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🎬ヴィレッジ 感想

伝奇的ムードの漂う山村。それに相反するように建設された廃棄物処理施設が異様なムードを漂わせる。

その村で生まれ育ち廃棄物処理施設で働く暗い過去を持つ青年・優。
すべての登場人物は一癖も二癖もあり、誰が優にどう関わっていくのか先が読めない。
伝奇的ムードが色濃い前半とヒューマンドラマにシフトしていく後半でイメージがガラリと変わるのもドラマの展開を複雑にしている。

映画は終始閉塞感に包まれていて、山村、廃棄物処理施設といった他者を排除する小さな"村社会"の閉鎖性を漂わせ続けるが、美咲のいた東京の会社もどうやら"村社会"で、実は日本のどこに行こうとも"村社会"の枠組みから誰も逃げることなどできないという絶望に似た空気を感じてしまった。

横浜流星が感情をコントロールできないほど人生が荒れた優をいろいろな顔で見せ、演技派として映画全体の重苦しいムードを牽引している。

『サンクチュアリ-聖域-』を観たばかりだったので自然と一ノ瀬ワタルに目が行ってしまったのだが、ここではどことなくコンプレックスを感じさせるワルを演じているところがラスボスの存在とリンクしておもしろかった。

薪能の設定が「邯鄲」の演目との関係だけなのは少しもったいなく、もう少し伝奇的不穏さにつながってもよかったのでは?と思った。

物語で語られる能の演目「邯鄲」の枕のエピソードだが、それはこの村で誰が見た夢のことだったのか?
ラストの優の表情など物語はいろいろな解釈を匂わせるのだが、束の間の幸せすら夢と思わせる殺伐とした現実が誰にとっても重くのしかかる映画だった。

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