デッカード

映画鑑賞が趣味の紳士です。 鑑賞した映画の感想を書いていきます。 頭の体操のつもりで映…

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映画鑑賞が趣味の紳士です。 鑑賞した映画の感想を書いていきます。 頭の体操のつもりで映画を観たらすぐ感想を書くようにしていますので、的外れだったり独りよがりな感想もあるかもしれませんが、記録として書いています。

最近の記事

🎬コット、はじまりの夏 感想

おとなしく無口な少女・コットが母親の親戚夫妻と暮らすひと夏の忘れられない日々。 コットはおとなしく無口なため、両親など大人からはとらえどころのない少女だと思われています。 コットには他の子どもたちと比べると成長の遅れが見られ、もしかしたら「発達障害」の一つの姿なのかもしれません。 物語はそんなコットの視線で大人たちを中心とした他者を描いています。 コットの実の両親、特に父親には粗野で自堕落な側面があるのは明らかで、母もそんな夫にイライラばかりしつつ出産を控えています。 姉

    • 🎬グランツーリスモ 感想

      レーシング・シミュレーション・ゲーム「グランツーリスモ」のプレイヤーが、現実のレーシング・ドライバーになっていく実話。 そもそもゲームの「グランツーリスモ」が、実際のカーレースを想定したシミュレーターだったことは初めて知りました。 開発者の山内を演じる平岳大さんが、ドラマに接するパートは少ないですが重厚で印象的でした。 ゲームプレイヤー(シムレーサー)だったヤンが現実の世界でレーサーとして成長していく姿が描かれます。 "実話"というベースがなければ荒唐無稽と一蹴されそうな

      • 🎬荒野にて 感想

        15才の少年チャーリーと足を痛めた競馬馬のピートの荒野での旅。 行き場のないチャーリーの目から見た、それこそ行き場のない大人たちの姿を描く。 小さい頃は決して裕福ではなくてもおそらく幸せに暮らしていたチャーリー。 父の突然の死とかわいがっていた競馬馬ピートが売られる(おそらく殺される)ことをきっかけに、チャーリーはピートを連れて旅に出ます。 チャーリーが旅で出会うのは、みんな"行き場のない"大人たちでした。 そもそもチャーリーの父こそが、決して豊かとは言えない生活を送って

        • 🎬カラオケ行こ! 感想

          合唱部の中学生・聡実は突然の出会いでヤクザの狂児にカラオケを教えることに。 中学生の聡実は、部活のコンクールでの成績や人間関係、変声期に悩んでるいる本当にどこにでもいる普通の中学生です。 そんな聡実が狂児というヤクザにカラオケボックスで歌を教える…という唐突な物語の始まり方に、狂児の組のカラオケ大会での屈辱的な罰則があるという、一見ヘンな理由があるのですが、意外とすんなり入っていけました。 決して見た目もいかつくはない狂児ですが、態度の端々にはその業界の人であることを匂わ

        🎬コット、はじまりの夏 感想

          🎬オッペンハイマー 独特目線のネタバレ感想(18,000字)

          ※この感想はあくまで映画を観て個人的に感じたことを素直に書いたものです。 1回鑑賞しただけの感想なので、セリフ、シーンなど詳細の間違いやそもそもの解釈を「間違いだ」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、どうか個人の思い込みとご容赦ください。 ※かなり削除しましたが、全文で18,000字程度もある長編になってしまいました。 素人の勝手な思い込みの書かれた18,000字に至る感想を読んでいただける方は少ないと思いましたが、自分自身の「映画鑑賞記録」として書き記しました。

          🎬オッペンハイマー 独特目線のネタバレ感想(18,000字)

          🎬キャタピラー 感想

          戦時下、日本のある農村で暮らすシゲ子の元に、日中戦争に出征した夫・久蔵が四肢、聴覚、声帯を失い顔は焼けただれた姿で戻ってくる。 久蔵の実家の家族は変わり果てた久蔵を見て、そのおぞましさにすべての世話を嫁のシゲ子に押し付けてしまいます。 ここにかつての「家制度」の姿を見て取ることができます。 また、出征前の久蔵がシゲ子に暴力を振るっていたことも次第に明らかになり、「家制度」ゆえの「男尊女卑」という終戦まで(実はその後も長く)当たり前だった"家"のあり方も見えてきます。 村人

          🎬キャタピラー 感想

          🎬レイダース/失われたアーク《聖櫃》 感想

          『インディ・ジョーンズ』シリーズの記念すべき第1作。 この後、"考古学冒険アクション映画"という新たなジャンルの作品がたくさん製作されたのは、やはりこの映画が成功したからでしょう。 でも、公開当時は興行的には失敗だったとか? ホントですか? 当時はルーカス原案+スピルバーグ監督という二人の初タッグ作品というだけで「これは観に行かないと!」と映画少年(青年少し前)は思ったものです。 一方で、ルーカスに対しては「こんなことしてないで『帝国の逆襲』の続きを早く観せろ!」というちょ

          🎬レイダース/失われたアーク《聖櫃》 感想

          🎬ミステリと言う勿れ 感想

          人気漫画を菅田将暉主演で実写化した連続テレビドラマ『ミステリと言う勿れ』の劇場版。 広島の名家「狩集家」の遺産相続にかかわる事件に、たまたま広島を訪れていた久能整くんが巻き込まれます。 テレビドラマ『ミステリと言う勿れ』は久しぶりに見応えのあるドラマで大好きでした。 原作は読んでないんですが、久能整=菅田将暉さんのキャラクターが本当に魅力的で、彼の言葉には毎回共感できるものがあり、テレビドラマの枠を超えた「人間の本質にある根幹」に触れるストーリーには毎回感動していました。

          🎬ミステリと言う勿れ 感想

          🎬デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 感想

          ある年の8月31日、突如飛来したUAPは分離して東京上空に。 在日米軍が撃ち込んだ新型爆弾により大田区付近は壊滅状態。 それから3年後の東京を舞台に普通の女子高生たちの日常を描く。 原作未読で映画を観ました。 この映画、おそらく前編ということで後編に向けてのたくさんのナゾや伏線で構成されていたためだと思いますが、ドラマ的な盛り上がりには少し欠けたかなー?という印象を持ちました。 かなり感情的には熱を帯びるシーンがなかったわけではありませんが、既視感などが邪魔をしたこともあり

          🎬デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 感想

          🎬私ときどきレッサーパンダ 感想

          13歳の普通の女の子が、ある日突然身長2メートルもの赤いレッサーパンダに⁈ 主人公の女の子メイは、学校での成績もよく、家族、とりわけ教育熱心な母親ミンからは"将来は国連事務総長"と期待されるほどの優等生。 でも、本当のメイは学校の親友たちとアイドルグループにハマり、推し活に生きがいを感じている当たり前の女の子です。 それが突然赤いレッサーパンダに変身してしまうんですが、そのレッサーパンダが体は大きいんですが、モフモフでかわいいんですよねー 赤いレッサーパンダになった"異

          🎬私ときどきレッサーパンダ 感想

          🎬スラムドッグス 感想

          犬にとって最低の飼い主でダメ男のダグに飼われ、それでもダグを愛し続けていたのに捨てられたボーダーテリアの仔犬レジー。 ピュアなレジーが野良犬のボストンテリアのバグ、オーストラリアンシェパードのマギー、セラピー犬グレートデーンのハンターと友だちになることでダグの悪意に気づき、レジーのダグに対する復讐のため4匹でダグを探す旅に出る犬のロードムービー。 犬映画として自分のオールタイムベスト『僕のワンダフル・ライフ』のB面であり、ダークサイド。 作品中、明らかに『僕のワンダフル・ラ

          🎬スラムドッグス 感想

          🎬ドミノ 感想

          娘が失踪した刑事ロークは、彼の前に現れた謎の男デルレーンを追う。 「ヒプノティック」という催眠術をさらに進化させた特殊能力を軸にストーリーは展開していくのだが、現実と非現実が入り乱れる物語は次第に複雑になり、観客は自分が見ている何が真実なのかだんだんわからなくなっていく、こんがらがった感覚がかえっておもしろい。 途中『インセプション』によく似た場面が現れるが、これは本作の内容も含めオマージュということかな? バラバラに思えたすべての謎が少しずつ解け集束し、大切な真実に行

          🎬ドミノ 感想

          🎬デューン 砂の惑星 PART2 感想

          ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版『デューン砂の惑星』シリーズ第2弾。 PART2鑑賞にあたりPART1を再鑑賞して予習。 かなり忘れていた設定などもあり、予習してPART2を観たのは個人的には正解でした。 人それぞれで、あまり気にしないで観ても大丈夫かもしれませんが… ドゥニ監督作品では『ボーダーライン』が特にお気に入りなのだが、このシリーズでもドゥニ監督らしい美しさと不穏さが共存する映像と音楽の調和による独特の世界観は健在。 まず延々と続く砂漠の描写の"水がない"残酷さと、そ

          🎬デューン 砂の惑星 PART2 感想

          🎬パレード 感想

          未練を持ったまま亡くなった人たちが集まる死後のコミュニティを舞台に、死者たちが生者に注ぐ思いを描く。 冒頭一人称で描かれる津波に飲み込まれた人の視線。 東日本大震災でたくさんの人たちが津波に飲まれ、苦しみ亡くなった現実を考えるとそれだけでも胸が締め付けられる。 震災で亡くなった美奈子はアキラという謎の男性に不思議なコミュニティに連れてこられる。 そこにいる人たちはみんな"現世"に未練のある人たちで、亡くなった原因や年代はそれぞれ違うのだが、コミュニティの中でゆるく暮らして

          🎬パレード 感想

          🎬愛と哀しみのボレロ 感想

          第二次世界大戦から冷戦時代を生きたフランス、アメリカ、ドイツ、ソ連の4つの家族2世代にわたる大河群像劇。 映画は当初第二次世界大戦時のフランスのユダヤ人夫婦、カラヤンをモデルにしたドイツ人音楽家、ソ連のバレエダンサーの夫婦、グレン・ミラーをモデルにしたアメリカ人スゥイングジャズバンドのリーダー、それぞれ全く別な視点で描かれていく。 登場人物たちがドラマの中で互いに交錯することはない。 ユダヤ人迫害の描写は、この映画の後にホロコーストを生々しく描いた作品がたくさん製作されて

          🎬愛と哀しみのボレロ 感想

          🎬手紙は憶えている 感想

          老人介護施設に入所しているゼウ。 1週間前に妻を亡くしたことさえ忘れてしまう認知症なのだが、同じ施設にいるマックスから手紙を渡され、アウシュビッツ強制収容所で自分以外の家族を殺した元ナチス親衛隊の男を探し抹殺することに。 妻が亡くなったことも何度も忘れてしまったり、行動指示が書かれたマックスから渡された手紙を読むことも忘れてしまうほどの認知症のゼウが、アメリカ全土を旅して元ナチスの仇を探すというストーリーは「認知症探偵」映画と言えるかもしれないが、終始陰鬱なムードが漂う。

          🎬手紙は憶えている 感想