインドだ。気を引き締めなければ。そんなこんなで腹が減ったので、流行っている屋台でカレーを食べてみた。豆とチーズの入ったコッテリしたカレー2種、生の玉ねぎ、ピーマンの辛い漬物、ライス。これで確か100円しなかったと思う。安い!

これで80円くらい。安くて美味い

 立ち食いでムシャムシャといただく。ベジタリアンが多いインドらしく、全く肉は入っていないが、バターなどがたっぷり使われているのでかなりコッテリだ。サラッとした辛さで激辛というほどではなく、日本人の口にもあった。

人気店なのか客がひっきりなしに訪れる

 屋台料理の安さは尋常ではなく、少年が作ってくれた玉子焼きそばは約30円ほど。これほど外食が安く済むのはもうインドくらいではないだろうか? ケチャップのような赤くて辛いソースをかけていただく。具は玉子とキャベツだけだが、シンプルに美味い。

働き者の少年が作る焼きそば
赤いソースがピリ辛でいける

 屋台ではなくレストランにも行ってみた。コルカタは東に隣接するバングラディシュとの繋がりが深く、ベンガル料理の本場でもある。ベンガル料理の定番は魚や海老の海鮮カレーだそうなので『地球の歩き方』に載っていた店に入ってみる。カリッと揚げられた海老にサラサラしたカレーがあって美味しいが、ルーが絶対的に足りない。うーん残念。

ルーと米の量があっていない海老カレー。味はまあまあ

 その後もあちこちの店でカレーを食べてみたが、基本的にはハズレなしだった。お高くとまっている小洒落た店より、地元民向けの定食屋の方が美味い。日本の町中華がハズレなしで美味いのと同じだろう。

大衆的なレストラン
シンプルな玉ねぎとマッシュルームのカレーとロティ。激ウマだ

 日本と全く違うのは飲酒に非寛容なこと。州によっては飲酒が禁止されているくらい、ヒンドゥー教徒にとって飲酒は好ましくないという価値観が伝統的にあるようだ。もちろんキングフィシャーなどのインド製ビールもあるのだが飲める場所が少ない。

 繁華街でバーを見つけてビールを頼んだが600円くらいした。焼きそばが30円で食えたのに…高いな。店員さんは東アジア系の顔立ち。中国人などの外国人向けの店か? 時間が早いのか全然流行っておらずカウンターには俺1人。かわいいコルカタギャルがいたらナンパくらいようかと思ったが思惑が外れた。

酒を飲むのには苦労する。お隣のネパールなら簡単に飲めるのに

 ともかこの国は奥が深い。インドはハマるか嫌いになるか、どちらかだとよく言われるが自分は前者だ。面白い。もっとぐるぐると歩き回ろう。

インド編<続く>

【写真・文】バーガー菊池
岩手県出身。花巻東高校卒。 実話ナックルズ編集部在籍の編集者。不良からエロまで何でもやります精神の何でも屋。注射を打ちながら毎晩暴飲暴食を繰り返すハゲ巨漢。

https://twitter.com/kikuchi_BURGER