「いただきマッスルパンチ 」コラムとかエッセイとか#2

時々今でも給食が食べたくなる。みんなで給食を食べようみたいなイベントあったら行くのに。給食de合コン!みたいなのどう?いいよね。


「いただきマッスルパンチ 」コラムとかエッセイとか#2

先週は温食係で最悪だった。
とりわけ木曜日のカレーの日、小学3年生が2人で腕がもげそうになるものを運ばせるなよ。絶対に一人で楽々運べる重さに分けた方がいい。
洗い物が増える?知らん。
今週は隔週開催される給食当番 a.k.aファック温食係 から解放されたことで、4時間目終了のチャイムから給食当番のみんなが一生懸命運んできた給食が用意される時間までは、つかの間の自由時間である。
クラス1真面目な健一は今授業が終わったばかりだというのに復習している。小3が復習すんな。
水野と高須賀は、定位置の栗山の机の辺りでいつものように、女子特有の甲高い声でギャーギャー叫んだと思ったら急に耳元に手を当てて内緒話を始める。注目されたいのかされたくないのかどっちだ。栗山、笑うな。
陽平にポケモンルビー・サファイアどこまで進んだか聞きに行ったら、秀政も集まってきて放課後のポケモンバトルの開催が宣言された。通信ケーブルがある秀政の家が今日のフィールドだ。

さあさあ今日も額に汗を浮かべながら、選ばれし今週の給食当番の方々が帰還した。どうやら今日はナポリタンがメインディッシュらしい。
非給食当番チームが、自分の給食と給食当番チームの給食を配膳してあげて食事の準備が整った。
今日の日直の鈴木が颯爽と教卓の前に立ち、おててのシワとシワを合わせる準備をしている。ただ、今日の役割を果たし満足げであった給食当番チームはエプロンを着替えに行ってからまだ戻ってきていない。鈴木、君は大人になっても集合場所には時間の余裕を持って到着できるタイプになるだろう。
いつの間にか班で向かい合わせになっていた机に、全員が戻ってきた。今週の温食係の餌食になっていた龍斗も隣の席に戻ってきた。
絶対に一人で楽々運べる重さにナポリタン分けた方がいいよなー!と仲が良ければ言っていたと思うが、今までほとんど喋ったこともない龍斗にいきなり謎ディベートをふっかける勇気はない。
鈴木は、5分前から準備していたにも関わらず、予想をはるかに下回る声量の「いただきます」で食事の開始を宣言した。
先生に怒られない程度の声量で、日直の後に続いて「いただきます」と宣言するのがクラス全員の暗黙の了解だが、今日の龍斗は違った。
「いただきマッスルパンチ」
この言葉とともに肩にパンチをお見舞いしてきたのである。
僕はパニックになりながらも、今一番聞きたい質問 「どうゆうこと?」を絞り出すことに成功した。
「仕返し」
一言だけ残し、龍斗は給食をあっという間に平らげた。


何に対しての仕返しなのか全く理解できなかったし思い当たる節もなかったが、それ相応のことを僕はしたのだろう。それからすぐに龍斗は転校してしまったのでパンチに込められた想いは26歳現在もわからない。
ただあのパンチは、筋肉が拳に乗ったいいパンチだったことは間違いない。
いただきマッスルパンチ の威力を上げるために温食は重いのかもしれない。

終わり

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