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ep20 松平参詣道

 2023年4月、村境トレイルを検索する前に訪れていた松平参詣道。村境から玉置神社へ行くには良いルートです。
 この道は、熊野から玉置神社へつながる祈りの道として古来から盛んに使われていました。現在は松平参詣道と言われますが、もともとは木ノ本街道と言われている様です。
 松平と言う名は、玉置神社のすぐ麓に松平集落があったからです。更に麓には玉置川集落があり、現在も生活されている方がいらっしゃいます。玉置川集落は(たまいがわ)と呼びます。しかし、地元の方は(タマキガワ)と言います。不思議ですね。

▶︎2023年4月松平参詣道活動記録

▶︎動画はこちら💁

⚠️以前は大丈夫だったそうですが、わんちゃんは境内に入れません。この時裏手から入ったので気付きませんでした。無知であった事、ご容赦ください🙇🐶

 この時出発したのは十津川村玉置川小学校・中学校跡。途中集落の神社(玉石神社)へ参拝し、松平谷に沿って登ります。
 ほとんどが植林された山で殺風景なのかと思っていたら、石積みされた幅の広い木馬道が残り、多くの美しい滝を眺めながら歩く事が出来ます。4月でしたが山ビルが足を登っていました。

西熊野街道再生プロジェクトイベント参加の様子
場所: 玉置川小学校・中学校跡
玉置川集落の神社(玉石神社)
石積みされた綺麗な道
松平参詣道沿いは美しい滝が多くあります


 1箇所谷を渡る場所があって、そこから松平集落跡まで急登が続きます。道沿いに石垣が見えてきたら集落跡に到着です。上り詰めた所には作業道が伸びてきていて、行き止まりが木材置き場だったのか、広場になっています。この作業道の延長線上が大峯奥駈道本宮辻となります。

 私の同級生で十津川村のマニアックな歴史に詳しいO氏が、その広場から古い墓に案内してくれました。薮になりかけた階段を登り、杉山を少し登ると大きな凹地があります。その少し上段に幾つもの墓石が並んでいました。お墓の近くにあった木は倒れ朽ちそうになり、暗く放置されている墓地ですが、同級生の話によると、これはお坊さんのお墓で、かなり位の高い人の名前もあるとの事。彼の詳しさに感心するばかりでした。

昔はそこから直接玉置神社へ登る事も出来たのでしょうが、今は道が崩れて行けないそうです。別の道は生きていて、最終的に玉置神社社務所の裏手に到着する事が出来ます。

集落跡の石垣
かつての社僧の墓がある

実際に歩いたルートは当方のYAMAPログにてご確認いただければ幸いです。

松平集落

 かつてこの集落は、玉置神社に最も近い集落として存在していました。現在は誰も住んでおらず、廃屋などを見ることもできませんが、石垣などの遺構が残っています。周辺は植林によって杉林になっていますが、遺構の規模を見ると、かなり広く集落や田畑が広がっていたと思われます。

先ほどの凹地は、奥の谷から水を引いてきた池だと思われます。かなり大きな物でした。

 明治時代以前、古くから神仏習合であった玉置神社は寺院による管轄下にありましたので、沢山の僧侶がいました。現在、玉置神社にある社務所はもともとお寺の建物でありました。
 前々回の玉置神社について少し触れましたが、十津川村は明治の初期、廃仏毀釈により神仏分離が押し進められました。もともと神道に熱い信仰があった村民です。神社を管轄していた僧侶(社僧)とは確執があったようで、これを期に十津川村から僧侶は居なくなりました。
 それまで松平集落には高牟婁院法王寺というお寺があって、多くの社僧が居ました。300人程の社僧が松平集落に寄宿していたといいます。今は杉林で覆われて山になっていますが、実際に訪れると納得の規模です。

松平集落が無くなったのはそう古くは無く昭和33年まで人が住んでいました。
こちらの資料もご参考いただければと思います

玉置神社社務所の裏に出る
立派な神社が目の前に現れる

玉置川集落へ戻る

下りは大峯奥駈道を通り別の道で玉置川に下りました。途中に犬吠檜という祀られた場所があります。犬は昔の狼の事です。
この辺りに住んでいた狼が、津波がやってくるのをこの場所で吠えて住民に伝えたという伝説の場所です。

犬吠檜

ここから少し下ると本宮辻に出ます。大峯奥駈道はこのまま真っ直ぐ本宮方面に向かいますが、玉置が集落へは途中まで舗装路を歩きます。
本宮辻からは松平参詣道や、行場である宝冠の森が見えます

右の尖った場所が宝冠の森


この辺りから竹筒に向かう道が分かれる

 松平参詣道とは違うルートですが、道普請がされていて歩きやすい道が続きます。村境へ復帰するには奥駈道を進めば大森山手前で合流することが可能ですが、南に位置する”甲山””太平多山”を通るルートを想定すると上写真の辺りで別のルートを下ることになります。

雪が降る間はこの辺りを見に行きたいと思っています。


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