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映画『テネット』を10倍楽しむために!エントロピーって?

こんにちは。

先日話題の『テネット』(TENET)を観てきましたが、難しいですね…

2時間半という長い本編上映時間のなか、ずっと神経を集中させていたので疲れましたが、「わからない」で諦めさせない魅力に溢れた素晴らしい映画でした!

映画の理解を難しくしている要因の1つとして、当然物語のオリジナリティからくる複雑さもありますが、物語の展開には関係ないけど作品のベースとして重要な知識が十分に説明されていないことからきています。

そこで、ネタバレにならない範囲で知っておくとより楽しめる事前知識を書いておこうと思います。

以下の目次について、すべて説明できればこの記事は読まなくても基本的な知識は問題ないと思います。ぜひ、物語自体を紐解けるよう全神経を集中して観てください!

量子力学の世界

量子力学ってわかりそうでよくわからない、そんな分野だと思います。

ものすご〜く平べったくいうと、ちっさいちっさいものを説明するための力学です。

私たちが生活している世界で当たり前のことがミクロの世界では通用しないというよくわからない世界を、この量子力学が説明しようとしています。

例えば、量子力学には不確定性という大きな特徴があります。

シュレディンガーの猫」という思考実験、皆さんも何処かで聞いたことがあるでしょうか。

時々誤った理解によって別の文脈で登場することのあるこの思考実験ですが、これは量子の世界の異常性をマクロの世界によって説明したわかりやすい例だと言えます。

これまたざっくり説明すると、

50%の確率で毒ガスを発生される装置と一匹の猫を箱の中に入れます。すると、中を観測できないので、箱の中で猫が生きている状態と死んでいる状態の2つが同時に存在している状態であり、蓋を開けて初めて猫の状態がどちらか一方に収束するという、ザ・よくわからない理論といった感じです。

この量子の世界を人間の世界へ、さらにハリウッドレベルで適応してしまったのがこの『テネット』という映画のすごくもあり、ややこしいところでもあります。

エントロピー増大の法則

さて、お次はエントロピーです。ここが重要なのに作中ではちゃんと説明されないという大事なポイントです。これを知っていると知っていないとでは大きく違う、、、ということではないんですが、わかった気になれるはずです!!

量子力学よりもエントロピーの法則の方が聞き馴染みのない言葉じゃないかなと思います。普通は高校で習うのかな?

エネルギー保存の法則と聞けば記憶の片隅にあるのではないでしょうか。
エネルギー保存の法則は熱力学第一法則と呼ばれます。
そして、エントロピー増大の法則が熱力学第二法則と呼ばれる法則です。

これまたざっくりいってしまえば、エントロピーは、バラバラ具合を示す尺度です。
このバラバラ具合というのは不可逆の方向性を持っています。

透明な水の中に墨汁を一滴垂らしてかき混ぜれば元の墨汁と水には戻せないことがわかるように、世界は常に秩序→バラバラの方向に変化しています。

つまり、バラバラ度合い(=エントロピー)は時間とともに増え続けるというのが大前提となります。

では、もしそのエントロピーを減少させることができたら?

つまり混ざり合った墨汁と水が、元々の状態に戻ったら?

これが『テネット』における時間逆行のカラクリです。
(冒頭にちらっと出てきますが、知らない人に対して親切な説明ではなく、展開には関係ないのでネタバレでもなんでもありません)

時間がある人はぜひこのTEDトークのはじめの1分を見てください。エントロピーについて映像でわかりやすく説明しています。

デビッド・クリスチャン: ビッグ・ヒストリー(2011)日本語字幕付き

18分という短い時間でビッグバンから現在までを1つの歴史として説明するめちゃくちゃ面白いTEDトークです。18分なので全部見ても面白いです。

反粒子(対消滅)

作中では反粒子という言葉が何度か登場します。

電子というのはマイナスの電荷を持っているというのはおそらく中学高校で習ったんではないかと思いますが、そのペアとなるのが陽電子というプラスの電荷を持った反粒子と呼ばれるものです。その存在はずっとあり得ないものとして考えられてきましたが、実際に存在している特殊な電子のことを指します。

作中でも言及されますが、「陽電子は時間を逆行する」と言われます。

複雑で申し訳ないですが、

時間を順行するプラスの電子=時間を逆行するマイナスの電子

であると考えられるのです。そもそも電子というものがマイナスの性質を持っているものだと考えれば、プラスとマイナスで考えるよりも時間が進んでるのか戻っているのかで考えた方がいいのかもしれません。

この陽電子と電子がぶつかり合うと対消滅し、質量が全てエネルギーに変換されるという特徴があります。それが作中でもうまく取り入れられている点が面白いです。

物理学には明るくないのでこの程度に。



まとめ

TENETという単語は逆から読んでもTENETと読めます。物理法則の前で時間の順行逆行などないということなのでしょうか。

色々な物理法則から着想を得て、色々な物理法則で肉付けをしたというのが『テネット』という映画であるということです。

必ずしも物理学的に正しいというわけでもなく、エンターテインメントとしてうまく適用したり演出づけているので、まさに

考えるな、感じろ

という体験ができる素晴らしい映画でした!

あとは劇場でお楽しみくださいませ〜〜!

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