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【短編】女の子の赤いリボン

その女の子は、赤いリボンが、たいそうお気に入りだった
いつもお母さんに頼んでは、二つに結んだ髪の毛に赤いリボンを結んでもらった
その日も女の子は、赤いリボンを髪に結んでもらって外に遊びに出かけた
女の子は、春の風の匂いを感じながら、聞こえてくる小鳥たちの歌声に合わせてハミングしながら 歩いた
女の子は、小川にさしかかると、キラキラと太陽の光を受けて光る川面に赤いリボンをしている自分の姿を映して見ると満足そうに微笑んだ
そして、野原に満開のシロツメグサを見つけると
女の子は、夢中でシロツメグサを摘んだ
両手一杯にシロツメグサを摘むと、女の子はとても満足して、また歩き出した
そうだ、今日は教会の見える丘に行ってみよう
と、ふいに女の子は思った
そして、近道を通って、教会の見える丘に向かった
近道は、雑木林のけもの道を通っていく
雑木林を歩くと、落ちた木の枝がポキポキと小気味いい音を立てた
女の子は、この音を聞くのが好きだった
わざとポキポキと音を立てながら、女の子は、雑木林を歩いていった
そうしていると、だんだんと雑木林がうっそうとしてきた
時々、横に伸びた枝を慎重によけないといけないので、女の子は少し慎重に歩いた
しかし、次の瞬間、体を軽く引っ張られる感触がした
ふと、女の子は、体をよじった
その時
しゅるん
と音が聞こえた気がした
見ると、細い木の枝に引っかかった赤いリボンが 見えた
木の枝に引っかかって、髪に結んでいた赤いリボンがほどけてしまったのだ
女の子は、大切な赤いリボンを取ろうとしたが、その瞬間に青い色がとてもきれいな一羽の鳥が 飛んできて、女の子のお気に入りの赤いリボンを くわえて飛び去っていった
「待って!私の赤いリボンを返して!」
と、女の子はいったが、鳥は聞こえてるのか、聞こえなかったのか、女の子のことを気に留めることもなく、赤いリボンをくわえて行ってしまった
女の子は、お気に入りの赤いリボンをなくしてしまって、とても悲しいと感じた
教会の見える丘に行こうなんて思わなければよかった
と後悔の念を感じた
シロツメグサを両手に持ち、とぼとぼと帰る道すがら女の子は、自分のことを責め続ける自分の声を聴き続けた
その日から、女の子の髪を赤いリボンが飾ることはなくなった
そんな日が続き、女の子の悲しみと後悔の感覚が
少しなくなった頃、遊びにいった野原の中に一本ポツンと生えている木に鳥の巣を見つけた
そして、その鳥の巣から生まれたてのヒナが母親を求めてなく声を聞いた
女の子は、かわいいヒナの姿がみたくなって木に登って、その巣の中を覗き込んだ
すると、ヒナの横に見覚えのある赤いリボンを見つけた
あの日に青いとりが持ち去った女の子のお気に入りの赤いリボンは、今は三羽の雛たちを温める 素敵なお布団になっていた
女の子は、自分の胸になんとも温かいものがこみ上げてくるのを感じていた
そして、雛たちを驚かさないように、そっと木を降りた
ヒナたちの可愛らしい鳴き声を聞きながら、女の子は、それに合わせて鼻歌を歌いながら、とても 言葉では言い表せないような幸福感を感じながら 家に帰った

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