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[読書]コンセプトから生まれた教育実践「イエナプラン教育」公立校での実践記録。

ここ数週間かけてじっくり読んでいる。
友人であり尊敬する岩本歩さんの本です。 

本の感想は読み手の数だけある。
そのことを前提にメモメモ。

副題に「イエナプラン教育のコンセプトを大事にした公立小学校での取り組み」とあるように、一般的な公立校でのイエナプラン教育の実践例が紹介されている。子どもたち自らが学習計画を立てる週予定のつくりかたをはじめ、自由進度学習やブロックアワー、サークル対話、ワールドオリエンテーションなどの導入方法や進め方などがコンパクトに分かりやすくまとめられている。また、方法だけでなく、子どもたちの自立心を育む文化や環境づくりにつながる手立て(掲示物や係活動など)も丁寧に示されている。「なるほど。こんな風に仕組みを整えたらスタートできるのか」「導入はこんな感じのインストラクションで始めるのか」など、本書を読み進めることで実践のイメージを深めることができた。
 紹介されていた実践例の中で、とても学びがあったのはサークル対話の章だ。「読む時事」サークルや「哲学カード」サークルについては、担任時代にチャレンジしたものの、対話がうまく続かないまま終わってしまったことがあった。時事サークルのエピソードにもあるように、子どもたち自身が時事ニュースを読む環境があることや知り得た情報を周りと共有する機会があったことなど、自分の教室に足りないものがあったことに気づくことができた。本章では、各サークルの場のつくり方や先生と子どもたちの対話がどのように進んでいくのか、サークルのテーマに触発された子どもたちのエピソードなどが紹介されている。担任に復帰したら、本章を読み返しながらもう一度サークル対話に挑戦したいと思う。
 「イエナプラン教育」と名前を耳にすると敷居が高くなりがちだが、本書で紹介されている自由進度学習やインストラクションなどの取組みは、参考文献でも紹介されている岩瀬直樹さん・ちょんせいこさんの「よくわかる学級ファシリテーション」や高橋尚幸さんの「流動型『学び合い』の授業づくり」などで具体的な例が示されている。実践の質を高めるためには参考文献を読むことは必須だろう。本書をガイドにしながら、先人の実践例からも学ぶことで実践の質を高めていきたい。
 「イエナプランはコンセプト」であるとコラムに書いてあったように、何度も「何のために❔「何を大事にしているのか❔」という問いに立ち返ることが大切だと思う。コンセプトなき方法は、教育実践とはいえない。また、岩本氏の「自分がやっている教育がイエナプラン教育と名乗らなくてもいいと思っている」という言葉には大きく頷いた。大切なことは「イエナプラン教育」であることではなく、20の原則を真ん中に置き、仲間と対話をくり返しながら、自分が大切にしたいことは何なのかと教育観を振り返ることだろう。真新しい実践に飛びつくのではなく、何のために❔と立ち止まること。独りよがりにならないように対話をくり返すこと。本書の実践が岩本学級だけの取組みではなく、学校全体のチャレンジであったことに敬意を表し、自分の学校でできることを始めていきたい。

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