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孤独のソープ

田園都市 六郎は結局年末まで仕事をしてしまった。

彼は大きな仕事がひと段落すると
必ずある衝動に駆られる。
「あぁ、女抱きてー」
この悪い癖を自覚しており彼は独身を貫いている。
今日は川﨑に来ていた。
「うん、せっかくだ。堀之内へ行こう!」

実にいかがわしい街を歩き、彼はある店に足を止める…
「ここが有名なデスティニーグループの城か」
この要塞のような施設の中にこのグループのフラッグシップ店トロピカルがある。

戦後、池田という占星術師が迷える12人の女性を引き連れ、小さな店を始めたことが始まりだそうだ。
「ダメもとで入ってみるか」
フリーで飛び込むなら最初はここだろう。
12人が全員部屋持ちなので、意外と空いているというのがマニアたちの定説だ。
そもそも大晦日にやっている店もない。

店内に通されると、1人空いている娘がいるらしい。
人馬宮 すず(20)
脚の長い美人だ。
「彼女で」
彼は即決した。

「こんばんは〜」
モデル体型のスラっとした美人…
これはたまらんなぁとスケベ顔になっている。
「いやぁ、急に来て申し訳ないね」
「いえいえ、嬉しいです。仕事納めですか?」
スーツを脱がしてくれながら、労うような口調…いやぁ来てよかったと心から思っているようだ。
「ひと段落したが、もしかしたら明日も呼び出されるかもね」
「なんのお仕事されてるんですか」
「うん。個人事業主だね」
「気になる言い方〜」
ネクタイを緩めながら、目が合い、唇を重ねる。

「いやぁ、今日は来てよかったよ」
「まだまだ終わりじゃないですよ」
一発出してタバコを吸うのがルーティンだ。
「マッ◯されますか?」
「あぁ頼むよ」

浴室に向かう長い足が実に艶めかしい。
あの足にローショ◯が絡まる様は
想像するだけで至福だとニヤけている。

マッ◯プレイの魅力は湿度が甘くなるということだ。温かいローショ◯は身も心も息も高い密着感で空間を支配する。

長い脚を使った舞は妖艶の極致で
ペニスに巻きつかれた瞬間に心がイッてしまったようだ…

序破急と流れた演舞は終幕して、
服を着る。
「連絡先を聞いてもいいかな」
また会いたい。こんな気持ちは初めてのようだ。
「申し訳ありません。今年から人馬宮はワンナイト主義を採用しているので、もうお会いできないんです」
「ええ!そのそれでやっていけるの?」

聞いたことない営業方法だ。いかにリピートを増やすことが大事だと言うのに…
「私は出稼ぎで来ているので正月明けからは
また別の娘に変わります」
「地方はよく行くけど、それもダメかい?」
「申し訳ありません。身軽にやりたいので」

気持ちはよくわかった。彼もフリーランスでやっているのは身軽でいたいからだ。

「そうか、まさに一期一会だね」
「ありがとうございます」

口づけを交わし、店を後にする後ろ姿は
実に満足そうである。

よいお年を


ホントにありがとうございます😭 さらによい作品を作り還元していきたいと思います♪