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国鉄改革のあゆみ 3

元記事は、10年以上前に投稿した記事がベースとなります。
葛西氏はすでに鬼籍に入っていますが、JR東海の会長として更には政界とのパイプも深かったわけですが、改革三人組の一人であった葛西氏は、国鉄改革当時は職員局長という立ち位置でした。
JR東海と言う会社の性格を一言で言えば、新幹線総局+職員局による合同組織のようなもので、国鉄本社の中でも旅客局がJR東日本に組織替え。JR西日本は大鉄局がそのまま本社機能を持ったようなイメージであり、四国・九州・北海道の3社はそれぞれ総局が本社機能を持ったという風に説明すれば理解しやすいかと思います。
そうした意味では、各社の社風もそれに沿ったものとなり、より革新を求めた東日本はオープンな役員室を目指し、西日本は旧来の役員室など保守的なイメージとなる、新幹線総局と職員局が合体した東海は、本社会社でありながら運輸省(当時)からの社長などの送り込みは無く、名鉄局長であった須田寛氏が初代社長となるなど、本州3社の中では異色な会社となりました。結果的に、国鉄生え抜きの幹部が創業期にトップに立ったことで、良くも悪くも国鉄の伝統が残されたとも言えますが。
最近の東海は、究極的に合理化を進めすぎて面白みに欠ける嫌いがあるのは残念です。
以下は、公企労レポートの記事になります。

当時の当局側の見解

葛西敬之職員局長【当時・現JR東海会長】の談話を要約しますと

国鉄改革監理員会の見識として、北海道・九州では現行人員に対して北海道で1万3千人、九州では1万1千人が過員(国鉄の表現では余剰人員)が発生するといわれている。

この数字は、当局でも把握している数字でありそれに対して、関連企業などでの転職として確保できたのは、北海道で1千人、九州では一千三百人であり、約一割ほどしか雇用を確保できない状態となっている。

当局としては、職員の雇用確保を最優先に行ってきたがこの差を埋めるのはなかなか容易ではなく、公的部門への転職枠確保を政府に決めてもらいましたが、地域性を埋めることはできず雇用が確保できるのは、東京・大阪・名古屋圏といった大都市に集中されることになる。

現時点で、最終的な(過員)余剰人員は、6万1千人と想定されますが、そのうち北海道と九州で2万4千人ですから余剰人員の約30%が北海道と九州に集中しているただし。

そこで、それを解決させる手法として、北海道・九州の職員による広域異動が検討された。

ただし、北海道・九州から余剰とされる人員が全員移動するとは考えられず、概ね1万人の異動を見込んでいる。

ただし、宿舎の確保などの問題があるため、61年度退職者を見込んで61年4月の募集は、東京・大阪・名古屋の3地区に限定し、東京では約1,800人、名古屋で約700人、大阪で約900人を想定している。
そして、宿舎の確保が出来次第二陣を検討していくことになると考えている。

そこで、広域移動は就業規則に書かれているのかと言う問題が生じると思うが、実際にはこれと逆のパターン。【大都市から地方へのIターン】で、今までも行われているルールで運用していく。

ですので、新しい制度を作るのではなく、人事の任免行為としての異動になるので問題はない。
もちろん、公労法場の団体交渉として認めれる内容については交渉することもあるがあくまでも現行ルールによる交渉であり、新しく制度を作るわけではない。

また、異動させる職員は異動先に定着してもらうことを前提としたいので、本人の希望に基づく形で選びたいと考えている。

実際に、この募集は強制ではなかったが、組合は新会社に残れるパスポート的な意味合いを組合員にも伝えていたようである。

とういのは、当局側としても、「本人の希望に基づいて手を上げさせて選んでいきたい。しかし、本人の希望のみによるという訳にもいきませんので、その中で出す側、受ける側の双方で勤務成績を評価して、優秀な職員を採っていくという形にしたいと思います。」
という話をしてしていますし、極力本人の以前行っていた仕事をつけるように努力したと思うとも言っている。

すでに共同宣言を結んだ動労・全施労・鉄労は、この募集を賛成しているにも関わらず、国労だけは「配転協定」が結ばれていないことを理由にまず「配転協定」のための団体交渉を行うよう申し入れているわけであるが、当局の見解としてはすでに今回とは逆のパターンで都市部から地方に転勤させている例もあるので、団体交渉の必要はないというのが当局の見解である。

以上要約終わり。

と言うことで、国鉄当局としても雇用の確保を最大限に考えているがそれでも北海道・九州では過員【余剰人員】が発生し、その処遇はできるだけ雇用を確保すると言っているでのあるが逆に言えばこの時点で北海道や九州では過員が発生することを把握していた傾向がありそれが、人材活用センターの設置に向かう一員になったのかもしれない。

次回からは、各組合の見解です。

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