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【じょんそん文庫 vol.004】色の心理学 編

デザイナーのみなさんは、言葉でデザインを説明する際のボキャブラリーをたくさん持っていますか?

自分で作ったデザインでありながら、なかなかうまく言葉で表現できない方もいるかもしれません。私自身もお仕事をしている中で、まだまだ語彙力が足りないなあ、言葉の表現がありき足りてるなあと思うことがあります。
特に配色に関しては、きちんとした根拠を持って色の選定をすることが難しかったりしますよね。

今回はそんな人たちの少しでもお役に立てる本「色の心理学」についてのご紹介をします。

『この本ではどんなことが書かれているの?』

この本は以下のセクションで構成されており、色の意味や色彩心理を日常で活かす方法について書かれています。

・イントロダクション:知っておきたい色の基本のキ
・第1章:色が教えてくれる本当の自分
・第2章:今の自分がよくわかるセルフワーク術
・第3章:上手に色を取り入れる方法

そもそもなぜ色が見えるのか?について科学的な説明から始まり、色彩心理を用いた日常の事例について紹介しています。色彩心理に基づいた実験結果も記載されているので、豆知識として楽しく読み進められます。そして以降の第1〜3章では、各色の意味について説明し、色を効果的に活用する方法について書かれています。

この本のある各色の擬人化・色彩心理による豆知識が面白かったので以下まとめてみます。

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擬人化:エネルギッシュで、生命力にあふれ、行動的であり活動的な人。義理人情に篤く大きな愛を持っている。その反面、とても熱くパワーがあるため、直情的で短気なイメージ。

色彩心理による豆知識:赤は、脈拍・呼吸数をあげる興奮作用があり、かつ自律神経や交感神経を活発に働かせてアドレナリンなどを分泌させ全身を奮い立たせる効果がある。そのため、赤一色の部屋に長時間いると暖かく感じ、時間感覚を早く感じることがある。

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擬人化:明るく陽気で社交性が高い人。また前向きで向上心があり、周囲に元気を与えられるようなイメージ。

色彩心理による豆知識:明るく活発なエネルギーを持ち、前向きな気持ちにさせる効果がある。また、橙色といえばミカン。ミカンと言えばたわわに実るイメージから団体への関わりを連想させ、ファミレスでは明るい団らんをサポートする色として多く使われている。

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擬人化:ユーモアがあり、知的好奇心の高い人。フットワークが軽いものの、ポジティブから一転してネガティブになる落差が激しい(恐らく光と影の印象からの連想)

色彩心理による豆知識:黄色といえば光を連想させるため、暗闇にパッとライトを当てたような明るさや希望のようなポジティブなイメージを連想させる。その反面、光と闇に別れるためネガティブイメージとの落差がある。また、イエロージャーナリズムという言葉があるように、軽薄や未熟さと捉えられることもある。欧米では黄色が太陽の色、中国では皇帝の色とされている。

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擬人化:存在感があり、自分の意思で物事を成し遂げていくことができる人。また、自尊心があり、自己価値を追求していける人でもある。ただ、プライドが邪魔になり周りを批判してしまう印象。

色彩心理による豆知識:ゴールドは昔から不変の象徴であり、永遠の輝きを表すため、昔は結婚指輪にゴールドが多く用いられていた。また、富・豊かさの象徴でもある。

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擬人化:協調性があり、周りの人に安心感や安らぎを与えることができる人。心のゆとりがあり、周りの人の相談を受けることが多いのも特徴。ただ、聞き役になることが多い中立的な立場。

色彩心理による豆知識:緑色といえば、植物の色。自然を感じさせる緑が安心やリラックスさせる効果がある。また、緑はgreen youth(青二才)、green age(若い世代)、green horn(初心者・騙されやすい未熟者)といった未熟の意味もある。

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擬人化:どんな環境でも、根気強く、こつこつと土台を築きながら頑張れる人。緑の協調性と黄色の明るさを合わせた性格であり、協力して物事を進められるリーダーシップがあるイメージ。

色彩心理による豆知識:緑と黄色の混色であるオリーブグリーンは、個人の象徴である黄色から調和を現す緑への懸け橋となる色であり、個人主義から集団主義への移り変わりを表したものと言われている。また、手間をかけてオリーブができることから、我慢強く成果を得るという意味合いもある。

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擬人化:衝動的な行動に走らず、常に冷静に落ち着いた思考・判断・行動ができ、自己探求ができる人。また、創造性が豊かで芸術的な才能を持った人が多い。一方で内向的なところがあるため、言いたいことを言えない側面があるイメージ。

色彩心理による豆知識:青は、内向性を表し、求心的で自分の内側に深く冷静に入っていく色。ブルーマンディー・マリッジブルー・マタニティブルーなどの憂鬱を表す色でもある。日本には古くから藍染めの技術があり、ジャパンブルーやサムライブルーとして青が多く採用されている。
パブロ・ピカソには「青の時代」と呼ばれる時期があり、自分の中の孤独や悲しみがキャンバスに青く染められているとされている。

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擬人化:自由でユーモアな遊び心を持った人。画一化された世の中でも、自分の時間を楽しむことでストレスを解消できる。また、フィーリングやインスピレーションを大事し、クリエイティブな才能に跳んだ印象。

色彩心理による豆知識:ターコイズは、青に少しの黄色を足してできる混色であり、南国の美しい海やイルカの色とも言われる。青の自由な創造性と内側を大事にする面を本質に、黄色の楽しさ・ユーモア・自我がプラスされるため個性的な印象を与える。

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擬人化:直感力に優れた人であり、一代で会社を成り立たせる豪腕社長のような人。また、厳格で秘密主義であるため、自分の内側に入り込む孤高の人のようなイメージ。

色彩心理による豆知識:ロイヤルブルーはイギリス王室の公式カラーであり、ブルーブラッドという言葉は血統の良さを表す。日本では、制服カラーでよく用いられ、抑制・厳格・服従の意味合いがある。また、宇宙をも感じさせる深い青であり、イギリス王室の石サファイアは古代より王族の装飾品として使われていた。

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擬人化:二元性をバランスよく組み合わせた包括的な思考を持ち、神秘的な不思議な魅力がある人。美意識が高く、芸術性・哲学・スピリチュアルなイメージ。

色彩心理による豆知識:紫は、赤と青という相反する性質が混ざり合ってできた色。情熱的で外交的な赤と冷静で内向的な青という複雑で包括的な思考や感情を表す。昔は紫の染料が高価であったため、高い身分の人しか切ることができなかった。また、不安や憂鬱を表し、狂気にも変わる色でもあるため死や別れ、悲しみ、不幸を意味することもある。このような陰陽の二面性からバランスをとろうとする自己治癒力にも関わる色として使われることもある。古代エジプト・古代ギリシャ・古代インドでは心身の治療によく使われていた色でもある。江戸時代の日本では、紫が邪気をはらい、魔除けになるとも信じられていた。

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擬人化:愛情深く、慈悲深い人であり、日常の小さなことでも幸せを感じることができる人。日本人のようなおもてなしの精神で、心配りができる反面、完璧を求めて頑張ってしまいがちな印象(赤+ピンクからのイメージ?)

色彩心理による豆知識:マゼンタの色名は、クリミア戦争の激戦地であったイタリアのマゼンタに由来する。その当時、マゼンタ地方の石炭を原料に赤紫の染料ができ、マゼンタ地に流された多くの血・命を想って合成染料の色をマゼンタと名付けたとされている。赤の強いエネルギーと、紫の慈悲・奉仕・癒しの効果があるとされている。また紫のような色は、プリズムによる色のスペクトルで見える波長には存在しない。

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擬人化:女性性が豊かで、おおらかな優しさがあり、思いやりの深い人。世話好きな人が多く、好意を受け入れてもらえないとひがみっぽくなってしまう印象。

色彩心理による豆知識:ピンクは愛の色であり優しさの色。子宮内壁の色とも言われており、母親のような優しさ幸福感を感じさせる色でもある。
アメリカの刑務所では、無機質な壁をピンクに塗り替えたところ、気の荒い暴力的な囚人がみな大人しくなったという実例がある。

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擬人化:家族や仲間を大切にする愛情深い人。繊細で美的感覚があるが、周りの環境によっては傷付きやすいイメージ。

色彩心理による豆知識:コーラルは珊瑚の色とも言われ、仲間が寄り添って生息するイメージから仲間を大切にする愛情深さを感じさせる色。赤(ピンク)と黄色の混色であり、子供のように自分の愛の存在価値を求めるようなイメージでもある。
パブロ・ピカソの絵には、「青の時代」の次に「ばら色の時代」と呼ばれる時期があり、恋人のフェルナンド・オリヴィアとの日々を、ぬくもりが感じられる赤くピンクがかった色調で描かれている。

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擬人化:純粋で何色にも染まれる柔軟性がある人。その一方で、汚れたくない警戒心・緊張感・強迫観念があり、完璧主義な一面がある印象。

色彩心理による豆知識:白は純粋無垢の象徴。清潔感があり、無から生み出される真新しさを表す色である。また、白は全ての光を反射した色であり、ニュートラルにあらゆる可能性を感じさせる色でもある。白のウエディングドレスを着ることは、花嫁の処女性や清らかさを表している。古来の日本では、白は神聖無垢な神の色とされ、白蛇・白酒・白鶴などの言葉にも同じ意味合いがある。

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擬人化:何色にも染まらない確固とした強さや信念がある人。意思が強く、弱い自分をあまり見せないイメージ。

色彩心理による豆知識:黒は闇の世界であり、恐怖や死を表す。光が希望であるのに対して、光のない黒は絶望を意味している。黒色のカラスは不吉を表し、生の否定の象徴である。また、重厚感があり、重さの錯覚を感じさせる色であるため、他の色をいっそう際立たせる効果がある。

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擬人化:落ち着きがあり、控えめな人。どっちつかずの印象でニュートラルな立ち位置である印象。

色彩心理による豆知識:グレーは白と黒の混色であり、白と黒の濃度によってポジティブにもネガティブにも捉えられる。アスファルトやコンクリートの色のため、その無機質さが都会的でシックな印象を与える。西洋では鮮やかな色が好まれるが、江戸時代の日本では奢侈禁止令により鼠色が多く利用された。

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擬人化:周りの人に安心感を与えられる包容力のある人。忍耐力があり、堅実にこつこつ頑張れる人。

色彩心理による豆知識:茶色は大地の色であり、いろいろな色が混ざり合ってできた色でもあるため、複雑な要素を含んだ落ち着きさを感じさせる。また、大地は確固たる土台であるため、堅実な精神・保守的さをも表す。

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今回は以上の17色を紹介してみました。

この本はカラーセラピーの紹介などあったりして、オカルトっぽい表現が少し気になったが、初歩的な各色のイメージが持てるからちょっとは参考になったかな。
大切なのは色のイメージもだけど、どの色との組み合わせが綺麗に見えるのかも大事なのかも。

参考文献
佐々木 仁美(2016年)「色の心理学」枻出版社

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