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熊野古道<小辺路~中辺路~紀伊路>2024.3/7~11

287km +14024m

【三つの古道を繋ぐ5日間の旅】
小辺路・中辺路・紀伊路とそれぞれ別個で歩いたことはあるが、今回それを継続して参詣ランしようといつものように場当たり的な発想で旅に出た。

東京駅からの夜行バスで難波へ。そして南海高野線で九度山駅を意気込んでスタートする。が、慈尊院で無情にも災害通行止めの貼り紙。本来なら町石道経由で高野山に行く予定が大きく出鼻を挫かれた。ろくに下調べもしないからこういうことになるのだ。再び九度山駅に戻り極楽橋駅から再出発する。

スタートの極楽橋

小辺路は以前に100Lのザックを背負って夏に旅した思い出があるが、今回の荷物は五分の一にも満たないULスタイルなのでサクサクと進める。初日は伯母子岳を越え三浦峠の東屋に泊まった。

翌朝三浦峠から降りるとまた災害による通行止め迂回の貼り紙が…。十津川温泉までの平坦なロードが一転して山越えの峠走になってしまう。気持ちの良い果無集落、そして果無峠を越えると眼下に聖地熊野が見えてくる。険しい峠を越えてきたいにしえの参詣者達はここで大きく快哉の声をあげたことだろう。その喜びは現代の僕らとは比ぶべくもない。

道の駅で昼食をとり熊野本宮大社に参拝を済ますと足早に中辺路へ向かう。途中で幾つもの峠や集落、そして大雲取越えの難所を越えこの日は地蔵茶屋跡にテントを張らせてもらった。それほど寒くもなく快適な夜。

翌朝7時前には那智の滝到着。いつ見ても「圧倒」という言葉が相応しい。富士が日本一の山なら那智は間違いなく日本一の滝だと思う。中世に熊野三山信仰が興ったのもこの名瀑の存在が中心にあったからではなかったのか。朝の人もまばらな滝の前でしばし畏敬の念にうたれる。

次に紀伊路の出発点である熊野速玉大社までのロード。熊野駅までは日本で一番長いという砂礫海岸沿いの道を走るご機嫌ルートだが、その先は一転してこれでもかと続く峠道の連続だ。今日は尾鷲まで行きたかったが最後のラスボス八鬼山に阻まれて手前の東屋でビバーク。漁村は幾つも通れど補給できる店も食堂もなかったので自販機のお汁粉とコーンスープで一夜を明かすという誤算と悲惨な夜になってしまった。人は一日のカロリー収支がマイナスだと体温が上がらないのを思い知らされた一夜だった。

翌朝紀伊路の最難所である八鬼山を越え、尾鷲の街に降りてすき家でドカ食い。調子が上がったところで旧熊野街道沿いの幾つもの峠と宿場町を駆け抜けていく。小辺路や中辺路と違いこちらは歴史の道をそぞろ歩く楽しみがある。この旅感が実に心地良い。惜しむらくは車がなかった時代の在りし日の熊野街道を歩いてみたかった。道中自然に還ってしまった多くの廃村を通り過ぎたが、かつてはそこにも多くの人が生活し人々の笑顔や喧騒があったことを思うと切なくなってくる。

この日は阿曽温泉に入り近くの公園で野宿。夜半裏山で罠に掛かったと思わしき鹿の止むことのない悲痛な鳴き声と寒さでほとんど眠ることが出来ず3時には出発。テントも大地もバキバキに凍ってた。走っても一向に暖かくならず陽が登るまで忍耐のランニング。最後の女鬼峠を越えるとあとはひたすら伊勢神宮内宮まで平坦なロードを走り続けた

伊勢神宮内宮に到着
この旅も精一杯自分を燃やし尽くせた。旅の神様ありがとう

【コンディション】
天気は良いが連日の冷たい風が辛い。風がなければ暑くなってくるので厄介だ。夜はマイナス5度ぐらいまで下がった。若い頃は雪山の寒さも苦にならなかったが年を取ると体脂肪率の低さも相まってかなりつらい(手足の指先がとくに)。関東山地でも大雪が降ったようなので冬型が強かったのだろう。季節のせいかほとんど登山者には会わなかった。積雪や凍結は一切なし。寒ささえ凌げれば走るのには一番よい時期。

【印象】
小辺路も中辺路も悪路がないので快適に歩ける。これが大峯奥駆道だったら修行モードになってしまうが、小辺路は「優しい」という言葉が似合ってる気がする。季節を変え何度でも訪れたくなる旅人のための道。紀伊路も尾鷲と熊野駅の間は本当に素晴らしいトレイルだ。

【反省・感想など】
1.モンベルの#3シェラフではもう今の自分には寒すぎた。基本的に8時間以上の快眠を旅の原則にしてるので眠れないのは正直つらい。旅がつまらなくなってしまう。シェラフが湿気ってたのもあるかもしれないので日中短時間でも干せば良かったかな
2.珍しく股擦れになってしまった
3.天気は崩れることがなかったのでクロスオーバードームで十分だった
4.行動食は多めに持つべし。軽量化が過ぎると痛い目に合う
5.自分がつらいとき、厳しいときこそ他人に優しくなれ。つらいときはネガティブな感情に支配されがちだが、そういうときこそ微笑みを忘れないようにしよう


【装備】ベースウェイト5.05kg
<ギア>
パーゴワークス・ラッシュ30
ヘリテイジ・ハイレヴォ
モンベル・ドライ シームレス ダウンハガー900 #3
山と道・ULパッド+ミニマリストパッド
エマージェンシーシート
モンベル・ULフォールディングポール113

<アイテム>
インナーファクト・ソフトフラスコ500ml×2
エバニュー・ウォーターキャリー2L
ペツル・スイフトRL(充電コード)
アンカー・モバイルバッテリー10000
プロテクトJ1
テーピング
歯ブラシ
耳栓
Shokz・OpenRun (充電コード)
薬(バファリン・ガシンサン・絆創膏)
Dang Shades・サングラス
ファイントラック・ナノタオル
山と高原地図・高野山熊野古道

<シューズ>
アシックス・Trabuco Max 2

<ウェア>
パタゴニア・ダックビルキャップ
ブラックダイアモンド・アクティブビーニー
BUFF・ネックウォーマー

パタゴニア・フーディニジャケット
パタゴニア・マイクロパフジャケット
モンベル・クロスランナージャケット
モンベル・クロスランナーパンツ

ファイントラック・ドライレイヤーウォームT×2
ファイントラック・アームスリーブ
モンベル・ウェストウォーマー(厚)
モンベル・メリノウールパンツ×2
モンベル・レッグウォーマー
モンベル・ダウンパンツ
インナーファクト・5本指ソックスロング
R×L・5本指ソックス
ハーフソックス

R×L・マルチグローブ
サロモン・ボナッティウォータープルーフミトン

<雨具>
モンベル・ピークドライシェル
モンベル・バーサライトパンツ
テムレス・ウィンター02

<食料・補給>
粉末経口補水液
アミノバイタルproゴールド

人生は旅だ。さて、次の準備をしないと


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