マガジンのカバー画像

「月夜に現れた君と。」

2
運営しているクリエイター

記事一覧

「月夜に現れた君と。」後編

「月夜に現れた君と。」後編

2度目の夏。
それは僕と美空が出会ってちょうど1年ということになる。

あれからも時々、美空は空を見上げて悲しそうな表情をしていた。

でも、あの時よりもずっと深くなっていた僕たちの関係は、ずっと、ずっと続いていくものだと、そう思っていた。

〇〇「今年の夏はどこに行こうか?」

美空:「どうしようね。」

〇〇:「美空はどこか行きたいところある?」

美空:「海は?」

〇〇:「海?」

美空:

もっとみる
「月夜に現れた君と」前編

「月夜に現れた君と」前編

季節は真夏。

月が光り輝く東京の街。

僕は一人、何をするでもなく、ただ気まぐれに街中を歩いていた。

真夜中の弁慶橋。

人は僕以外には誰もいない。

眼下の河は夜の都会の光と星空の光を反射して映していた。

その河を眺めながらふと正面に目をやると、目の前が激しい光に包まれた。

あまりの眩しさに僕は目を開けていられなくなる。

そして数秒後、感覚で何となく光が収まったことがわかり、目を開ける

もっとみる