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七草粥


年末年始の客たちは酒やらご馳走やらを持って来て、宴会をしたがる…

そんな怒涛の稼ぎ時を終え、玲子が作ってくれた七草粥はとても身体に染みた。

どんなご馳走よりも美味しく、温かく、
いつも涙を流していた…

経営する夜職専門の託児所での仕事を終え
家に帰ると、玲子は玄関で倒れていた。

「玲子、起きなさい!風邪引くわよ」
「ううん」疲れ果ててる…
当たり前か…風呂屋は体力仕事だ。
しかも年始にやってくる奴らのテンションの高さといったら…

玲子を抱えて、ソファに寝かした。

寮に入ることだけは反対した。
美月がまだいるし、レオナも徘徊している。
そして、天秤宮 麗菜もいる。

もともと流行に敏感な所があった
今、玲子のトレンドは夜職なんだろう。
レオナあたりに変なことを吹き込まれたら
玲子は戻れない。

七草粥を作ってあげよう…
立場が逆になるなんて思いもしなかった。

買い物に行き、七草セットを買うと、
アンに会った。
「明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとう」
彼女は近所に住んでいる。アンくらいだ。
まだ付き合いがあるのは…

「トロピカルはどう?」
「12人揃ったということで盛況です。
部屋のとりあいですね」

「待機室の娘の様子は知らないのね」

「花蓮ちゃんは、予約でいっぱいでしたね」

「玄関でぶっ倒れてたわ」
「研修で教えたんですが、花蓮ちゃん、
ちょっと態度が悪いですね」
「え」
「マッ◯もやる気がなくて、
ちょっと面談したんですが、どうせ私は
マッ◯なんてやらなくなる。母もやってなかったって、なにかと麦穂さんを引き合いにだして」

確かに私の客は、ほとんどマッ◯をやらない。
外出も多かった。

だが新人時代からそうだったわけじゃない。

「アン、甘ったれてるなら、ビシバシ叱ってね」
「わかりました」

家に帰り、七草粥を作ると、
玲子は目を覚ました。

「あれ…ワタシ」

「もうすぐできるから、シャワー浴びてきなさい」

「…うん」

シャワーを浴びて、二人で七草粥を食べる。
「美味しい…お母さんの気持ちわかった」
「他の娘とは打ち解けた❓」
「ずっと予約入ってたから、挨拶もしてない」
「そう…絶対に仲良くなっちゃダメよ」
「うん。そんな気ない」
「それでいい。ロクでもない連中なんだから」
「私、絶対ナンバーワンになるからね」

「アンとかいうのがいるわ蠍座」
「知ってる…研修の時講師したから」
「あの娘、お節介だから、色々言ってくるわ。
なにか言ってきたら、私に教えなさい」
「うん」

これでいい…マッチポンプにして、玲子を
孤立させるしかない。

この七草粥の味を貴女は知ってはいけないの…

ホントにありがとうございます😭 さらによい作品を作り還元していきたいと思います♪