阪神の躍進と転落の裏にあるもの

交流戦前まで快調に首位を走っていた阪神が交流戦で負け越すと、リーグ再開後のDeNA戦で3連敗を喫して首位から転落した。

それまでファンを楽しませていたドンデン節も一気にトーンダウン。記者の囲み取材をしなくなってしまった。いい時だけメディアにでて、負けが混むと黙り始める。いかにも古いタイプの指揮官のやりそうなことだ。

しかし、こんな岡田彰布監督の振る舞いは想定の範囲内だ。そもそも、今の時代に来て60歳を超えた指揮官の就任はそうした古き良き時代への回帰もある。

若い選手が多い今の阪神にあって、厳しい指揮官の1人に数えれれる岡田彰布監督は今の時代にそぐわない指揮官とも言えるかもしれない。しかし、希望を見出すとしたら、こういう厳しさが瞬間風速的に生きることもあるのだ。

実は筆者が岡田阪神に期待したのはそこだ。実は今季開幕前の順位予想において、阪神を優勝に挙げている。

ただ、一つ注釈がついている。

優勝するとしたら「今年」というものだ。

なぜか。そもそも、昨季までの阪神は緩かった。
前監督の矢野燿大さんがそういうスタイルで、選手たちを下の名前で呼んだり、ベンチではしゃいだり、ホームランの際にはメダルをかけたり。ゆるっとした雰囲気が昨季までの持ち味の一つだった。

しかし、ただ緩いだけでは勝てないということがわかったのも事実だった。

そこで岡田彰布の就任である。

岡田監督は選手を殴ったり、恫喝したりするわけではない。起用法に関して厳しく、結果が出ない選手をスタメンから外したり、メディアの前で酷評したり容赦がない。

ただ、それは野球が大好きで、阪神が大好きで、純粋に野球を見るというスタンスが基本にあって思ったことを口にしてしまうだけなのだ。

岡田監督に他意はない。阪神が負けたことが悔しくて仕方なく言動に表出ているだけなのだが、彼は指揮官であるため、ある一定の緊張感が充満するのだ。

昨年まで緩かった阪神にとってはそれは必要な緊張感だったかもしれない。

それが開幕からの順調なスタートに現れていた。
のびのびしすぎていた選手たちが引き締まった。そのことによってプレーに責任が生まれ、個々が能力を発揮し始めたのだ。勝っていたから好循環を生み出していた。

ところが、交流戦を境に転げ落ちていく。
今までの好循環が転じていくと指揮官の厳しさはダイレクトに選手たちに伝わった。そもそも、彼の言動は難しすぎる側面がある。テレビのインタビュー聞いていても時折感じるが、言葉の意味を解読できない。

説明が雑で『わかるやん』でまとめる。
記事などでは記者も意味がわかっていないのは明らかで、おそらく選手たちも指揮官が本当に伝えようとしていることの意味が理解できていないのだ。

そうして、監督との距離が離れていく。気がつけばメディアに選手の酷評が掲載され、選手は萎縮を始めるのだ。

それまではおかしな指揮官の言葉は勝っているから面白く伝えられた。しかし、負け始めると意味不明。緊張感ある指揮官の采配も悪循環に向かっているわけである

今後、岡田監督が変わることはないだろう。

この緊張感に打ち勝てるか。
それ次第で、また浮上することも十分にあり得るし、沈んでしまうことあるだろう

若虎が踏ん張るしかない。

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