【雑文『カンピオーネ!』】 カンピオーネと例の七人についてあれこれ2

では、ひきつづき第2弾。

■■ アレクサンドル・ガスコイン ■■

【基本能力】
体力:意外とある
運動能力:なかなかの運動神経
知力:神算鬼謀
感覚:すばらしい観察力
生命力:憎まれっ子世にはばかる

【人格的特徴】
●ひねくれ者のいい格好したがり
●偽悪家
●高二病
●女運悪し(ただし自業自得)

【権能】
『電光石火』Black Lightning
 電光のスピード――“神速”で移動を行う。
 ただし、神速移動中は精密な動きがむずかしく、心身への負担も甚大。超スピードのコントロールには細心の注意と熟練が要される。
 肉体の全てや一部分を電光形態に変えることも可。この状態になると肉体への負担はほとんどなくなるが、魔術的な干渉にいちじるしく弱くなってしまう。
 尚、電光のエネルギーを一気に爆裂させる攻撃形態『黒い稲妻』も存在する。
 これは草薙護堂の『白馬』に匹敵する破壊力をも得られる用法だが、使用後は半日ほど神速も電光化も使えなくなる。(堕天使レミエルより簒奪)

『復讐の女神』Judge of Furies
 数分から数十分の瞑想を行うことで、“復讐のフィールド”を形成する。
 以後、このフィールド内で繰り出された攻撃の威力は全て『復讐の三女神』がたくわえ、アレクサンドル・ガスコインの指示に応じて、攻撃者自身へ跳ね返す。
 瞑想時に使用する呪力の量が多いほど、瞑想の時間は短くなる。
 復讐のフィールドをいくつか同時展開することも可能。
 尚、最初から女神たちの姿を露骨にさらす形でなら、瞬時にフィールドを形成できる。(復讐の三女神メガイラ、ティシポネー、アレクトーより簒奪)

『大迷宮』The Labyrinth
 地下や地上に巨大な迷宮を造り出す。造るだけでなく、既存の建物や地形を迷宮に変えてしまうことも可能。空や海なども対象にできる。
 迷宮の主であるアレクサンドル・ガスコインは、迷宮の内部では『最深部に瞬間移動できる』など、いくつかの特殊能力を得る。(大地と迷宮の神ミノスより簒奪)

『無貌の女王』Queen the Faceless
 白い翼を持つ半人半蛇の女神を使い魔として召喚する。
 陸海空のあらゆる場所で活動でき、きわめて知的。戦闘はもちろん、それ以外のさまざまな案件をまかせることができる。
 しかし、顔を見られると彼女は即座に消え失せてしまう。(妖蛇の魔女メリュジーヌより簒奪)

『さまよう貪欲』Weird Greed
 あらゆるものを吸いこむ巨大な暗黒の球体を呼び出す。移動速度は遅いが、その吸引力はブラックホールさながらのすさまじさである。
 吸引力を抑えれば、暗黒球のサイズを小さくすることも可能。(巨獣ベヘモットより簒奪)

【備考】
 四人目からは新世代の若きカンピオーネたち。
 まずはアレクサンドル・ガスコイン、黒王子アレクの登場です。振り返ってみれば、主人公以外で最も出番の多いカンピオーネかもしれません。口と女運が悪く、イケメンの草食系、ひとりでダヴィンチ・コードばりの謎解きをして悦に入る……難儀な人です。
 護堂たちの時代から一〇年ほど昔にさかのぼる『カンピオーネ英国編』は、若きアレクとローティーンのプリンセス・アリスが丁々発止の駆け引き・漫才・本当にときどきラブコメする物語となります。

■■ ジョン・プルートー・スミス ■■

【基本能力】
体力:ヒーローだから当然タフ
運動能力:ヒーローはもちろん機敏
知力:頭脳明晰の完璧超人
感覚:すばらしい観察力
生命力:不死鳥のごとき生命力

【人格的特徴】
●自己演出過多のキザ男
●いつでも芝居っ気たっぷり
●孤高のカリスマ
●その正体はアニー・チャールトン

【権能】
『超変身』Metamorphoses
 贄を捧げることで、五つの姿に変身できる。
 一度使った変身体には、七日の間は変身できない。
 第一の姿は大いなる魔術師。贄は『人が土より造りし巨大な建造物』。
 第二の姿はジャガー。贄は『人工の光』。
 第三の姿は殲滅の焔。贄は『雨(その土地では雨がしばらく降らなくなる)と自分自身(スミス自身の肉体も焔で灼かれるので、強靱な変身体になっていないと焼け死ぬ)』。
 第四の姿は黒き魔鳥。贄は『大地(地震が起きて大地を傷つける)』。
 第五の姿は蛇使い。贄は『自分以外の者が殺した生き物の屍』。(煙を吐く鏡・魔神テスカトリポカより簒奪)

『魔弾の射手』The Freeshooter
 光の矢を放つ権能。月が満ち欠けを繰り返す間に六度しか撃てない。
 新月の夜に矢は補充され、ふたたび六度撃てるようになる。
 スミスは主に銃弾という形で射出している。矢はただ敵を撃つだけではなく、自動追尾・散弾化・爆発・発光など、さまざまな形に応用変化できる。
 複数の矢を同時に撃つことで、威力を強化できる。
 また、そこに大量の呪力を注ぎ込むことで格段にパワーアップできる。二本の矢を同時に撃つときはプラス呪力で威力二倍どころか、どかんと四、五倍というように。
 六本全てを一斉発射する場合、最大で国さえ滅ぼしうる破壊力も引き出せる。
 単純な戦闘用の武器ではなく、戦術的・戦略的な兵器としても活用できる万能の攻撃手段である。(遠矢撃つ月女神アルテミスより簒奪)

『妖精王の帝冠』Lord of Elves
 アストラル界と地上を行き来する力。
 世界を移動する際は、極度の精神集中が必要。
 また、神を除くアストラル界の住民に対して支配力を発揮できる。
 短時間であれば、アストラル界の生物を地上に呼び寄せられる。ただし、召喚する場所がアストラル生物の適応できる土地でなければならない。(妖精王オベーロンより簒奪)

『形なきもの』Formless Spawn
 物体の形を“あいまい”にして、素通りできるようにする。
スミスは主に建物の壁や扉に使用し、不法侵入の用途に用いるのだが――それだけがこの権能の全てではない。
 都市ひとつをまるまる対象にして、蜃気楼の街に変えることもできる。
 同じ物体を立てつづけに対象とすることはできない。(地獄の伯爵ビフロンスより簒奪)

『深き底の使徒』EarthSea Shaker
 異形の魔神を水底や地底に呼び出し、使役する。
 この魔神は地表や空気中に出てくることはできない。
 しかし、その魔力はきわめて強大。河川や海の水を操り、氾濫や津波を起こせる。そして大地に地震を起こすことも――。
 威力を抑えれば、一軒家をぐらぐら揺らす程度にとどめることも可能。
 が、決して器用ではないので、繊細なコントロールは失敗しやすい。逆に威力と効果範囲を高めることは得意。スミスに大きな消耗を強いるものの、カリフォルニア全土を地震/洪水で呑みこむこともできる……。(シュメールの竜神ティアマトより簒奪)

【備考】
 仮面の怪人にしてロサンゼルスの守護聖人、ジョン・プルートー・スミス。
 魔王さまのくせにヒーローなんぞやっている彼ですが、演出過剰の派手好き・事件の山場には必ず遅れて登場・深謀遠慮もそこそこ巡らすくせに、肝心なところではいつも結果オーライの行き当たりばったり。
 この問題人物ぶり、やはりカンピオーネだけのことはあります。
 ちなみに、彼や主人公・草薙護堂の『第一の権能』は五形態への変身だったり、十の特殊能力だったりと、やけに多彩な印象をあたえますが。
 ほかのカンピオーネもひとつめの権能は非常にフレキシブルかつ大雑把に応用できるものが多いので、スミス&護堂が優遇されているわけではありません。

■■ サルバトーレ・ドニ ■■

【基本能力】
体力:バカみたいに頑丈
運動能力:神を殺めし武の天才
知力:もちろん悪い
感覚:天性の直感力
生命力:死なないからバカは治らない

【人格的特徴】
●もちろんバカ者
●でも、意外と狡猾
●しかして、やっぱりバカ者
●大智は大愚に似たり

【権能】
『斬り裂く銀の腕』Silver-arm the Ripper
 右手で持つ物体を魔剣に変えて、万物を切り裂く。
 対象物は刃物でなくともかまわない。爪楊枝や木の枝でも魔剣にしてしまう。
 この魔剣には形あるものを全て一刀両断する神力があるほか、形のない気体・液体・霊体などもたやすく断ち切る。また、治療不可能な切り傷をあたえる魔力、切られた傷口が燃えあがる魔力など、さまざまな霊験を秘めている。
 隕石を剣に見立てて墜落させるなど、常軌を逸する応用法もある。(ケルトの神王ヌアダより簒奪)

『鋼の加護』Man of Steel
 肉体に鋼鉄の硬さと重さを付与して、身を守る。
 重くなっても動きは鈍らないため、その超重量を攻撃にも利用できる。
 鋼鉄化しているときは酸素や食事も必要とせず、水中や真空中に年単位で滞在することになっても死ななくなる。
 最終手段として、仮死状態となって死を免れる奥の手もある。
 が、仮死状態の間はもちろん無防備となるため、かなりハイリスクでもある。(北欧の英雄ジークフリートより簒奪)

『いにしえの世に帰れ』Retun to Medieval Style
 周囲の文明レベルを中世ヨーロッパの水準にまで下げてしまう。
 当時は存在しなかった機械類が全て動作しなくなる。
 効果範囲は小都市ひとつ、持続時間は半日程度というところ。しかし、ドニがこの権能に呪力を大量に注ぎ込めば、範囲と時間も飛躍的にのびる。大都市ミラノの全域を幾日も文明退化させることも可能。
 世界に脅威をあたえるという点においては、実は恐るべきポテンシャルを秘めた権能。(ローマの工芸神ウルカヌスより簒奪)

『聖なる錯乱』Divine Confusion
 魔術・呪力・権能を暴走させ、コントロール不能にするフィールドの形成。
 ドニ自身の権能も暴走するほどの効力を持つ。『いにしえの世に帰れ』と共に有用性が低いように見えて、使い方次第では恐るべき切り札となる権能。(酒と狂気の神デュオニュソスより簒奪)

『鋼鉄の暴走』Iron Stampde
 馬などの畜獣、馬車、自動車といった『地上を疾走する道具』なら、あらゆるものを対象にできる。それらの獣や乗り物はドニをボスと崇める意志に目覚め、彼に付きしたがって攻撃/突撃/暴走を行うようになる。
 対象となる獣、乗り物はいくつあってもいい。
 数百、数千、数万といった数でもドニの指揮下に収まってしまう。
 さらに対象を鋼鉄の鎧や装甲版、衝角や刃で武装させることなども可能。この軍団をひきいて、ドニはひとりで『マッドマックス』を再現できる。
 そして、この鋼鉄軍団に突撃と暴走以外の命令を下すことはできない。
 車の多い都市部で使えば、その一帯は恐怖と混乱の巷と化す。(軍神アーレスの息子フォボスとディモスより簒奪)

【備考】
 われらが主人公の自称親友にして宿敵、サルバトーレ・ドニ。
 世界最高の剣士・美形・神殺しなんて、ふつうなら『かっこいいライバル』ポジションに収まりそうな設定なのに、なぜか『大バカ』属性まで付加されています。
 いや、こんなキャラにした理由、作者も全然覚えてないのですが(苦笑)。
 とはいえ、なかなか一筋縄ではいかない、味のある男です。実はカンピオーネ七人のなかで、最も書きやすいキャラでもあります。たぶん思考と行動がシンプルだから……。

■■ 草薙護堂 ■■

【基本能力】
体力:鍛えてますから
運動能力:獣のような反射神経
知力:いい人なのに抜け目がない
感覚:動物的直感
生命力:死ぬかと思っても生き残る

【人格的特徴】
●まじめで誠実
●友達想いで義侠心に富む
●でもロクデナシ
●清濁併せのむ

【権能】
『東方の軍神』The Persian Warlord
 草薙護堂にウルスラグナ十の化身に応じた特殊能力をあたえる。
 強風の化身は瞬間移動。雄牛の化身は怪力。白馬の化身は太陽の焔を投射。駱駝の化身は格闘能力とキック力の飛躍的向上。猪の化身は巨大イノシシの召喚。少年の化身は仲間に力と加護を授ける。鳳の化身は神速発動。雄羊の化身は死からの蘇生。山羊の化身は電撃。戦士の化身は神を斬り裂く言霊の剣。
 それぞれに使用条件があり、一度使った化身はしばらく再使用できない。(ペルシアの軍神ウルスラグナより簒奪)

『天叢雲劍』Ama-no-murakumo
 右腕より神刀・天叢雲劍を呼び出す。
 天叢雲劍は戦闘時にアドバイスやフォローをしてくれる。さらに他者の権能を部分的にコピーすることもできる。(神刀・天叢雲劍より簒奪)

『黒の剱』Storm Bringer
 万物を呑みこむ疑似ブラックホールの作成。
 発動には時間がかかるものの、その吸引力と破壊力は絶大である。(本当は魔女キルケーから贈られた叡智の権能《暁の秘録》によって、女神アテナから託された秘法を運用している)

『白き騎士の突撃』Lance of WhiteKnight
 槍の軍神ランスロットに命じて、戦わせる。
 ふだんは守護霊に過ぎないランスロットに、かつての力を十分間だけあたえられる。(かつてアマゾン族の女王であった女神より簒奪)

『太陽を喰らう者』Sun Stealer
 焔、高熱、閃光のかたまりや、それらによる攻撃を封印してしまう。
 攻撃者よりも護堂の方が呪力で勝っている場合、逆にそれらの熱や焔を我がものとし、自由に使うこともできる。(白猿神ハヌマーンより簒奪)

『反運命の戦士』Anti-Fatal Champion
 運命による束縛を断ち切ることができる。あるいは、運命の糸を任意の対象に結びつけてしまうことができる。(源印欧語族の運命神より簒奪)

【備考】
 いよいよ主人公・草薙護堂です。
 彼にツッコミをはじめると、『本当に口だけは真人間だな!』とか『おいおい○○ページ前に何て言ったよ!』等、切りがなくなる困ったやつです。
 が、誠実で義侠心にあふれる少年でもあります。
 義侠――義と侠気は草薙護堂という人格を語るうえで、外せないところです。『義』とは人として為すべき、正しい行い。『侠』とは弱い者を助ける男気。にもかかわらず、ついうっかりでアナーキーな破壊活動に走り、幾人もの女の子と同時におつきあい、何度反省しても行いは改まらない……。
 つまるところ、彼は清水次郎長、斉天大聖・孫悟空、梁山泊の豪傑たちといった『アウトロー』の系譜に連なるヒーローなのです。行儀のよい『正義の味方』とは一線を画す――というより、相反する存在です。
 三国志演義なら関羽・趙雲ではなく、張飛・呂布の枠ですね。
 やはり、彼もまたカンピオーネにふさわしい人物と言うべきなのでしょう。

――――追記――――

■ウルスラグナ十の化身、能力の詳細について

 古代ペルシアの軍神ウルスラグナから簒奪した十の化身。
 特定の状況下において、草薙護堂に10パターンの特殊能力をあたえる。
 シリーズ終盤にさしかかるまで、十の化身はそれぞれ一日に一度しか使えなかった。

・第一の化身『強風』
【使用条件】
 ある人物の身に危険が迫ったとき、彼ないし彼女が草薙護堂の名を呼ぶ。当該人物は自然の風が吹く場所にいなくてはならない。
【効果】
 当該人物の呼び声を、護堂はどこにいようと聞き取れる(たとえば地球以外の星や異次元にいようとも)。
 彼ないし彼女がいる場所まで、護堂は風に乗って瞬間移動できる。
 このとき、護堂の体にふれている者をいっしょに連れていくこともできる。

・第二の化身『雄牛』
【使用条件】
 人間ではかなわないほど剛力の敵と戦うとき。
 対象となる敵が消えたあとは、十数分で効果は消える。
【効果】
 護堂はバカバカしいほど力持ちになる。
 彼の体重×数百倍(30~35トン程度?)までの物体であれば、さわったりつかんだりして『持ちあげる』『力まかせに壊す』ことが容易にできるようになる。
 そして呪力と体力を消耗すればするほど、パワーはどこまでも上昇していく……。

・第三の化身『白馬』
【使用条件】
 民衆を苦しめる者と戦うとき。
【効果】
 東の空に第二の太陽を呼んで、地上にフレアを撃たせる。

・第四の化身『駱駝』
【使用条件】
 護堂が重傷を負ったとき。
【効果】
 護堂は格闘技の達人(ただし蹴り技オンリー)になり、キック力が強化される。
 キック一発で岩をも砕き、鉄筋コンクリートのビルの壁に大穴を開ける破壊力。タフネスも増すので、重傷状態でもそこそこ元気に動きまわる。

・第五の化身『猪』
【使用条件】
 巨大な物体を破壊したいとき。
 ……というのは、護堂の自己申告。
 より正確には、巨大な物体を『猪』の生け贄に捧げるとき。
【効果】
 護堂の指示で動く怪獣『猪』を出現させる。
 生け贄の巨大物体を壊すと満足して消えるので、上手く「おあずけ」しながら戦わせるのが本当の使い道。原作護堂はそのことにうすうす気づきつつも、人聞きが悪いので「大きな物を壊したいときだけ呼ぶ」というのを基本スタンスにしている。
 召喚獣というより、護堂の分身。
 だから出現中、護堂も突進力が増す。

・第六の化身『少年』
【使用条件】
 護堂のために戦った者が傷つき、倒れたとき。
【効果】
 護堂のために倒れた者へ、ウルスラグナの加護をあたえる。
 これを授かるとHP完全回復、毒や気絶などのステータス異常はオールクリア、一時的にパワーアップも遂げる。
 加護をあたえる方法は二種類ある。
 ひとつめは口から口へ吹きこむ方法。ふたつめは血を媒介にする方法。
 後者の場合、対象者の血を流している傷口に護堂の血を接触させればよい。しかし、護堂は出血多量の要救助者と遭遇していないので、いまのところ気づいてない。

・第七の化身『鳳』
【使用条件】
 護堂が高速の攻撃にさらされたとき。
【効果】
 護堂は稲妻のスピードで動けるようになる。
 携帯している荷物の重量がゼロになる。
 ただし、制約あり。
 一、熟練するまでは上手く動けない。
 二、一定時間がすぎると心臓が痛みはじめ、最後は金縛り状態になる。

・第八の化身『雄羊』
【使用条件】
 護堂が瀕死の重傷を負ったとき。
 そして、即死せずに「黄金の毛皮を持つ羊」をイメージできたとき。
【効果】
 護堂は一度死亡したあと、わずか数時間で蘇生する。
 全てのダメージは昏倒中に治癒してしまう。

・第九の化身『山羊』
【使用条件】
 群衆が「不幸」「苦難」「不安」「恐怖」にさらされているとき。
 群衆は生きた人間である必要はなく、死者の亡霊なども対象となる。
【効果】
 護堂は精神感応力で、群衆の放つ負の精神エネルギーを集める。
 その力を雷雲と電撃に変えて、武器にする。

・第一〇の化身『戦士』
【使用条件】
 切り伏せたい神の知識を十分に持ち、どのような神かを真に理解したとき。
【効果】
 対象の神と、その神力を切り裂く『剣』を大量に出現させ、使用できる。
『剣』は黄金の光球で、数千~数万個もまとめて生み出し、マシンガンの弾のように用いる。
 攻撃だけでなく防御にも使える。

■余談・『鳳』の化身について

 古代ペルシア、ゾロアスター教の軍神ウルスラグナは十の化身を持つ――。
 というのは、もちろん丈月城のオリジナルではございません。
 十変身、その内訳は「1:強風、2:雄羊、3:白馬、4:駱駝、5:猪、6:少年、7:鳳、8:雄羊、9:山羊、10:戦士」です。
 ネットで検索すると、あちこちで見ることができます。
 が、しかし。
 ネット情報ですと「7:鳳」がたいてい「カラス(鴉)」となっております。
 これはおそらく、宗教学者の岡田明憲先生の著書『ゾロアスター教・神々の賛歌(平河出版社)』より引用された情報が、ネット上で何度も孫引きされていった結果だと思われます(もちろん確証はなく、単なる僕の想像ですが)。
 この鴉を『鳳』に変えたのは、実は物書き・丈月城のオリジナルです。
 というのも、前述の岡田先生がのちに『象徴図像研究(言叢社)』という本に寄稿された『古代イランの動物変身―ウルスラグナを例に』に、

“ウルスラグナが変身するという鳥、以前は『鴉』と訳したが、むしろ『隼』とすべきだったかもしれない”

 そういう旨の記述があったのですね。
 この鳥、ひとまず大型の猛禽であろうことはまちがいないだろうと。
 そして勝利を神格化した神にふさわしい鳥種は王権との関係もかんがみて、隼ではないかと推定する――。そのような内容です。
 それを参考にして、丈月は『……鳳とか書いておけば、そんなにまちがいはないかな』とぼかしたわけなのです。
 興味がおありの方は、原文の全てを是非ご参照ください。
(神話関係が好きな御方には、非常に面白すぎる論考なので)
 で、ひさしぶりに某WEB辞書でウルスラグナの項目を見てみたら。
 ……2017年の12月時点で、なぜか十の化身の七つめが「大鳳」になっているやん。
 すくなくとも数年前までは、ウルスラグナの化身に「鳳」の字を使うパターンは自分の著作以外に確認できなかったので……まさか誰かが『カンピオーネ!』を見て、Wikipediaを書きかえたのではなかろうなと不安になった次第です(苦笑)。




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