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🎬ウーマン・トーキング 私たちの選択 感想

強い宗教観に支配された"居住区"と呼ばれる地域では、女性はまともな教育も受けられず男性に暴力で従属するだけの存在として生活していた。
ある日女性への性犯罪が明るみに出たことをきっかけに、女性たちはこれからの生き方について語り合う。

物語は2010年の出来事ということだけが示されているが、どこの国のどの地域の出来事なのかははっきりとはわからない。

女性が男性と比べると身体的にも受け身な存在であることから、理不尽な従属を強いられてしまう存在なのが残酷に描かれている。
女性たちの目から見たジェンダー格差の問題が宗教観と絡めて議論されるうちに、そこに男女とも正しい教育があればそんな格差社会は生まれないことが示唆されていく。

ジェンダー格差がなくなりつつある現代社会の視点からは議論に少し入りにくい感があったが、しかし日本のジェンダーギャップ指数が世界で125位と驚異的に低いことを考えると他人ごとと割り切っていいのか?と思えてくる。
男女の精神的格差が埋まることのない国に生きていて、あらゆる側面で自分も加害者なのではないかと問いかけられている気がした。
女性たちの議論から「赦すこと」を強いられてきた彼女たちの抑圧された精神を議論からうまく読み取れなかった時点で、自分は加害者たる"甘えた男性"の一人なのかもしれないと思えてしまった。

映画は実話を元に作られているようだが、"居住区"の世界はもしかしたら逆行した未来の姿なのかもしれない。
そうならないために何をすべきか。
正しい教育を受ける機会を作り、生活様式をあらため、ジェンダー格差を埋めようと努力する指導者を選ばなければ、これは私たちや子どもたちの未来の物語になってしまうのかもしれない。

物語中子どもを除いて唯一出演する男性をベン・ウィショーが理性的でやさしくも儚く演じていて、こんな社会での男女の美しい愛の悲しさを際立たせている。

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