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【飲酒運転根絶】のためのアルコールに対する正しい理解

●はじめに

自動車運転免許をお持ちで、尚且つお酒好きの方にお尋ねしたいのですが、
そもそも「飲酒運転」とは何か?正しく説明することができますか?
ご自身が飲酒運転には全く関係がないと言い切ることができるでしょうか?

明らかに誰が見ても分かる酒類(ビールや日本酒、洋酒、ワイン、焼酎など)を全く飲まなくなった立場から強気な発言となる可能性も感じつつ、この記事は、アルコールに対する誤った認識が原因で引き起こしているかも知れない飲酒運転防止のための入り口にあたる話題であろうと、文字として残すことにしたものです。

飲酒運転に対して明確な一線を引け、かつ正しい知識と判断によって軽率な過ちを起こさない強さ(護身術)を手に入れることを切望します。

可能な限り最小限の範囲に絞り簡潔さを目指して記しています(全3,800文字、6~7分程度の量です)。

どうぞ最後までお目通しをいただければ幸いです。

●そもそも飲酒運転って何?

飲酒運転とは、たった一口でも(場合によっては一滴でも)体内に摂取した状態で車の運転を行う行為をいいます。

飲酒検問などにおいて、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15(mg/L)であるかどうかが問題となりますが、この数字は検挙対象となる基準ということであって、例え0.15以下の0.14、0.13~0.1であっても飲酒運転であることに変わりなく、直ちにご自身でそのまま車を運転することは許されません。
運転代行を呼んで帰宅、または目的地へ行くか、頼れる方への迎えの依頼が必要になります。

「酔ってないから大丈夫」という自己評価(診断)は全く効力や主張の意味はなく、先ずは呼気検査によるアルコール濃度の確認、さらに警察官との受け答えや歩行状態などの確認によって、酒気帯び運転か酒酔い運転かの判断がなされます。

アルコール濃度の数値だけでみれば、0.25(mg/L)で恐れるべき酒酔い運転の判断となりますが、注意しなければならないのは、個人の身体的なアルコールへの耐性(処理能力)によっては、ほんの少量の飲酒であっても警察官の見立てによっては、酒酔い運転と判断されるケースがあることです。
ここが怖い。これまでの理解にはなかったことではないでしょうか?
また、例え1%でも微量のアルコールが含まれているドリンク剤などによっても、飲酒時の状態で見られる眠気などを誘発するおそれがありますので、やはり少量微量だから大丈夫という理由には全く繋がらないということになります。

●なぜ少量であってもアルコール摂取が飲酒運転としての扱いとなるのか?

運転技能に影響を与える呼気中のアルコール濃度(mg/L)が分かっていて、ほんの僅かである0.025でも注意力や集中力が散漫になってしまいます。また、検挙基準となる0.15では適切なハンドル操作ができないことが周知の事実です。
さらに0.20を超えると泥酔者に見られる視線を固定できない状態に陥り、
0.25に至っては法遵守の意思も欠如、思考能力が崩壊してしまう状態となります。
これらの状態で車を正しく走行させることなど不可能であると、素面の段階では十分に理解することができるかと思います。
例え少量であってもアルコールを摂取することにより、脳機能が麻痺し始めて思考も認知も判断もそして行動も緩慢となる状態を恐れられているのです。


既に分かっている運転技能に影響を与える呼気中のアルコール濃度(mg/L)

①注意力、集中力に影響:0.025
②反応時間に影響:0.1
③追従能力に影響:0.1
④周囲への注意、気配りに影響:0.1
⑤ハンドル操作に影響:0.15
⑥視覚機能(視線の固定が困難):0.2
⑦規則遵守能力、意思の欠如、思考能力の崩壊:0.25

※酒運転防止マニュアル(日本損害保険協会)を参考に数値を引用

「事故さえしなければいい」とお考えの方もいらっしゃるかも知れません。確かに事故はあってはなりませんが、どの程度の飲酒量(体内のアルコール濃度)なら大丈夫だと線引きすることができるでしょうか?

ただでさえ不測の事態に備えて注意を巡らせなければならない運転能力(運転技能)が求められるのに対し、仮に0.025(mg/L)であっても大切な注意力や集中力が損なわれるのですから、例え僅かでも、これなら「絶対に大丈夫」と言い切ることはできないはずです。
これでも未だ検挙さえされなければ、少し位の飲酒は安全だと断言することができるでしょうか?

●アルコールは脳の機能を麻痺させる

悲惨な事故の加害者となり、その後の人生を狂わせた方々は異口同音にして「少し位」、「この程度なら」、「一杯だけなら」、「直ぐそこまでだから」と身勝手で甘く誤った判断しかできない状態に負けてしまっています。
悲しいかな、酔って脳機能の麻痺が始まっている段階では、本来の正義感も理性も細々とか弱くなってしまいます。

「数時間ぐっすり眠ったから」、「サウナで汗を流したから」、「二日酔いを感じはするが、いつものことだから」と安心してしまう方もいらっしゃいますが、結論的には全てNGです。飲酒運転の状態だということができます。
見落としがちなのは、眠っている時にはアルコール処理能力が低下するため、長時間の睡眠を確保したから大丈夫だという根拠はないのです。
厚生労働省が推奨する適正な飲酒量、すなわち純アルコール量(20mg)を肝臓で処理するには約4時間が必要となります。例えば3倍の60mgの純アルコールを摂取した場合には、12時間(半日)は肝臓が分解処理し切れず体内にアルコールが残っているということになります。
この機会に、純アルコール量(20mg)1単位を含む酒類の目安を覚えておき、常に意識できるようになることをオススメします。


●汗や排尿による効果は期待できない

アルコールの分解処理は肝臓が90%を負担しており、汗や尿などのによる対外への排泄はたった10%程度なのだと知る必要があります。誤った認識の方は、今日を機会にしっかりとお考えを改めていただきたいと思います。


●おさらい

アルコールに対する理解が曖昧なこと、感覚的な思い込みのことなど、意外なことを多く感じることができたでしょうか?
これまでの理解とのギャップが大きければ大きいほど、認識を改めていただける絶好の機会になると思います。

認識し直したい大切なポイントを列挙してみました。今一度、思い返してみましょう。

①一口(一滴)でも飲酒運転となる
②呼気検査で0.15(mg/L)が酒気帯び検挙基準
③0.15(mg/L)未満の少量でも飲酒運転(直ちに運転禁止)
④0.15(mg/L)未満の少量でも警察官の見立てで酒酔い運転となるおそれ
⑤0.15(mg/L)でハンドル操作に影響する
⑥アルコールによって脳機能が麻痺する
⑦厚生労働省による酒類の適正摂取目安
⑧純アルコール1単位の分解処理に4時間を必要とする
⑨汗や尿に頼れるアルコール排出は10%(肝臓負担90%)
⑩眠っているとアルコール分解処理機能が低下する

●おわりに

飲酒運転の根絶を願う方々と会話を共にすることが、高い意識を維持しながら具体的な対策への工夫と努力を行える秘訣だと感じます。
お酒の席、お酒が絡む場面では、飲酒の前後において高揚感によってどうしても大きな気持ちになりがちです。
そんな場面でも判断どきにしっかりと背筋を伸ばして襟を正した結論を出し、そして安心安全な行動に移せるかが大事なことだと思うのです。
交通事故の発生要因は、道路構造によるもの、車両の仕組みや機能によるもの、そして運転者である人的なものの3つをあげることができますが、飲酒運転による事故は敢えていうまでもなく最後の人的要因であることはお分かりいただけることでしょう。
だとすれば、予測困難な天災的な不可抗力に対峙するよりは、手の内で随分と容易く対処できるはずだと言い換えることができます。
飲酒運転はうっかり過失なのではなく、分かっていて罪を犯す故意犯と呼ばれることを鑑みれば、「まぁいいか、このくらい」という判断をしなくなることで、いとも簡単に飲酒運転そのものを防止することができるはずなのです。

飲酒運転によるトラブルや事故は運転者次第、そして関係する周囲の人次第でゼロを目指せるものと信じています。
徹底した飲酒運転の根絶のためには、さらに広範に渡って意識を向けることも必要となりますが、先ずは入り口にあたる最低限の基本をしっかりと心に刻む必要があると考えます。

最後までお読みくださりありがとうございました。アルコールの怖さを知る一方で対処の簡単さもご理解いただき、これまでの理解とのギャップがあったとすれば、ご認識を改めて頂く機会となれば嬉しい限りです。

どうかご一緒に、飲酒運転の根絶を目指しましょう。
先ずは、ご自身の正しい認識の確認から。

※画像はPixabayのEngin AkyurtによるものにCanvaでテキストを加えたものです。

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その他(先に後悔する思考)

以上です。
飲酒運転に陥らない安全運転を願っています。

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