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【短編】雨を待つ

女の子は、水玉模様の傘を眺めていた
こないだお母さんに新しいこの傘を買ってもらったのだ
しかし、買ってもらった日から、ずっーと雨が降ることはなかった
だから女の子は、お気に入りの新しい傘をさして 外を歩くことができないことをつまらないと感じていた
女の子は、毎日、お母さんにこう聞いた
「お母さん、明日は、雨が降る?」
すると、お母さんは、天気予報をみて
「明日は、降らないみたいね。残念ね」
と言った
こんなやりとりが、女の子とお母さんの間で、ずっと続いている
女の子は、どうしても早く傘をさしてみたかった
新しい水玉模様の傘は、雨に当たると、どんな音がするか、早く聴きたかった
新しい水玉模様の傘は、雨に濡れるとどんな感じがするのか知りたかった
だから、女の子は、毎日、てるてる坊主を作っては、女の子の部屋の窓際にそのてるてる坊主を逆さにしてつるした
長いこと雨が降らないので逆さに吊るされたてるてる坊主の数は、どんどん増えていく
女の子は、逆さに吊るされたてるてる坊主たちを
恨めしそうに眺めた
神様は、こんなに願っているのに
なんで、雨を降らせてくれないんだろう
とも思った
そして、女の子は、窓を開けて耳を澄ましてみる
でも、雨が降りそうな気配は、感じられなかった
新しい傘を買ってもらった途端、雨が一滴も降らないなんて、私はなんてついてないんだろう
と、女の子は思った
そして、ふてくされて、ベットに仰向けに横になった
青空のような鮮やかな青い色の女の子の部屋の天井が見える
その鮮やかな天井の色とは裏腹に、女の子のこころの中は曇っていた
本当につまらない
と、女の子は、ため息をついて、大好きなクマのぬいぐるみをギュッと抱きしめた
「どうか神様、少しだけでいいので雨を降らせてください」
と、女の子は、心の中でつぶやいた
そうしているうちに女の子は眠ってしまった
夢の中で、女の子は、雨の中で傘をさして踊っていた
とても女の子は楽しかった
はっと女の子は目を覚ました
そして、さっきのあれが夢だったことを知り盛大にガッカリした
そんな落胆している女の子の耳にタンタンと屋根から音が聞こえてきた
ふと、窓の外を見ると、窓の外の空はすっかりグレーになっていた
女の子は、急いでベットから飛び起きると窓を開けた
ポツポツと窓から手を出した女の子の手のひらに
雨粒の感触が伝わってくる
女の子の顔は空模様とは裏腹にぱあっと明るく晴れ渡った
そして、急いで女の子は、新しい水玉模様の傘を持つと家の外に飛び出した
女の子が、新しい水玉模様の傘を開くと女の子の新しい水玉模様の傘と雨粒は、とても素敵な音色を女の子に聞かせてくれた
女の子は、新しい水玉模様の傘をクルクルと回しながら、その音色をいつまでも聴き続けた

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