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11.残された時間は…

リハビリを済ませて退院して来た。坂道や階段は手すりが必要になり、長い距離を歩くのは難しくなった。それでも何とか自分の足で歩き、不便ながらも今まで通りに生活はできた。

しかし、良性の腫瘍とは言え、増殖すれば脊髄を圧迫して体の機能を失っていく。私の脊髄には腫瘍が残されたまま。いつ爆発するか分からない爆弾を抱えていた。

それから一年が過ぎた頃…

足の痺れが強くなり、感覚も鈍くなってきていた。家の中を歩くにも杖が必要になった。毎晩ベッドに入ると病気の進行が不安でたまらない。そんな毎日に身も心も疲弊しきっていった。


私は子供の頃から白黒をはっきりさせたい性格で、私の中にグレーはなかった。

小学生の頃、疑問に思っていたのは学級会での話し合いだ。何かを決めるときに必ず話し合いをすることが疑問でならなかった。こんなこと多数決で決めればいいのに、と毎回思っていた。そんなちょっと極端な考えのある子供だった。

今でも多少その気はあるが、グレーの意味も分かるようになったところは、成長の証だろう。

しかし、病気の進行を感じ、今回ばかりはグレーが続くことに耐えられなくなっていた。

時限爆弾のタイマーが時を刻み始めていた。


12話目へ続く…


1話目から続けてお読み頂けたら嬉しいです😊




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