2024年1月　国連女性機関(UN Women)

《状況概観-数字の背後にある人間》
2023年10月7日以降、ガザ地区では24,620人以上のパレスチナ人が殺害され、その70％が女性や子どもだった。UN Womenの推計によると、約100万人の女性と女児を含む190万人以上（ガザの全人口の85％）が避難している。ガザの全人口、およそ220万人が、危機的な、あるいはそれ以上の深刻な食糧不安に陥っている。

《避難生活のジェンダー化された経験》
ガザでは、人命の損失と深刻な人道的ニーズが前例のないレベルに達している。2023年1月には、パレスチナ占領地全体でおよそ210万人のパレスチナ人が何らかの形で人道支援を必要としており、そのうち49.2％が女性であると推定されている。2024年初頭の時点で、ガザの人口の大半は何度も徒歩で強制的に避難させられている。避難は、人々の脆弱性を悪化させ、対処メカニズムを蝕み、ジェンダーによって異なる影響を与える。ガザで地上作戦が始まって以来、男性が恣意的な拘束や強制失踪に直面したことが報告されている12。メディアの報道によると、女性もまた、避難の旅の間、恣意的な拘束や嫌がらせのリスクに直面した。高齢の親族や、身動きがとれない障がいのある家族がいる家族にとって、介護者として残るのは不釣り合いに女性である。
深刻な過密状態の避難所や、瓦礫に埋もれた路上で、女性や少女たちは言いようのない状況下で空爆からの安全を求めている。しかし、ガザではどこも、誰も安全ではない。ひとたび避難を余儀なくされた家族は、国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）が指定する施設やホストファミリーなど、避難できる場所に身を寄せるが、彼ら自身も安全保障上のリスクに直面している。戦争が続く中、ガザの人々は、個人的・集団的な対処メカニズムがほぼ完全に失われている。家族やコミュニティ内の緊張は高まり、その結果、ジェンダーに基づく暴力（GBV）など、ジェンダーに関連する保護上の懸念のリスクが高まっている。
危機はまた、パワー・ダイナミクスやジェンダー関係にも影響を及ぼし、人道援助の提供において考慮されなければならない。家族の全部または一部の喪失、両親や生計維持者の喪失、家庭やコミュニティの喪失は、核家族、拡大家族から超拡大家族への変化を含む家族形成の変化につながり、ジェンダー関係、役割、力学に影響を与える。女性は、食糧不足、学校の閉鎖、教育の機会の喪失を考慮して、家族が早期結婚を含む絶望的な対処法に頼ることをますます恐れている。

《人道的ニーズとジェンダー的配慮》
人道支援はどの層にもほとんど届いていないが、物資、サービス、資源へのアクセスにおける男女間の不平等によって、女性と女児はさらに不利な立場に置かれている。これは、特に女性が世帯主である世帯に当てはまる。女性世帯は、わずか6週間で3,000人も急増した可能性があり、現在では家族を養い、守り、養う唯一の責任を負っている、明らかに脆弱なグループである。このような困難は、深刻な食糧不足、保護の欠如、収入を得る機会の欠如によってさらに深刻化している。ガザ地区の労働者の約85％は、紛争が始ま って以来、仕事に就いていない。ガザでは、危機の前 に収入を得ていた女性は少数であり、その数は減 る一方である。ガザの歴史上初めて、飢饉の危険が差し迫っており、その危険は、絶え間ない敵対行為と人道的アクセスの制限とが相まって、日に日に高まっている。前例のないレベルの深刻な食糧不安の中で、女性と女児が最も大きな打撃を受けると予想される。女性は、食糧へのアクセスが制限されると、食糧摂取を大幅に優先しなくなる傾向があるからだ。妊娠中や授乳中の女性は、自分自身だけでなくお腹の赤ちゃんにとっても、健康や栄養不良のリスクがさらに高くなる。
一般的に女性は、特に女性の世帯主、高齢の女性、障がいのある女性は、食糧配給を受けようとする際、安全保障や保護の障害にも直面している。国連人口基金（UNFPA）の推計によると、ガザでは今後1カ月間に5,500人の女性が出産する予定で、そのうち840人が妊娠や出産に関連した合併症を経験し、利用できない追加医療が必要になる可能性がある。UNウィメンは、ガザに2つしかない女性用シェルター（いずれもガザ・シティにある）が閉鎖され、電気通信と停電により、リスクが最も高いときにこそ、遠隔地でのジェンダーに基づく暴力サービスの提供が著しく制限されていることを記録している。