『るろうに剣心 最終章 The Beginning』

原作「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」の「人誅編」の途中にあった「追憶編」を実写化した『るろうに剣心 最終章 The Beginning』。『るろうに剣心』シリーズの1作目より前の1864年から68年までの幕末から明治維新で緋村抜刀斎を描き、実写映画『るろうに剣心』シリーズにおいても異色の作品になった。

 

前作までは志々雄真実や雪代縁らなど、わりと派手な架空のキャラが出ていたが、今回は控えめで、その代わり、近藤勇や沖田総司などの新選組や高杉晋作、桂小五郎といった維新の志士など実在した歴史上の人物が多く、中盤には池田屋事件があるなど歴史ロマンをくすぐられる。中でも、剣心と沖田総司とのバトルは必見で、その結末が沖田総司のある特徴を捉えていて興味深い。

 

幕末という時代考証がしっかりしていて、全体的に暗い作りになっている。また、剣心も「殺さずの誓い」をする前なので、剣心が相手を斬る度に血飛沫があがり、どことなく『用心棒』や『座頭市』など昭和の時代劇の匂いがする。

 

今回は雪代巴とのエピソードが多く、恋愛的な要素もあり、この部分でも異色。また、剣心が旅館の自室で佇んだり、後半の農村暮らしに馴染むシーンなど「間」を見せる演出が多く見られる。

 

 

「間」による「静」の描写と、アクションの「動」の描写のコントラストが絶妙で、幕末を描いていることもあり上質の日本映画に仕上がっている。これまでの実写映画『るろうに剣心』シリーズが好きな方にはおとなしい作品になってしまったが、実写映画『るろうに剣心』シリーズ最高傑作とも言えよう。

 

 

評価:★★★★

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