見出し画像

煙があって、火をつけた

 いまだに解せない事がある。

 僕が小学生の時の話なのですが、いつものように学校が終わると僕は友達の家に遊びに行きました。友達の家に遊びに行くと友達から「今日は小学校へ遊びに行こう」と言われ、学校へ行くことになりました。
 学校へ着くと、グラウンドのほうで同学年の生徒達がサッカーをしていました。友達はその同級生たちと遊ぶつもりだったらしく、どうせだったらと僕も一緒に連れてきたということでした。僕はその同級生たちとはクラスも違い仲も良くないため殆ど面識がありませんでしたが、なにぶん小さな学校で同学年の生徒は60人前後しかいなかったため顔と名前くらいは知っていました。当時の僕は知らない人と話すのにあまり抵抗がなかったので「仲良くなるいい機会だ」と思い、その同級生達と遊ぶことを快諾しました。(今思えば初めに言っておいて欲しかった)そこからは楽しくみんなでサッカーをして、夕方五時になりみんな門限が近くなったため解散することにしました。
 校門を出ると友達とは帰り道が逆方向になり、僕は今日初めて仲良くなった同級生たちの中の一人と帰ることになりました。僕の家は比較的門限が緩く十九時くらいに帰っても何も言われることがなかったので、どうせならと同級生の家の方を回ってから帰ろうということになり、他愛もない話からお互いの好きなものや趣味なんかを知ったりして「有意義な時間をすごせたな、新しい友達も出来て今日は来てよかった」と心から思いました。そんなことを考えていると同級生の家に着き、お別れを言おうとしたとき、同級生が「そういえば、お前毎日ステーキ食べてるんだってな」と言ってきました。何のことかわからず心当たりもないため、高速で頭をフル回転させ、「ああ、彼なりのジョークか」という結論に至りました。幼心に「ジョークを言っているのだから白けさせてはいけない」と思い、「ああ、それ毎日でも食べれる的な感じで言ったんだよ」と、話をどうにか続けようと当時の僕なりに返事を返すと「ああ、うんそうなんだ…」的な感じになり家に帰って行きました。あんまり上手く返せなかったな、次はなんか面白い返事が出来るように考えておこうと思いながら家へ帰りました。

 翌日学校へ行くとなぜか同じクラスの生徒から噓つき呼ばわりされたので理由を聞くとどうやら昨日の最後の会話を昨日の彼から聞いたらしく、なぜかあまり親しくもないクラスメートが突っかかって来たので、流石にこれもなにかの冗談かと考え、今度こそ良い返しをしてやろうと「俺一日一回嘘つかないと死ぬんだ」と今思えば全然面白くないですが、当時の僕の渾身のユーモアで返すと、クラスメートは僕を睨みつけどこかへ行ってしまいました。

そこからしばらく、僕の評判はすこぶる悪くなりました。もしかすると、ステーキのくだりは僕が覚えていないだけで言っていたのかもしれませんが、もしそうでないのならどうすれば良かったのでしょう。他の同級にもっと噓をつく同級生がいたので僕の話は割とすぐに火が消えたのですが、今もたまにこのことを思い出します。

 以上が僕が子供の頃に体験した話です。小さいころ皆さんの周りにいた嘘つきも、ただ周りを楽しませたかっただけかもしれません、同窓会なんかで当時のことを聞いてみてはいかがでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?