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オンデマンドエコノミーにより生まれる次世代飲食店4つの特徴

こんにちは。株式会社Mobile Order Labの肥田です。
このnoteでは「オンデマンドエコノミーと次世代飲食店」について考察をします。

デリバリーが当たり前になった世界で飲食店経営はどう変化するのか、考えていることをお伝えできればと思います。

オンデマンドエコノミーとは

オンデマンドエコノミーとは、オンデマンド・サービス(OnDemand Service)が提供されることで生まれる経済圏。※オンデマンド・サービスは、必要なときに、必要な商品やサービスを、必要な場所に15-30分で届ける、需要に応じたサービスのこと。

この言葉を有名にしたサービスとしてUberやDoorDashが挙げられます。

これらは、アプリで好きな時間・場所でタクシーを依頼したり、食事のデリバリーを依頼でき、15−30分という短い時間でサービスを受けられる点でオンデマンド(=即時)エコノミーと呼ばれています。

日本のデリバリー市場動向

日本でも、デリバリー市場においてオンデマンドエコノミーのプレーヤー参入が相次いでいます。

特に、2021年はデリバリー・テイクアウトサービスが増加しており、数年前はUber eats、出前館くらいだったのが、今年に入ってmenu、Wolt、Foodpandaなど様々なサービスが存在感を増してきています。

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実際、後発で日本に参入しているwoltは、郊外から進出する戦略で、アメリカのDoorDashがとった戦略と似ています。
現在は、Uber Eats、出前館の存在感が強いですが、前回の記事でも考察したDoorDashのように、デリバリープラットフォーマーのシェア率は今後変化する可能性が高いです。

また、日本の外食産業に占めるデリバリー率の割合は1%。16%の中国や4.5%のアメリカと比較しても低く、まだ伸び代がある状態です。
仮に、中国と同等のデリバリー率まで成長すると、2025年には3.7兆円の市場規模になり、とても大きいポテンシャルがある市場だとわかります。

※もちろん、ギグ・エコノミーの発達度合いや、街の密集度など国によってデリバリー市場がどの程度成長するかは未知な部分があります。

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各飲食店は、デリバリー前提のビジネスモデルに参入

もちろんコロナ禍も一つのきっかけにはなりましたが、こういった背景からデリバリー市場の競争過熱化は、ゴーストレストランだけではない参入を可能にしました。

下記画像は、それぞれのビジネスモデルを「自社運営有無」「自社ブランド有無」の2軸に分けて整理した図です。※前回の記事参照

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簡単にですが、各社の取り組みを紹介したいと思います。

■インフルエンサーを起用

ゴーストレストランで、インフルエンサーを起用したブランド展開が始まっています。

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・大庄グループはYoutuberのMAX鈴木とコラボ
ギルティ飯という新しい業態のゴーストレストランを展開。アメリカのMr.Beast Burgerの事例のように、短期間で253店舗まで広がっています。
・ワタミはテリー伊藤とコラボし唐揚げ業態を展開
こちらはゴーストレストランではありませんが、テリー伊藤氏の知名度を積極的に使うことで、順調に店舗数を伸ばしています。
デリバリー市場との相性も良く、今後さらに店舗数を増やすのではないでしょうか。

■バーチャルレストランの出現

コロナ影響を受けて、バーチャルレストランも広がっています。
「TGAL」という会社がカンブリア宮殿に出たことで、バーチャルレストランの存在の認知が高まりました。

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・TGALとは
TGALは「ブランドを全国に広めたいオーナー」と「非稼働のキッチンを利用し、売り上げを確保したい飲食店オーナー」をマッチングさせるビジネスモデルです。
ブランドオーナーは、出店費用を出さずに全国展開でき、一方で、飲食店オーナーは、ブランド力の高い商品の取り扱いができるため利益を上げやすいという、双方よしになっているところが特徴にあります。

■ゴーストレストランによるセカンドブランドの展開

既に知名度のあるブランドや、企業が自社の強み(仕入れやブランド力)を活かし、同店舗でデリバリーに特化したブランドを立ち上げる動きが活発になってきています。

・スシローの「絶品丼」
デリバリー用にどんぶりを開発し、ユーザーに提供。絶品丼として高級ネタを美味しく食べられる、セカンドブランドを打ち出している。
・串カツ田中の「串カツカレー」
串カツカレーは、30代のサラリーマンをターゲットに。串カツ田中に普段から来店するサラリーマンと、飲み需要とは異なるシーンで接点を持つことで、ターゲットのLTVをあげようとしてると考えられます。

デリバリー市場から即時EC市場へ

上記のように、家に届けられることを前提とした商品やブランドが充実することで品揃えが充実し、カスタマーにとっても魅力が増してきてるのではないかと考えます。そして、デリバリープラットフォーマーは次のフェーズに入ろうとしているとも感じます。

それは、30分以内にあらゆるものが届く、即時ECの領域です。

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Amazonの物流インフラへの投資は、あらゆるものを翌日に配送する翌日ECのマーケットを作り上げました。この10年で、信じられないほどあらゆる種類のものが次の日には届くことが当たり前となりました。

彼らは、ドローンへの投資などを通じて、その日のうちに配達する即時ECに取り組んでいましたが、Uber EatsやDoorDashなどのデリバリーサービスは、ギグワーカーを活用して30分以内に物を届ける、デリバリーネットワークの構築にいち早く成功しました。

アメリカでは、DoorDashがMacy’sと提携して洋服のデリバリーを始めています。日本でもUber Eatsやmenuがコンビニと提携して、日用品のデリバリーを始めています。

Doordashも店舗密度やカスタマーの利用頻度の観点からフードデリバリーから始めましたが、ローカル市場への広がりにより即時ECマーケットに参入すると発言しています。

即時ECはどう実現するのか

ただ、この即時ECのマーケットを普及させるには、配達料金の高さがボトルネックになってきます。

実は、デリバリープラットフォーマーが負担している配達コストは重く、ほとんどが手数料に上乗せされている状態です。

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2016年ですが、アメリカの出前館と呼ばれているGrubhubの決算資料を見ると、自社配達・配達代行モデルでGrubhubの取り分は変わらないことがわかります。

・自社配達モデル
レストラン側の手数料:15%
1注文あたりのGrubhub利益:$3.4
・配達代行モデル
レストラン側の手数料:32.5%
配達員への払い出し:$6.5
1注文あたりのGrubhub利益:$3.4

皆さんもUber Eatsなどで注文しようとしたときに、「配達料金高いな・・・」とためらったことは一度ならずあると思います。

そこで注目されているのが自動運転です。

アメリカのARK investによると、自動運転の実現によりタクシーの料金は8割下がると予想しており、劇的な物流コスト削減が見込めます。

自動運転というとまだ実現可能性に乏しいイメージがありますが、アメリカではすでに実用化が始まっています。
ソフトバンクビジョンファンドが投資しているNUROというスタートアップは、運搬専用の自動車を提供し、既にドミノ・ピザやウォルマートと契約が終わっており、近い未来配達コストが大幅に下がる可能性があります。

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オンデマンドエコノミーが変える飲食体験

このようにデリバリー市場におけるオンデマンドエコノミーは、即時ECマーケットの構築という意味で人々の食体験を変える可能性を秘めています。

具体的には、下記のような飲食体験に変化していくと考えています。

1.より近く・コンパクトに
30分以内にどこでも外食ができる体験に慣れると、「早い・安い・うまい・出来たて」というユーザーニーズの当たり前基準が上がっていく。
その結果、ユーザーの商圏が近く・コンパクトになる。
2.デジタル前提
全てがアプリで完結するため、食事の注文もメニュー表を開くのではなく、アプリでワンタッチで注文することが当たり前になる。
また、今までの注文傾向からその人に合わせた食事のおすすめも、アプリでできるようになる。
3.食の地域格差がなくなる
例えば、東京で有名なお店が全国にチェーン店化するには莫大な投資コストがかかるが、バーチャルレストランは、上の事例のように低投資で店舗展開が可能なため、東京でしか食べられるものの価値がなくなるかもしれない。

次世代飲食店4つの特徴

このように、デリバリー市場・即時ECが立ち上がることで飲食店は次世代の経営手法に変化していくと予想されます。

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個人的に、これらが今後の次世代飲食店における経営のキーワードになっていくと考えています。

「より近く」
即時ECにより、提供時間の短縮化に慣れたユーザーは、より「早い・安い・うまい・出来たて」を求めるようになる。店舗はよりお客様の近くに店舗を構えることで、これを実現しようと考える。
「デジタル前提」
アプリ経由の注文が増え、今より顧客志向・データドリブンによる経営改善が求められるようになる。
「キッチン中心の店内」
デリバリーメインの飲食店では、ホール>キッチンから、キッチン>ホールの広さとなる。
「複数ブランド」
バーチャルブランドの普及により、1店舗で複数ブランドの運営が当たり前に。ピーク帯(朝・昼・夜)が異なるブランドを運営することで、キッチンや人の稼働率をあげ、より利益が出やすい構造を目指す。


株式会社Mobile Order Labでは、このような食体験が変化する可能性を持つデリバリー市場に魅力を感じ、Ordeeというサービスを通じて、少しでも食体験の価値向上に貢献したいと考えています。


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