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【書評】これまでの仕事 これからの仕事

市谷氏の「これまでの仕事 これからの仕事 ~たった1人から現実を変えていくアジャイルという方法」の書評です。

先日、発刊イベントに参加したこと&予約した本が届いたことを書きました。

発売日が土曜日だったのですが読み始めたら止まらず、一気に読み切ってしまいました!そして最近は手元ですぐに読みたい本は電子書籍ではなく紙の書籍を購入するのですが、たくさん付箋を付けるところがあり読了感が半端ないです。(紙書籍はこうやって付箋で見える化されるのが良いですよねー)

もっと付箋つけたいところがあったのですが選りすぐりな感じです

発刊イベント後に公開されたプレゼンテーション(100ページの大ボリュームスライド!)でこれ本を出す前に出しちゃっていいの?と思っちゃうくらいなのですが、いえいえやっぱり本の中身は是非読んで欲しい。


内容としては、日本企業での仕事の仕方としてこれまでの仕事がどのようなものであったかという「From」と、これからの仕事がどのようにあるべきかという「To」が書かれ、そのギャップを埋めるべく「FromからTo」へ変えていくにはどうすべきか、が書かれています。

そのFromーToは8つのアジェンダで構成されています。

  • 「数字だけ」から「こうありたい」へ

  • 「目先の効率」から「本質的な問い」へ

  • 「想定通り」から「未知の可能性」へ

  • 「アウトプット」から「アウトカム」へ

  • 「マイクロマネジメント」から「自律」へ

  • 「一人の知識」から「みんなの知識」へ

  • 「縄張り」から「越境」へ

  • 「思考停止」から「越境」へ

一つひとつの内容は、恐らくですが多くの書籍でも語られていることが多いと思います。ただ、ここまでまとまって書かれているものは私の知る限り無い。そしてそれぞれが今の日本企業、特にこれまで日本が強くなり支えてきた製造業の企業や組織で起きている大きな経営や組織構造の「負債」をFromとして表しています。そしてそれぞれのFromに対してどうなるべきか(Toの部分)、そしてどのようなアプローチでそのギャップを埋めるかを示してくれています。

読む人に寄ってはToは理想論だ、FromーToをもっと具体的に教えてくれと思うかもしれません。しかしToを聞いてそこに行くべきではないと言える人はほぼいないと思います。

理想論で終わらずに本来はそこに向かうべき北極星として、辿り着くのに時間はかかるかもしれないけど(もしかすると辿り着かないかもしれないけど)あるべき方向に一歩踏み出すことの方が重要なのではないでしょうか。少しでも変わること、それが変革の第一歩ですよね。

FromーToのギャップを埋めるアプローチも事細かくは書かれていません。しかしアプローチは書かれています。それぞれの企業や組織の状況もあるので一気にやれる人もいればまず自分から始められることもあります。まずは自分たちのFromとToを作ろう、それをゴールデンサークルでつくろう、そのときのアプローチはこれこれあって…ふりかえりをしよう、むきなおりをしよう、ものわかりしよう…色々とあります。

そしてそれぞれのアプローチは特別なことは言ってません。これまでも市谷氏やその他の書籍や講演でも言われていることではあります。
でも、それをまとまって示し、8つのアジェンダを繋ぐように構成されているのは本当凄いです(語彙力なくてすみません)。市谷氏の20年の歴史と経験と知見が凝縮されているようです。


効率化し最適化しきった企業では、市谷氏の示す「To」というのは大きな変化であり実行するにはそれなりの負荷もかかり社内的理解を取るのも大変です。しかし、いまの日本企業の会社や組織の「外」を捉えたとき、変化に富み正解が分からない時代、そして国外ではGAFAMや新興勢力に押され、国内ではスタートアップのスピード感に押され、老舗の日本企業の古くさい基盤は盤石なものではなくなっています。やはり変わらなければならない時が来ているのです。

これまで通りのことをこれまで通りやるのであれば、何故そうならなければならないかは理解できないと思います。変わらなくてよければそのままでも良いでしょう。しかし多くの人はそれではダメだと思っているはずです。もしくは面倒ごとからは見ない振りをしているのでしょう(もしくは誰かが変えてくれると)。

加えて言えば、どうすればよいか分からない、やると不都合な真実に立ち向かうことになりやりたくない、今のポジションや既得権益を守りたい(そりゃ生活もあるし)というのもあるでしょう。

私は口ばっかり、変わるべきだ・DXに取り組むべきだといいつつ、実際の行動は異なる人をたくさん見ています。市谷氏のこの本に出てくる言葉でいえば「面従腹背」ですね。思考停止の一要素です。DXやアジャイルの本質を理解してないまま言葉だけ綺麗に語る人もたくさん見ています。

でも、少しでも変わろうとしているのであれば、希望はあると私は思います。


色々な思いはありつつ、改めて本というかたちで文章と向き合いつつ読んでいくと、自分が今デジタルトランスフォーメーションの推進や組織アジャイル普及に立ち向かっている中での課題もそうですが、自分の中にあるモヤモヤした思いの元、これまでの市谷氏の書籍や彼との仕事の中で信じて進めてきたアジャイルの価値観やアプローチ、そこから少しでも見いだせた成果や自分の成長も含め、やってきて良かったしこれからも(これも市谷氏の言葉ですが)「傾きをゼロにしない」ように取り組み続けていくべきだし、取り組んでいきたいと思わせてくれる勇気をくれる一冊になっています。

これまで市谷氏の本を手に取ったことがある人でも改めて気づかされ、ハッとさせられることも多いです(実際私もそうでしたし)。そうで無い人はこの本を道しるべとして、関連図書を読んでみることをオススメしたいです。

加えて、帯にもある「熱量を押しつけるだけではあたりまえは変わらない」と言う言葉も真実と感じます。本当に他人の「あたりまえ」を変えるのは大変です。
ショートカットできないヤキモキすることはありますが、やはり対話と相手の理解が重要なのです。

対話に関して市谷さんに薦められて読んだ本もありますので示しておきます。(書評で他の人の本も薦めるのもあれなんですが・笑)

また、本の内容から感じた事や学びなどの細かいところは別のnoteで書いていこうと思います!

※追記:
ちなみにほぼ同じ内容をAmazonレビューにも記載してます。私本人のものなのでパクってないよ(笑)。

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