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中学受験に失敗した息子が東大に現役合格しました。③ 〜託されたもの〜

1年と少し前、息子高3の冬。
今振り返れば、ジェットコースターのような怒涛の日々でした。
年明けの共通テストを控えた11月初旬、母の私が脳梗塞を起こし入院。その間、息子は「何も心配いらないから」と通学前に自分の弁当を拵え、時々私に写メを送ってくれました。

本試直前の2月には実家の父が入院。肺を患い長い間入退院を繰り返していましたが、とうとうこれが最後の入院でした。息子が東大を受けると決めてから受験をずっと応援してくれた父。入院後あっという間に体が弱っていき、沈丁花の咲く3月、孫の合格発表を聞く4日前に他界しました。

父の葬儀で悲しんでいる暇もなく、入学の手続き、住まい探し、引っ越しなど次々と準備に追われ、ついに息子の上京の日。感情の振り幅が一気に焼き切れたように、枯れたと思った涙があふれ号泣しました。本当によく泣いた去年の春でした。

病気と親の死と、できれば一生経験したくないことが同時に来て落ち込みもしました。

どうしてこの時期なんだろう。

せめてもっと親孝行したかった。

深い悲しみの最中、息子だけが前を向いていました。息子が希望の塊でした。
病床で父が託したものを、いろんな人達の想いを背負い、希望を持って進もうとしている。
泣いて塞いでいる暇はない。

息子は周りの不運な状況に流されず、自分のやるべきことを貫き、自己実現を果たしました。よくぞ、ここまで育ってくれた、18年間。
1年経って、やっと息子ロスに慣れてきたこの頃、もうすぐ父の1周忌を迎えます。


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