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突撃! となりの本棚さん vol.1

早いものでもう10月、池上ブックスタジオも2ヶ月目に入りました。

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(10・11月の営業予定。photo from ブックスタジオ FBページ)

9月1週目のオープンから、週を重ねるごとに棚主さんによる本の搬入が続き、お店に入ってすぐのところにある本棚(16店舗)には、ほぼ本が並びました。

ここで改めて、池上ブックスタジオについてご紹介しましょう。

場所は、東急池上線(五反田と蒲田をつなぐ路線で、3輌だけの車輌にのどかな風景の、東京らしからぬ心地よい鉄道。ご来店ついでに池上線散歩もぜひ)の池上駅から、歩いて7〜8分のところ。駅前の五叉路から日蓮宗の大本山・池上本門寺に向かう参道を進み、久寿餅(葛餅)の池田屋さんと萬屋酒店さんの角を左に曲がると、まもなく本門寺の総門が見えてきます。すぐに橋に行き当たりますが、渡らずに右に曲がり、この呑川沿いを歩いていくと、50mほどで「ノミガワスタジオ」に到着。ブックスタジオは、このノミガワスタジオの一部となっています。

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ノミガワスタジオは、「場・モノ・コトづくり」デザインのお仕事をしている 2つの会社(ランドスケープアーキテクト・スタジオテラ動画配信スタジオ・堤方4306)が共同運営するギャラリー&イベントスペースです。元々は印刷会社が入っていたというビルの1階部分で、ゆったりと広く、光がたっぷり入ってとても気持ちよいのです。

入り口を入ってすぐ左にある4×4の棚と、バーカウンターの前面に配された縦3段の本棚が、ブックスタジオの店舗スペースとなります。それぞれの棚はほぼ30×30×30cm、トータルで40店舗超の“本屋の集合体”になる予定だそうです。現在、第一期16店舗は確定、また今後も続々と棚のオープンが予定されています。

このご時世のため、まだ皆で一斉に集まることなどはできていませんが、開店準備の際やお店番に入った際に、またweb上で、ほかの棚主の方々とも少しずつ交流が広がっています。本という共通の軸を持ちつつ、それぞれ一人一人の色やこだわりがあり、準備の段階から「これは楽しい場になりそう!」というワクワク感が止まりません。実際に棚に本が入っていくと、その予感は確信に。もう自分が一番楽しい(笑)。

……ということで、今回は勝手に、ほかの棚主さんの棚をご紹介しつつ、「その棚とコラボするなら選んでみたい1冊」(or もっと?)を考えてみたいと思います。

1)しるくすくりーん・するする
本棚のいちばん左上に入店しているのが、「しるくすくりーん・するする」さん。ノミガワスタジオのほど近く、たくらみ荘にて、誰もが気軽に体験できるシルクスクリーン工房を開いていらっしゃいます。先週のお店番の際には、イラストレーターの牛島浩美さんによるワークショップ&体験会も行われました。池上にお越しの際は、するするさんとブックスタジオをはしごしていただくのもおすすめです(前期のとおり、お店番の際はコラボ企画もありそう)。

するするさんの棚には、そうしてつくられた手作り絵本が並べられています。

そんなするするさんとコラボするのであれば……シルクスクリーンではありませんが、特別な印刷を用いた手作りの絵本ということで、井上奈奈さんの『くままでのおさらい』(特装版)でしょうか。

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(こちらはハンディ版の書影)

ドイツで開催された「世界で最も美しい本コンクール」にて銀賞を受賞したというこちらの本は、「リソグラフ」(デジタル孔版印刷)という印刷機で刷られていて、また一冊一冊手作りで製本されているそうです。私はハンディ版しか持っておりませんが、哲学的な深いお話とともに、美しい色合いや手触りも一緒に味わいたいですね。

著者の井上奈奈さんが手がける本は、いずれも一つの作品として美しいものばかり。『猫のミーラ』も、ぜひお手にとってご覧いただきたい一冊です。物語もぐっと胸に刺さります。(お店番ではありませんが、明日お店に行くときに持っていこうと思います。ご覧になりたい方はお声がけください)

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シルクスクリーンで作られた本といえば、『夜の木』『水の生きもの』などで知られるインドのタラブックス(Tara Books)のハンドメイド本は素晴らしいものばかりですね。そのタラブックスについての本を並べているのが……

2)ブックス サマナー
するするさんのお隣の棚、「ブックス サマナー」さんです。やはりブックスタジオのすぐ近くにある本妙院というお寺のご住職さんが出店されています。

ちなみに、池上本門寺の参道入り口には、この町の情報と人が交流するユニークな場・SANDOがあって、そこでは「HOTSANDO」というフリーペーパーが発行されています。その11号にブックス サマナーの店主さんのインタビューが載っていますよ。

「様々なものに出会える本棚」と銘打って、一定の期間ごとにテーマを決めて本を並べるというブックス サマナーさん、初回のテーマは「インド」! ここにタラブックスの本、なるほど納得です。そのほかにも、妹尾河童さん、蔵前仁一さんのインド本、水野仁輔さんのカレー本と、すっかりインド時間になって浸ってしまいそうな本ばかり。

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さて、再び勝手にコラボするならば……まずは装丁家・矢萩多聞さんの『たもんのインドだもん』。10代のころから長くインドで暮らし、半ばインドの人といってもいい?多聞さんが見てきた、ふだん着のインドがここにあります。

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そしてもう一冊、その多聞さんを信頼していつも装丁を依頼しているという政治学者の中島岳志さんの『中村屋のボース』を挙げたいと思います。

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新宿中村屋のインドカレーに関連して、こんな壮大な歴史があったとは……骨太な著作をいくつも手掛けている中島さんの出世作といえる本ですね。こういう力強い本に出会うと、評伝って本当におもしろいなと感じさせられます。

3)おおたFabooks
サマナーさんからさらに一つ右へいくと、「街の手帖リーディング(街の手帖 池上線 特別号」が目に入ってきます。

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棚主さんの前に恐縮ですが、先にこちらの冊子の紹介を。「街の手帖 池上線」は、池上線沿線にある出版社・コトノハさんが発行している、この沿線の街に密着したユニークな冊子です。地域に根差した出版というと、先進的な取り組みが見事に回っている地方の町がイメージされるかもしれませんが、大都会・東京のなかに、とても魅力的な“ローカルメディア”が存在しているのです。(ちなみに、池上線沿線のいろいろなお店が中心ではありますが、都内を中心に、沿線以外のお店でも手に入ります。よかったらぜひ、お手にとってみてください)

私もちょこっとだけ参加した@御嶽山駅、2018年秋の「池上線ブックフェスタ」を中心になって企画したのも、確かコトノハさんだったと記憶しています。これまで直接のご縁はありませんでしたが、今回のブックスタジオへの参加をきっかけに、どこかでつながれたら嬉しいです。

さて、すっかりご紹介が遅くなってしまいましたが、この棚に出店している「おおたFabooks」さんは、蒲田でコワーキングスペース&モノづくりスペース「おおたfab」を運営されています。新型コロナの問題を契機に、オフィスに出社するだけではない、多様な働き方の可能性が注目されているところ。ご近所のユニークなスペースとして、一度私も足を運んでみたいなと思っています。

fabラボは、子どもと一緒に行ってみたいところ。技術を使ってあれこれやってみるのは、年齢を問わず、やっぱり楽しいですよね。

本棚をのぞいてみると、個人的には「よつばと」があるのがツボです。ダンボーも創意工夫の詰まった“モノづくり”と言えそうです……

そんなおおたFabooksさんと勝手にコラボさせていただく本は……ライスワークでの所属先の本で大変恐縮ですが、クリス・アンダーソン『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』ですね。fabラボのような場や取り組みもだいぶん広がってきたように感じる昨今ですが、そんな時代を予見した本として、重要な一冊だと思います。

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そして、おおたFabooksさんのとなりが、私、「さるうさぎブックス」になります。

今回はいちばん上の列に並ぶ3店のご紹介のみになりますが、どの棚もそれぞれに個性があって、見ていて(やっぱり自分がいちばん)楽しいです。これから、カウンター下の棚にもお店が広がっていくと思います。そんな池上ブックスタジオを、ぜひ楽しみにきてください。

明日の午後も、ずっとではないかもしれませんが、たぶんブラブラとお店まわりにいると思います。池上の町、また池上線沿線の町も一緒に味わっていただければ嬉しいです。

※いきなり始めたこの「突撃! となりの本棚さん」企画ですが、果たして続きがあるのかどうかは定かではありません。また、そのようなわけで棚主の皆さま、等しくご紹介することは適わないかもしれません(おそらく難しいかと……)。何卒ご了解いただけますと幸いです……

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