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🎬ミステリと言う勿れ 感想

人気漫画を菅田将暉主演で実写化した連続テレビドラマ『ミステリと言う勿れ』の劇場版。

広島の名家「狩集家」の遺産相続にかかわる事件に、たまたま広島を訪れていた久能整くんが巻き込まれます。

テレビドラマ『ミステリと言う勿れ』は久しぶりに見応えのあるドラマで大好きでした。
原作は読んでないんですが、久能整=菅田将暉さんのキャラクターが本当に魅力的で、彼の言葉には毎回共感できるものがあり、テレビドラマの枠を超えた「人間の本質にある根幹」に触れるストーリーには毎回感動していました。

今回の映画化ですが、テレビ版からは独立した設定となっていて、テレビ版の魅力的なレギュラー陣の出演がないこともあり心配でした。(最後に少しだけ出てきてくれてうれしくなりましたが…)

序盤の遺産相続にかかわるパートはあまり『ミステリと言う勿れ』らしくない雰囲気で、他作での既視感もあり正直退屈でした。
しかしこの映画の事件が遺産相続にかかわるものではなく、全く違う「狩集家」の秘密にかかわることだとわかってくるあたりから俄然おもしろくなっていきます。

「狩集家」にまつわる言い伝えが明かす残酷な過去と、それに現在もとらわれて生きている人たちのことが明らかになる展開にはどんどん引き込まれていきました。

また、フジテレビ系に縁の深い大物俳優さんたちをたくさん出演させ、誰が犯人なのか?あるいは関係者なのか?を観ている人にいろいろ推理させる"大物俳優の無駄遣い"は、それこそが功を奏して展開を混沌とさせ、最後まで先を読めないものにしていてお見事でした。
ついに解き明かされる犯罪の事実と犯人には、『ミステリと言う勿れ』ならではの展開が感じらました。

そして、テレビドラマファンに「やはりこの物語は『ミステリと言う勿れ』なんだ!」と思わせてくれる愛にあふれたクライマックスには、音楽も含め大満足でした。

しかし、この映画で提示された"ある事実"には観ていてハッとさせられました。
ドラマではあまり気にしていなかったんですが、観ている私たちは「久能整」という人物のことを実は何も知らないという事実です。
「カレーライスが好き」とか「美術に興味がある」という表層的な事実はドラマで知っていて、彼の人の本質に迫る重い言葉には毎回共感しているんですが、整の過去何があったのか?そもそも整は何者なのか?そのことはなんとなく予測はしていても真実は何も知りません。
原作未読なので整の人物については原作ではもっと説明されているのかもしれませんが、ことドラマと映画においては久能整はガロ以上に謎の人物だと思えてきました。
この謎の一端が提示されただけでも、この映画をドラマから完全に独立したアナザーストーリーとすることはできない、観ないといけないエピソードにしている、と思います。
「久能整は何者なのか?」
原作も完結していないようですが、今までにあった既視感のある人物造形ではないことをやはり期待してしまいます。

映画は整とガロたちの物語の先を早く見たくなる作品でしたので、やはりドラマの新シーズンの早いスタートを大いに希望してしまいました。
伊藤沙莉、尾上松也、筒井道隆らお馴染みのドラマ版東京メンバーにも早く会いたいですし。

「久能整」というキャラクターを完璧と言っていい造型で自分のものとし観る者を納得させる菅田将暉という俳優の演技力、その他最近の作品では『百花』や『鎌倉殿の13人』などでも見せた凄まじいほどの表現力、それがもはや歴史的にも記憶に残る俳優であることをあらためて確信させられた映画でした。

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