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初期研修は「咲きたい場所で咲こう」の文脈が弱い気がする。

「研修中ですが、保険診療以外の分野にコミットしてます!」
という同期を揶揄する研修医がいる。「あいつはなんで医者になったんだろうね」と。

そんな人を見かけると、

「あぁ、この人は医学に全集中している人しか受け入れられないのか、心が狭いのかな」と私は思ってしまう。

個人的には、そういう価値観を持っている人まで受け入れられる様なスタンスを取りたい。

とはいえ「研修中に他の分野に!」的な人はそれだけでマイノリティであり、何かと爪弾きに遭いがちなので、意識的に「そういう爪弾きにする空気良くないと思うぜ」という自らのスタンス開示が必要なんだろうな、と最近考えるようになった。


そもそもなぜこの様な人たちは、爪弾きになる事が多いのだろうか?

こういう他の分野へ!という人たちは往々にして「現行のシステム=初期研修」に非協力的であることが多い。なにせ初期研修−専門医−‥というルートが正常だと思われる世界に住んでいながら、他の道を志さんとしているわけだからうなづける。

「現行システムに協力」というのは具体的には、当直業務とかリクルート業務とか、そういう平日日勤中では解決しきれないような業務への協力である。

そこへの非協力があるとどうなるか。
「現行システムに協力して欲しい内野側」VS「現行システムから抜け出さんとする外野側」という対立構造が生まれてしまう。
これでは互いの仕事をいやいや押し付け合う事はあっても、お互い得をする、助け合うなどという事は、発生しないんだろうなと思う。

個人的にはその「他分野を志す」人に対して、その人が全力で迎える分野があるならばそれはとても素敵なことだと思う反面、立つ鳥跡を濁さず的な立ち回りをしてほしいなと思う感情も持っている。医師としてというより、人として。最低限守るべき「義理」なのかなと考える。

別に仲良くつるんで欲しいわけではない。そうではなく、最低限の仕事の付き合い程度はして頂きたい、というわけだ。
それをしてもらえるのであれば、他業界でもなんでも好きにしたら良い。それぞれ咲きたい場所で咲くほうが、幸せなわけだから。

初期研修は狭い世界に見えて、実は各個人の中で様々な世界が広がっている。
人によってローテーション時期、内容が違えば、志す道も違ってくるのは当然である。そんな人同士がたまたま「同期」というだけで進む道まで、考え方まで同じになる、というのは到底考えにくい
寧ろ違って当たり前、という感覚があっても不思議ではない。


今はまだ4月の下旬。オリエンテーションが終わったばかりで「やっと医学生気分が抜けて来た」という人も入れば「医師楽しい!もっと医学やりたい!」という人もいる。「医師免許取れた。あとは最低限の2年を終わらせたら他の分野へ」という人もいる。本当に千差万別な時期だと思う。

自分以外の人間はすべて他者である。寛容さを持ち、生きていきたい。

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