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生きたい世界〜ラムズイヤー〜

鉢で育った ちいさなラム(ラムズイヤー)

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庭の一画に このちいさな苗を地植えしたのは 去年の夏
枯れそうな時期もあったけれど
親指ほどの ちいさな葉っぱを ぴんとのばし
猛暑の夏を 無事にこえた

少しずつ 少しずつ 秋の深まりとともに 株が増えた
冬がきて 隣で枯れゆく ゼラニウムは
ラムと来春の再会を誓い 地下へともぐり
ラムはなお その耳たぶのように やわらかい葉を
冬の間も おしみなく あたえてくれた

春がめぐり ラムはさらに おおきくなった

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ねこじゃらし クローバー カラスムギ にんじん オルレア…
そのちいさな一画は 
たくさんの種類の草たちで あふれていて
ラムは馴染みのゼラニウムとも 再会を果たした

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風とクローバーと 毎日のように じゃれあって
てんとう虫に 葉っぱのベッドを 提供する
豊かな草たちに囲まれて なんだかとても うれしそうに
ラムは ふわふわの葉っぱを 銀色にかがやかせる

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誰かがいった
「植物は栄養を奪いあう」

ほんとうに そうなのだろうか

野原も、森も、庭も、畑も…
そこにあるのは 奪いあう世界なのだろうか

もしそれが ほんとうなら 
この世界はなんと 殺伐としていることだろう
ぎすぎすとして 自分ひとりが 生きのびる世界…

この庭のちいさな一画は いろんな草であふれながら
なおもみな 生き生きと たのしそうに見えるのはなぜだろう 
さらに豊かに伸びていくラムも 周りの草たちも 
そっと静かに 歌っている
与えあう世界が あることを

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そこにあるのは 与えあう世界
わたしが生きたいのは そういう世界