見出し画像

キャリアコンサルタントとしての視点の変換(約3000字)

ご無沙汰しております。

現在、多くの方がキャリアコンサルタントの資格取得を目指されています。その動機やきっかけはさまざまで誰一人として同じものはないと思います。ここのnoteの中でも非常に多くの方が、キャリアコンサルタントの資格取得に向けての活動を記録されています。現に私も、資格取得に至った動機のようなものはあります。きっかけと言えるような、「これ」というようなはっきりとしたものかはわかりませんが、自分の中でぼんやりとでもきっかけに近いようなものはあります。ただ、今回の記事では、私のキャリアコンサルタントの資格取得を目指すに至った動機や、キャリア支援を志す経緯については詳細には書かないつもりです。今回は、キャリアコンサルタントの資格を取得するまでと、資格を取得してから実際の業務にあたるようになってからのキャリアコンサルタントの視点の変換について考えてみたいと思います。


新しい年に変わってから大きな自然災害が起き、その惨状が毎日のように報道されています。私は、前の東日本大震災での復興の報道を見聞きして、多くの方が仕事を失ってしまったことを知りました。突然、家や大事な人を一瞬にして失ってしまった辛さを思い知らされました。その中では仕事や職場も同時に失ってしまい路頭に迷う人の姿もありました。そのような報道を見て、当時はまだキャリア支援についてどころか、心理についてもまったくといっていいほど興味をもっていませんでした。しかし、さらにさかのぼって阪神淡路段震災のときにはボランティア活動をするためのすぐに現地に駆けつけたこともあります。自分の中で生活にかんする支援だけでなくキャリアについての支援、人生について手助けのような意識があったのかもしれません。

しかし、そのようなことは普段、なかなか人には話さないですし、こうして文章に書くこともほとんどありません。それは、そのような機会がないことと、仮に誰かに話したとしてもその相手がそのような話を必要としているのか、というニーズや期待があるわけではありません。そういう意味で私個人として、「自分のことを語る」機会は今までほとんどありませんでした。


主観というのは自分に関すること、自分という立場、考え、気持ちという自分に向けた視点です。これは、何よりもわかりやすいことです。誰でも自分のことを誰かに話そうとするとき、おそらくすぐにあれこれと考えが思う浮かぶことでしょう。一方、その視点を自分ではなく他の誰かに向けてだとどうでしょう。たちまち、何もかもわからなくなってしまいます。人の心の中や考え、気持ちはそう簡単にはわからないですよね。

キャリアコンサルタントを目指す人はたくさんいますが、その一人ひとりのキャリアコンサルタントを志すに至った経緯は、それぞれに聴いてみないとわかりません。何を言いたいのかと叱られそうですが、要するに、キャリアコンサルタントになるまでは、そのきっかけや動機、経緯みたいなものがモチベーションになって、実務についたら「こうしたい」「あんなこともしたい」と考えを巡らすと思います。現に私もそうでした。




しかし、実際にキャリアコンサルタントの資格を取得して実務につくと、そのような「自分語り」をする機会はほぼなくなります。むしろ、目の前にいるクライアントの「自分語り」を聴く立場に変わります。この視点の変換こそが自分のキャリアコンサルタントとしてのキャリアをスタートできるかどうかの分岐点になるような気がします。

実際にキャリアコンサルタントとしてのキャリアをスタートさせるためには、たぶんどこかに雇用される場合がほとんどだと思います。中には自分で事業を興すという人もいるかもしれませんが数は少ないでしょう。大多数の人がどこかの組織に応募して雇用されなければキャリアをスタートできません。その際に重要になってくるのが視点の変換です。もちろん、キャリアコンサルタントとして「あれがしたい」「こうなりたい」ということをもつことは重要です。しかしながら、雇用する側からすれば、真っ先に「あなたは何ができるのですか」を知りたいと思います。それを証明するために実際のこれまでの経験、つまり経歴や資格について知ってもらうということにつながります。

しかし、それもいわば自分の自分に向けての視点です。自分の内面について表現することにとどまります。ある程度の社会人経験があり、キャリアコンサルタントの資格を取得でき、その動機や経緯について詳細に話すことができたとしても、雇用する側の「あなたは何ができるのですか」という問いにはすべてこたえられるわけではないのです。

それは、視点を自分から他者に変換する必要があるからです。自分語りをやめ、他者の自分語りを聴くことが重要になるのです。

よく他者の話を聴くこと、傾聴が大事だと言われます。しかし、他者の話をただ聴くだけではキャリアコンサルタントとしての仕事は難しいと思います。これまで、視点が自分に向いていた人がすぐに他者に向けられるわけではありません。それは、その他者に対して興味をもつことが必要なように思います。まあ、いわば「この人はなぜキャリアコンサルタントを目指そうと思ったのだろう」「彼(彼女)の何がそうさせたのだろう」という興味・関心をもつことが視点の変換をするために必要な気がします。

キャリアコンサルタントとしての手法のひとつに、クライアントの興味・関心について気づいてもらうためのさまざまなアセスメントがあります。しかし、ただ機械的にアセスメントを実施しても何も得られないどころか、むしろ支援をより困難にさせてしまうことにもつながってしまいかねません。

ただ傾聴するだけでそう簡単に事が運ぶわけではありません。




もっともっといえば、より抽象度を上げる考えをもつことも求められます。それは、「キャリア支援についての自分なりの考え」です。領域でいえば「学生に向けてのキャリア教育について考えを述べよ」みたいなことを求められることだってあるわけです。しかし、自分の視点が自分に向いたままで、いつまでも「自分のキャリアコンサルタントを志すきっかけ」で考えが止まってしまっていると、上記のような抽象的な問いには答えられないわけです。報道で見聞きしているようなことを繕って答えたところで、それが相手の心に届くわけありません。


自分の、キャリアコンサルタントを志すきっかけや動機を話せることはとても重要なことです。しかしながら、そのような視点が自分に向いているだけではなかなかキャリアコンサルタントしてのキャリアをスタートさせることは難しいように思います。むしろ、自分のことについて語ることが難しくても、他者の話を聴くことから、「なぜそのような興味をもつようになったのだろう」とか「そのような出来事によってその人はどのような心境の変化があったのだろう」「これからどうしていきたいと考えているのだろう」と、自分ではなく他者の考え、気持ち、これからの展望などについて興味をもってあれこれ考えを巡らすことが大事になってくると私は思います。その先に、自分がキャリアコンサルタントとしてクライアントの経験や考え、気持ちを整理・要約し、時には代弁することも可能になります。そういう必要性が今後必ず出てくると思います。

今回は、キャリアコンサルタントとしての視点の変換の重要性について考えてみました。

長い文章を最後まで読んでくださいましてありがとございます。

今回はここまでとなります。

また次回よろしくお願いいたします。

(了)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?