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地方自治体のためのガバメントクラウド

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地方自治体のシステム標準化・共通化のためのプラットフォームとしてガバメントクラウドを準備し、活用していくことが想定されています。これらに求められることを整理して検討の一助になれば… もっと読む
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記事一覧

ガバメントクラウドの今後の動向予測と、主権にまつわる諸外国の戦略

昨今、日本でも経済安全保障に関する動きが活発化しています。情報システムを提供するプラットフォームであるクラウドにおいても、議論が進んでいる印象です。以下はデジタル庁が 2021 年末に発表した新重点計画になります。 こちらの PDF 版の P.14 に以下の記述が書かれています。つまり、クラウドバイデフォルトを推進する中で、情報の機密性に応じてハイブリッドクラウドの利用推進をしていくということが書かれています。 また、これらに併せて発表された経済産業省の「デジタル社会の実

ガバメントクラウドの調達公示への考察 - 後編 -

0/4 に以下の URL に「デジタル庁におけるガバメント・クラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和 3 年度地方公共団体による先行事業及びデジタル庁 WEB サイト構築業務-」が公示されました。 こちらについて、元々の記事が非常に長いため、以下の記事を2分割したものの後編がこちらとなります。 前編をまだお読みでない方はこちらを御覧ください。 ガバメントクラウドの契約・コスト続いて、ガバメントクラウドの契約やコストについても、考えれば考えるほど検討項目は多いと思

ガバメントクラウドの調達公示への考察 -前編 -

10/4 に以下の URL に「デジタル庁におけるガバメント・クラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和 3 年度地方公共団体による先行事業及びデジタル庁 WEB サイト構築業務-」が公示されました。 こちらについて、記事が非常に長いため、以下の記事を2分割したものの前編がこちらとなります。後編と併せて御覧ください。 まず、最初にこれだけの規模感・数のテナントを管理するであろうマルチクラウドは日本のどこでも運用されていない(と思われる)ため、考慮点を網羅することは難

ガバメントクラウドの調達公示への考察

10/4 に以下の URL に「デジタル庁におけるガバメント・クラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和 3 年度地方公共団体による先行事業及びデジタル庁 WEB サイト構築業務-」が公示されました。 まず、最初にこれだけの規模感・数のテナントを管理するであろうマルチクラウドは日本のどこでも運用されていない(と思われる)ため、考慮点を網羅することは難しいですが、ガバメントクラウドの運用に備えて先んじて検討して、先行事業の検証内容に生かしていくことが継続的に必要だと考え

デジタル庁が向かうDXへの「モダナイゼーション」の在り方

ヴイエムウェアという会社で、公共分野のお客様を担当している中島です。私が考えるDXへのアプローチについて、このような形で発信していこうと思っています。 現在、デジタル庁設立に伴い、行政のDXが進められていくという機運が高まっています。行政に限らず、DXに向けては、考えなければならないことが非常に多くあります。その中でも「継続的改善」を実現することが、行政において最もハードルが高いのではないかと考えています。DXに成功しているケースは、このテーマへのアプローチを欠かしていませ

自治体システム標準化・共通化を理解しよう! 「全体像の理解と疑問」

前回は、行政のDXに求められるアプリケーションアーキテクチャとクラウドプラットフォームについて簡単に整理しました。今回は具体的に、「自治体システム共通化・標準化」に求められるプラットフォームとはどのようなものかを考えていきたいと思います。ここで総務省の資料から引用するものは、以下のリンクからご参照ください。https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/chiho/jichitaijoho_system/index.html まずは、この取り組みに

自治体システム標準化・共通化を理解しよう! 「カスタマイズってOK?」

前回の記事で、「自治体システム標準化・共通化」の概要と想定される疑問について整理しました。今後はそれらの想定課題と、どのように解決できるかを考えていきたいと思います。 既にカスタマイズをしている自治体は、カスタマイズをやめなければならないのかこちらについては、3/17の内閣委員会でデジタル関連法案の議論がされています。公明党の濱村先生がご質問されています。 https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=517

ガバメントクラウド先行事業の公募を読み解く

以下のように「ガバメントクラウド先行事業(市町村の基幹業務システム)の公募」が開始されました。今回はこちらの公募について読み解いていきたいと思います。 具体的には以下のPDFファイルを元に読み解いていこうと思います。 先行事業の内容 まずはP.2について、以下の記載があります。現在は全ての標準仕様書が出揃っていない=標準準拠システムがないものがあるため、まずは既存のシステムをガバメントクラウドにリフトするということが前提になっているようです。また、本番環境に移行すること

ガバメントクラウド先行事業に求められる要件へのアプローチ

今回から、以下の「ガバメントクラウド先行事業の公募を読み解く」から、さらに実際に先行事業で検証される内容について、具体的に整理していきたいと思います。今回はまずクラウド上のアプリケーションに対する考え方を整理します。 まず、これからの内容のスタンスとしては、以下の記事でも書きましたが、様々な判断基準からアプリケーションアーキテクチャとクラウドが選択されるべきだと思っています。そのため、今回のガバメントクラウドの検討においては、それぞれのクラウド特性を理解した上でそれらが選択

ガバメントクラウド先行事業における「性能」「可用性」要件を整理する

前回は、ガバメントクラウド先行事業に関連する要件に対して、どのようなスタンスで今後整理していくかについて、まとめさせていただきました。まだご覧になっていない方は、まずは以下をお読みいただけるとスムーズです。 今回の先行事業における単一のクラウドサービス事業者として、有力なのはAWS(Amazon Web Service)です。Native Public Cloudの筆頭とも言えるので、こちらのクラウドサービスで「性能」及び「可用性」の要件について整理していきたいと思います。