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木村花さんへの一連のSNS報道についてウラヨミ

とても嫌なニュース

5月23日、元女子プロレスラーにして、『テラスハウス』にも出演していた木村花さんがお亡くなりになりました。まだ22歳という若さで、SNSでの誹謗中傷が酷かったということが報道され、話題を呼んでいます。

実は私、木村花さんのことを存じ上げず、今回のニュースで初めて知りました。それでもショッキングなニュースで、知らなかった方とはいえ、思うところが色々あり、ウラヨミして見えてきたものもありました。

せめて、こういった問題や被害者が出ないように、微々たるものだと思いますが、発信したいと思います。


芸能人の様々な反応

芸能人やプロレスラーなど、各界から様々なコメントがあります。幾つか紹介させていただきます。

長与千種さん
「SNS書き込みは言葉で人を殺める事が出来るツールではないはず。顔隠し言論の自由として狂気のナイフを振り飾した奴って絶対的に人事にするはず。言っておく!! これからの選手、これからのプロレスラーだった。悪役を演じただけ。本当の彼女は礼儀も優しさも兼ね備えた後輩でプロレスラーだったから」
那須川天心さん
「そんなに誹謗中傷したいのならみんな俺にしてください。それで心が落ち着くならそれで良いです。だから他の人にはやめてください」
本田圭佑さん
「弱い人を狙うな。誹謗中傷はやるなって言ってもなくならないし、なのでやってもいいからちゃんと強い人を狙うこと。『結論』俺んところに来い。そして末永く誹謗中傷のプラットフォームとして使用してください」
スマイリーキクチさん
「ネットの誹謗中傷の書き込みをされて傷ついている人に「たかがその程度で」と考える人もいます。程度のレベルを決めるのは、やった側ではなく、やられた側が決めます。いたずらとか死ぬとは思わなかったでは済まされない。書き込んだ者は言葉の凶器で命を奪った指殺人の犯人です。もうやめてください」
クロちゃん
「本当にもうやめて。木村花さんの兄だとか、元彼だとか、ふざけないで。今って、そんなことがまかり通る世の中なの?どれほどのことをやってるのか、わかってるの?言論の自由と故人への冒涜を履き違えないで。本当にやめてください」

様々なコメントがある中で、5つを取り上げました。

これらのコメントについて、ウラヨミしていきます。


悪役は誰にでもできるものではない

長与千種さんはレスラーとしても先輩でとても強い発信だったと思います。

木村花さんはヒールレスラーで、悪役を演じていました。『テラスハウス』でも、自己主張が強かったそうで、それが誹謗中傷のきっかけになったそうですが、テレビで見せる姿と素の姿は、当然違います。役者さんでも、ヒール役をやることがあると思いますが、役であるにも関わらず、苦情を入れられたりすることがあります。演技が上手すぎて、人気が下降してしまうこともあります。

あくまで個人的に思い浮かぶのが、相武紗季さんです。相武紗季さんは、山P主演の『ブザービート』で嫌な女の役をやってから、主役やあまり目立った役をやらなくなった印象があります。結構好きだったんですけどね。

悪役は物語を面白くする為に必要不可欠な存在ですが、悪役こそ、演じ方が難しいんですよね。実際の世界では、演じている訳ではないけど、物語としてみたら、自分にとって悪役になる人はいます。今回は言及しませんが、私にとっても悪役は何人もいましたが、その役割を知り、自分にとってどんな存在意義があったかを認めると、不思議となんとも思わなくなるんですよ。むしろ感謝すら覚えます。これこそ「せいをおかげに」というものです。

今回の場合でいうと、プロレス団体だったり、テラハの番組サイドの構成でそういう役回りになったこともあると思います。それなのに、視聴者が役と人を混同して誹謗中傷した訳ですが、誹謗中傷した人が、自分にとっての悪役にして、匿名と言論の自由を盾に憂さ晴らしをしたに過ぎません。「せいをおかげに」出来ない人にとっては、悪役は何をしてもいい捌け口のようにしか見ていないのでしょう。


誹謗中傷というより弱いものいじめ

那須川天心選手も本田圭佑選手も、「誹謗中傷したいなら俺にしろ」と、力強くコメントしています。本田選手は、誹謗中傷はなくならないと言っていますが、その通りだと思います。そして、「弱い人を狙うな。強い人を狙え」とも言っています。これについては、残念ながら、論点がズレていると思います。というのも、そういう輩は、誹謗中傷したいというより、弱いものいじめをしたいんだと思います。

自分の方が上だと思いたくて、自分の方が正しいと思いたくて、安全な場所から誹謗中傷する。その構図は、まさに弱いものいじめです。

「いじめは無くならない」と言われていますが、それは、人間の本能でもあるからだと思います。自分より強い存在がいたら、自分の身が危険に晒されてしまうので、そうならないうちに倒したりする。「出る杭は打たれる」というのも、そういう意味合いもあるでしょう。

さらに、人類は安全な場所から敵を倒す為に、武器を手にしました。古くは弓や槍、そして剣、さらには銃。そして今は「言葉・文字」です。「ペンは剣よりも強し」と言う言葉もありますが、そうやって人類は、生き残る為に、より強い武器を手にして来たと言えます。弱いものを押さえつけて自分に従わせる、というように。

本質的に見たら、人間の本能に根ざした問題ということで、簡単には解決できることでもなく、解決するんだとしたら、情報を完全に統制して、不自由にするしかないのかもしれません。
ガチガチの管理社会として、言論の自由を奪われたら、誹謗中傷自体は無くなるかもしれません。ただ、その代わりに自由を失うことになるでしょう。誹謗中傷する人は、自由を失うことになる、ということを自覚して欲しいですね。


人は弱い生き物

また、スマイリーキクチさんは、誹謗中傷で苦しんだ方です。ネットが普及しだした20年前、無関係の殺人事件の犯人だと、2ちゃんねるで噂され、それが元でメディアからは姿を消すことになりました。ネットでの誹謗中傷に関する初めての事件として有名かと思いますが、そのスマイリーキクチさんの言葉だからこそ、重いものがあります。

ドラマとかで、「殴った方も痛いんだ」というセリフがあったりしますが、いやいや、殴られた方が痛いですよってなもんです。ただでさえ、ネットという痛みを感じることなく痛みを与えることができる場においては、受け取る方の痛みは計り知れません。

さらに、ネットで叩かれ放題のクロちゃんも、今回ばかりはおふざけなしで真剣に訴えています。クロちゃんも、鋼のメンタルと言われてはいますが、きっと辛い思いをしているんだろうと思います。まぁ、気にしていたらやってられないあろうし、弄られることで仕事にもなっているから納得しているかもしれませんが。ただ、クロちゃんの場合は、テレビ番組が報酬を支払い、安全を確認しているから成り立っています。しかし、勘違いした視聴者は、報酬も払わず、クロちゃんには何を言ってもいい、何をしてもいい、という風潮があったのではないかと思います。

ネットで誹謗中傷を浴びた2人の言葉は、重く受け止めたいですね。


有名になることのリスク

木村花さんは、お母様が元レスラーということで、ご自身も女子プロレスの道に入ったそうですが、『テラスハウス』に出演したことが、より有名になったきっかけだと思います。今は、誰もがメディアを発信することができ、きっかけさえあれば、バズって一夜にして有名人、ということもあります。

「有名になりたい」と思っている方は多いと思いますが、有名になればなるほど、一般人だったら問題にならないことが、輪をかけて大きな問題になったりするし、今回の事件のように、誹謗中傷の標的になりかねません。

私自身も、昔は有名になりたいと思っていましたが、安易に有名になることは、今の時代はむしろ危険だったり、縛られたり、不自由極まりないなぁと思うようになりました。もし、木村花さんが道楽家だったら、こんなに苦しまなかったのかもしれないとも思います。


言葉はブーメラン

最近、撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだというコードギアス名言で取り上げたコラムのPVが伸びているんですが、まさにこういうことだと思います。以前も、似たようなコラムを出してしますが、何事も、自分がしたことはブーメランとして返ってくるものです。それは、人を傷つける言葉でも、人を癒す優しい言葉でも。

ただ、人によって、いつ返ってくるかがわからない為、返ってこないうちは、次から次へとブーメランを投げてしまうのでしょう。気がつけば、受け止めきれないだけのものが返ってくると思います。

誹謗中傷した人の中には、もしかしたら捕まる人が出てくるかもしれないし、誰かが犯人を特定して身バレすると、今度はその人が集中砲火を浴びるかもしれません。でも、もしそうなったらそれは仕方のないことだと思います。

犯人探しをしたところで、何が解決するわけでもなく、失われた命が戻ってくるわけでもありません。気が済まない方はたくさんいると思いますが、それぞれの立場で思うことがあって、行動すればいいとも思います。

ただ、やはり道楽家の私としては、「せいをおかげに」することが、一番だと思っています。

最後になりますが、木村花さんのご冥福をお祈りいたします。

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