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墓マイラー「カジポン・マルコ・残月」コメディストーリー

カジポン・マルコ・残月

「カジポン・マルコ・残月」という方をご存知でしょうか?
今週の『笑ってコラえて』で再放送された、「墓マイラー」と呼ばれる方。今や100カ国以上、2300人を超える偉人の墓参りをしてきたそうです。

偉人が残した作品を見たり読んだりして、感動したのなら「ありがとう」を伝えたい、ということで、墓参りを続けているそうです。

そんなカジポンさん、本も出しているので、興味がある方はぜひ!


「カジポン・マルコ・残月」が生まれた3つの経緯

本名は梶本修さん。そもそも文芸には無縁の人生でした。

絵画との出会い

カジポンさんが高校生の頃、吹奏楽部に入っていた時、美大を目指す後輩を好きになりました。その時、その子よりも絵に詳しくなれば尊敬されると思い、絵画の猛勉強。恋愛の為に、命がけで勉強したそうです。

早速猛アピール。絵画などの会話が弾み、「これはイケる!」と思ったカジポンさんは、ラブレターと、ビートルズの『When I’m Sixty-four』という曲を入れたラブテープを渡す。

後日、彼女から、返事の電話が。その答えは、

「ごめんなさい。好きな人がいるんです」

カセットテープは聴いたかを尋ねると、

「ちょっと、気持ち悪かったです・・・」

努力も叶わず振られてしまった。

しかし、それほど悲しくはなかった。
なぜなら、彼女を好きになったことで、素晴らしい絵画と出会えたからだ。それはまるで、灰の中からダイアモンドを発見したかのようなものだった。

音楽との出会い

大学になったカジポンさん。次に好きになった人は、カメラが趣味で、よく訪れていたカメラ屋さんでバイトをしている音大女学生。

次のお近付き作戦は、クラシックの猛勉強。ただ、クラシック好きをアピールする方法がない。その為に閃いた方法が、ショパンの胸像を買い、写真にとって現像に出すというもの。写真の確認をする時に、音楽好きをアピール!「私もショパン好きですぅ!」という言葉に、「これはイケる!」と思い、バイト終わりを待ち伏せして告白。しかし、

「彼氏がいるからごめんなさい」

と振られる。

しかしそれほど悲しくはなかった。
なぜなら、素晴らしい音楽と出会えたからだ。

文学との出会い

その1ヶ月後、馴染みの図書館に務める年上のお姉様を好きになる。今度の作戦は、世界文学の猛勉強。作者や名セリフなどを覚え、本を返却するときに、好きな本で盛り上が李、仲良くなっていった。「これはイケる!」と思ったのか、即告白。

「ずっと好きでした!あなたに会う為に本を借りてました!」

「そういうの困ります」

とあっけなく振られる。

しかし、それほど悲しくはなかった。
なぜなら、素晴らしい文学と出会えたからだ。

そんな風に、カジポンさんは、振られてきたものの、恋愛をしたおかげで、絵画や音楽、文学に出会うことができました。

墓参りとの出会い

カジポンさんが20歳になる前に、「10代で一番お世話になった人にお礼をしに行こう」と思い立ったそうです。そこで思い浮かんだのが、『罪と罰』などで有名な、ロシア文学のドストエフスキーだった。まだソ連だった時代に、カジポンさんは旅立つ。

その訪れたお墓の前で、「本当に生きていた!実在していた!」という感動を味わう。さらに、土葬のため、お墓の下にいると思うと、雷に打たれたような衝撃が。その場を離れようとしたら、すぐ近くに音楽家チャイコフスキーのお墓があった。そこには、著名な作曲家のお墓が並んでおり、その偉人と通じるような経験をする。

「墓マイラー」の誕生

カジポンさんが19歳の時、「墓マイラー」がスタートするのでした。それから彼は、貧乏旅行ながら、世界中のお墓を廻るようになる。お金を貯めたら墓参り旅行をするという生活を続けていた。
35歳のとき、旅行雑誌にも、「墓を訪ねて三千里」というタイトルで取り上げられる。

そして、35歳の時に結婚する。奥さんがカジポンさんを選んだ理由は、「他にはいない人だから」というもの。己を貫いたからこそ、理解してくれる相手と結ばれたんでしょうね。子宝にも恵まれ、今では家族で墓参り旅行にも行っているそうです。


コネクティング・ザ・ドッツ

カジポンさんも言っていますが、何度振られても、恋愛したおかげで、絵画、音楽、文学という芸術に触れました。もし、どこかの恋愛がうまくいっていたら、墓マイラー「カジポン・マルコ・残月」は生まれなかったでしょう。元々のカジポンさんの性格や生き方に、絵画・音楽・文学、そして墓参りという点が繋がり、「ド根性文芸研究家」という生き方になったんだと思います。

これぞ、スティーブ・ジョブズも語っていた「コネクティング・ザ・ドッツ」だと言えるでしょう。


何一つ無駄にすることはない「道楽家」

カジポンさんは、間違いなく「道楽家」だと思います。というのも、失敗を失敗に終わらせず、「せいをおかげに」生きているからです。

点だけではどうにもならないことを、「お礼をしたい」という墓参りのきっかけと行動によって、点が線に繋がりました。生きていれば色んな経験をするものですが、自分の発見や行動によって培った点を、線にできるものです。そして、点があればあるほど、繋がった線は長くなり、面も大きくなるものです。

それはある意味、理想に向かって、ゴールする為に生きていたら、繋がらないものでしょう。目の前のイマココに生き、道中を楽しむからこそ、点と点が繋がるものです。例え、中途半端だと言われようと、三日坊主だと言われようと、行動し、経験したものは、何一つ無駄にはなりません。無駄にするか価値にするかは、自分次第です。


マイナスを価値にするコメディ

そんなカジポンさんも、40歳の頃には、文芸研究家としてやっていけるようになったと思います。きっと、最初から文芸家になろうとか、生計を立てようなんて思ってなかったのではないかと思います。ただ、自分らしく生きようとか、自分の本心に素直に生きてきた結果、そうなったんだと思います。

結果論かもしれませんが、少なくとも自分にとっては、そういう生き方はいいなぁと思うし、道楽家としての生き方だと思います。

道楽家として、目の前と向き合って、「せいをおかげに」して道中を楽しんでいけば、マイナスを価値にする、コメディのような人生にしていけると思います。

恋愛も仕事も、今までの経験、これからの経験は、今は繋がってなくても、いつか何かで繋がる時がくるかもしれないですね!


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