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018 生かされている私がここに居る その1

これまでに四度、もしかしたら死んでいたかもという経験をしている。

一度目は2歳の冬 溺れる
二度目は17歳の夏 交通事故
三度目は32歳の冬 入院中の出来事
四度目は37歳の夏 救急車騒ぎ

一度目と三度目はホントに危なかった
(書いてみて気が付いたけど、“2の冬”って…)

一度目
空気を入れて膨らませると金魚の形になる玩具(ビーチボールの金魚の形しているヤツ)がお気に入りで、いつも抱いていた。
金魚、泳がせたいよね!っとでも思ったんだろうか、日中ではあったけど、極寒の日。

独りで風呂場に行った。
風呂場の窓は開いていて、ツララが見えたっけな。
当時の浴槽は深い。昭和30年代だものね。2歳の子供が立って顔が出るか出ないかくらいは深かったのかも。タイルの浴槽には水が満々と溜まっていたんだ。
日中だから、モチロン冷水

やったー、お水溜まってる!とウキウキして金魚を浮かべたのを覚えている。そして金魚が向こう側に行ってしまったのも覚えている。金魚捕まえなくちゃって思ったのも覚えている。

どれくらいの時が経ったのかはわからないけど、気がついたときは祖母に苦しいくらいの力で抱きしめられながらコタツに入っていた。今まで感じたことが無いくらい寒いと感じたのも覚えている。

………と、ここまでは
正確には  “覚えている”  ではなくて、“あとから思い出して、それを覚えている”  かな。

高校を卒業し、家を離れるときに「これはお守りだから」と母から渡されたものがある。
金魚だ。
2歳の冬のことなんてすっかり忘れて育ってきたけど、その時の状況を初めて聞かされて、独りコソコソと風呂場に行った記憶が蘇った。
母から聞かされたことは
・お風呂場で溺れていたこと
・外で仕事をしていた祖父が物音に気づいて発見したこと
・金魚にしがみついていたから沈まないでいられたこと

金魚で命を落としそうになった。
金魚にしがみついていたから沈まずにいられたらしい。
空気でふくらんだ大好きな金魚
金魚にしがみついていた私
偶然の幸運が重なったから私はここに居られる。

小さな金魚に救われた命だ

その時の
母の、父の、気持ちは如何許りだったのか、今なら想像できる。
子を亡くした親の気持ちがわかるからね


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