【企業分析③】博報堂

今回は広告業界2位の博報堂にスポットを当ててみたいと思います。

就職人気も高い広告業界ですが、実際どんなビジネスなのか外から分かりづらい部分も多々あるかと思いますので、出来るだけ分かりやすく、ビジネスモデル・直近の状況を解説していきたいと思います!

※企業分析④では、業界最大手の電通を取り上げています。博報堂と電通の比較が分かりやすいように書いていますので、ぜひセットでご覧いただければと思います。

【読んで欲しい人】
↓↓のような人向けの情報です!
・対象企業の現状を、サクッとどんな状況なのか知りたい
・ビジネスモデル・マーケティングの勉強がしたい
・就活対策のために企業の情報を網羅的に知っておきたい


【ご注意事項】
・2017年3月時点での情報をもとに分析、考察しています。
・情報のソースは独自でかき集めており、分析内容には一部主観も含みますので、悪しからずでお願いします。


今回も同様に、以下の流れで分析をしていきます。
■市場環境(PEST分析)※全分析ともに共通
■ビジネスモデル(売上算出式)
■自社・顧客・競合分析(3C分析)
■製品・価格・流通・広告分析(4P分析)
■5F分析
■分析から見える課題
■分析を踏まえた新規施策アイデア

それでは長々と失礼しますが、お付き合いくださいませ!

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▼市場環境(PEST分析)※2017年3月時点・全分析ともに共通
・Politics(政治情勢)
農協の組織改革を柱とする農業改革、労働市場の柔軟化を含む労働改革、増え続ける社会保障費を抑制するための医療・年金・介護改革など、課題は山積みな状態。
米トランプ大統領がTPP脱退を宣言。TPP脱退実現の場合、TPP前提で計画されていた農業改革が遅れ、工業品の輸出が伸びない傾向。
同じく米トランプ政権の指針で、米軍駐留撤退の可能性あり。自国防衛についての議論が活発になる。→実際のトランプ政権の動きは現状不透明なため、影響を大きく受ける可能性あり。

・Economy(経済情勢)
米大統領選後、円安傾向が続いており、輸出企業(主にメーカー)の業績回復が見込まれ、景気は緩やかに良くなる基調。
2020年オリンピックに向けて公共事業・不動産開発はじめ、消費の拡大が続く見込み。
海外からのインバウンド来訪者数・消費額も年々増加傾向あり。

・Society(社会情勢)
2016年の労基関係事件もあり、働き方改革が緩やかに浸透し、企業活動において生産性が問われる。(プレミアムフライデー・週休3日制導入企業も出てきた)
流行モノはマス(TV)とネット(SNS)のセットで生成されるようになる。

・Technology(技術情勢)
AI、IoT、VR、ドローンなど、2016年騒がれた技術を活用した新端末・サービスが続々商品化、一般に普及していく見込み。
IoT、ロボット技術を活用したスマート家電商品も続々リリース、一般に普及見込み。
ビットコイン/ブロックチェーンのような仮想通貨の技術が、他産業にも応用される可能性が出てくる。


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▼ビジネスモデル(売上算出式)
「売上 = 案件単価 × 案件数」
※案件単価 = メディアマージン + 制作費用 + フィー (キャスティング・コンサルティング・マーケティング調査等に関わる手数料)

※博報堂DYホールディングス全体売上 = 博報堂+大広+読売広告社
※主要3子会社の売上比率:博報堂7割強、大広1.5割、読売広告社1割弱ほど
※今回の分析では、主に博報堂単体を分析対象とする


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▼自社・顧客・競合分析(3C分析)
■自社(Company)
【企業理念】
・フィロソフィー
生活者発想
「生活者発想」とは、人を、単に「消費者」として捉えるのではなく、多様化した社会の中で主体性を持って生きる「生活者」として全方位的に捉え、
深く洞察することから新しい価値を創造していこうという考え方です。生活者を誰よりも深く知っているからこそ、クライアントと生活者、さらには社会との架け橋をつくれるのだと考えます。

パートナー主義
「パートナー主義」とは、「責任あるパートナーとしてクライアントと共に語りあい、行動し、創造する」ことです。
生活者発想という異なる視点を持った上で課題を共有出来るからこそ、パートナーになれると考えます。

【ビジョン】
未来を発明する会社へ。

・直近業績
2015年度
売上(ホールディングス連結):1兆1,310億円(前年比103.2%)
売上(博報堂単体):6,587億円(前年比103.1%)
営業利益(ホールディングス連結):368億円

2016年度
売上(ホールディングス連結):1兆2,152億円(前年同期比107.4%)
売上(博報堂単体):6,861億円(前年比104.2%)
営業利益(ホールディングス連結):449億円

【経営資源】
・人:クリエイティブ人材に強み。近年は中途で、①デジタル人材(メディア・アナリスト等)、②スタートアップ人材、③海外人材の獲得を強化中。
・モノ:なし
・情報:生活総合研究所を中心に、自社グループ内で複数のシンクタンク機能を持っている。

■顧客(Customer)
【市場】
2016年の総広告費:6兆2,880億円、前年比101.9%(5年連続プラス成長)
※内訳は以下
・新聞広告費:5,431億円(前年比95.6%)
・雑誌広告費:2,223億円(前年比91.0%)
・ラジオ広告費:1,285億円(前年比102.5%)
・テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連):1兆9,657億円(前年比101.7%)
 - 地上波テレビ:1兆8,374億円(同101.6%)
 - 衛星メディア関連:1,283億円(同103.9%)
 - マスコミ四媒体広告制作費:3,061億円(同99.8%)*衛星メディア関連は除く

・インターネット広告費(媒体費+広告制作費):1兆3,100億円(前年比113.0%)
 - インターネット広告媒体費 1兆378億円(同112.9%)
 - インターネット広告制作費:2,722億円(同113.4%)

・プロモーションメディア広告費:2兆1,184億円(前年比98.9%)
 - 屋外広告:3,194億円(同100.2%)
 - 交通広告:2,003億円(同98.0%)
 - 折込広告:4,450億円(同94.9%)
 - DM:3,804億円(同99.3%)
 - フリーペーパー:721億円(同98.8%)
 - フリーマガジン:1,546億円(同98.3%)
 - POP:1,951億円(同99.0%)
 - 電話帳広告:320億円(同95.8%)
 - 展示・映像ほか:3,195億円(同104.3%)

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