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詩136/ おわり と はじまり

世界の終わりが
来るのは怖い

でも

いきなり
世界の始まりが
来る方が怖い

だって
終わりも無いまま
始まりが来るってことは

今現在
終わらせられるものが
何も無くて

僕の今も
まったくの幻で

世界には
何の価値も質量も
無いってことになるからだ

在るものにしか
終わりは来ない

だから
終わりには意味があるのだ
そこに在ったことを
証明するという意味が

僕らの旅は

乗りたくも無かった列車に
一斉に無理やり押し込められた
長い片道の旅かもしれない

でも
着いた駅そのものは
列車の終点かも知れないが
僕らの最終目的地ではない

持っていた切符を
改札機に通し
その音と感触を確かめ
列車の旅を終わらせたら

駅前の広場から
バスに乗り
車に乗り
あるいは歩いて
それぞれの行き先へ向かっていく

それこそが
本当の始まりなのだと

僕は
世界の終わりを
目の前にして想うのだ








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