婚活女、女の子にときめくの巻

あなたにとって現在の恋人、奥様、旦那様と付き合うと決めた瞬間はどんな時でしょうか。

その日のことを覚えていますか?


当時、わたしは20代後半。
じわじわ近づいてくる「婚活」の波。

特にこの頃は、婚活〇〇が多くやっていた頃。

テレビでも婚活パーティの話題、どうして今のパートナーと出会ったのか、など。


結婚というライフイベントに興味がなかったわけではない。
ただ、自分がどこかの男性と、子供を育てて穏やかに生きていくという想像が全くできなかった。


家庭に入らなければいけないのだろうか。
でも一人で生きていくのはなんだかいやだ。
結婚したら好きなように海外に行ったりできないんだろうか。


「何かに対する不安」ではなく
「何かを妥協しなければならない不安」がまとう。


そんな私の20代後半。

突然現れたのです、彼女ちゃんが。
(“彼女ちゃん”は固有名詞です)

10代の頃は笑えるくらい貧乏で、中高校時代の時は友達から牛乳をもらって生活をしていました。
学校に行かず、中高時代にできる商売をやって日銭を稼ぐ日々。

大学は泣きながらおじいちゃんに土下座をして、学費を貸してもらっていました。


そんな反動からか、20代になってお金が安定しだしたころ。
初めて行った海外に魅了され、どっぷりはまったのを覚えています。

私はとにかく気になったものはこの目で見てみたいタイプ。

行ったことない場所も、歩いてみたい場所も、食べてみたいものも
一度気になったら試さないと気が済まない。


そんなこんなで、10代の反動から世界を遊びまわっているうちに、やれ恋愛だのやれ結婚だのとは正反対と思えるほど遠い場所に自分がいたのです。

彼女ちゃんはちょっぴり変な子でした。


自分に自信があるのに、まったく自分を信用していないような子で
行動力があるのに、何もかもが面倒といった雰囲気。

うーーん、最近の若い子(と言っても一歳しか離れていない)ってこんなものかしら?と思うほど。

「月に一度飲みに行こうよ」
というお誘いがうれしくって、焼き鳥屋に行ったのを覚えてます。

当時の私はお酒がとにかく好きで。
人見知りも、アルコールが入ればなんとかなると思っていたタイプ。 

今思えばただのバカ者です。


彼女ちゃんとの話は楽しくって
でも緊張してしまってつい飲みすぎて。

あんまり後半の記憶がないまま初めての飲みは終了。


翌日届いた彼女ちゃんからの連絡。

「来週空いてる?」


月に一度って、こんなに早くくるものなんだ、と。


それからほぼ毎週のようにお酒を飲みに行くようになって

昼からも遊んだりして、とにかく休みの日は常に一緒。

彼女ちゃんから付き合おうという話になったときも、

「結婚したいからなぁ」なんて言いつつ、ほとんど結婚なんて考えてもいませんでした。


(今考えてみると、なんとも酷い回答だ)

ある日の夜、電話で話していた時のこと


「好きな人と出かけるのって、こんなに楽しいんだね」
と彼女ちゃんが呟いた。

またある日、電話で言われた。
「結婚する時までは一番の友達でいれたらうれしいな」


なんだか胸がきゅってした。
なんだろう、不思議な感覚。


たぶん、人生で女性を「そういう意味で」かわいいと思ったことは、後にも先にも彼女ちゃんだけじゃないだろうか。

こんなことを言うものなら、おそらく彼女ちゃんはすぐ「当たり前だろ」と言ってくるに違いない。


けれども、少し前になんとなくでも「婚活」を考えていた自分が。

よりにもよって結婚とは真反対に進むなんて、だれが考えただろうか?


もはや誰も分からないし、私にだって微塵も想像していなかった。


ただ、唯一思ったことは、
もしいつか彼女ちゃんがほかの人を選んで、結婚して、楽しそうに暮らしていくんだろうな。

と想像すると、それだけは嫌だなぁと思った。それだけ。


それだけの、とっても大きな理由だった。

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