見出し画像

deathcrash - Less


今やDeafheavenのツアーサポートに抜擢されるなど、その音楽性から得られる一般的な知名度に対して、バンド界隈はもとより業界からも思いのほか高く評価されている、UKはロンドン出身のdeathcrashの2ndアルバム。

いわゆるemo(イーモゥ)やマスロックの質感、ポストメタルに肉薄するハードコアな轟音ヘヴィネス、そしてスコットランドのレジェンド=モグワイの影響を強く受けた寂寥感溢れるセンチメンタリズムと孤独の美学を追求したロンリネスが隣接する、繊細かつ緻密なミニマリズムが紡ぎ出す極上のスロウコア、その特定のジャンルに囚われることのないオルタナティブなサウンド・プロダクションは不変で、昨年リリースの前作比だと本作は俄然モグワイ大好きなポストロックらしい、今にも消えかけそうな夕焼けが情景として浮かんでくるような、その何とも言えない「喪失感」を描写するトレモロやアルペジオの湿り気のあるメロディを著しく強調している印象。

モグワイ系のトレモロが淡く儚い情景を映し出す#1”Pirouette”を皮切りに、今にも落ちてきそうな空の下でハードコアな轟音ヘヴィネスをかき鳴らす#2”Empty Heavy”、将来的にスティーヴ・アルビニとのコラボを予感させるヘヴィなノイズ魂が炸裂する#3”Duffy's”、新卒のミニマリストが静謐的なミニマリズムを語るが如くの#4”And Now I Am Lit”、現代のUKポスト・ハードコアを代表するRolo Tomassi的なUKバンドならではのエモい歌メロを聴かせる#5”Distance Song”、ドゥームメタル)))さながらの重厚さとグランジさながらの陰鬱さを獣性むき出しのハードコアの型にはめ込んだ#7”Dead, Crashed”まで、彼らdeathcrashの音楽的なパンチラインである強弱のコントラストを、著しく洗練させてシンプルにまとめたような一枚。

【04/21】【訂正】deathcrashとdeafheavenがツアーしたという事実はありませんでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?