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あの頃、君を追いかけた② ⚠︎ネタバレあり

  早速、日本版映画「あの頃、君を追いかけた」ブログ第2弾!
  ネタバレありなので、映画を見てからぜひお願いします!

   

浩介と真奈

  上の写真、この映画で特に好きなシーンなんですよね。浩介と真奈を表している感じがして。
 2人がお互いを認めつつ、でも浩介は自信満々に振る舞っていて、それに対し真奈はあまり見向きもしない。というか、受け流す。微笑ましくなるんです。
  この2人の特徴は、手も繋がないこと。恋愛映画であるのに!2人が触れるのは、台湾での大学生時代のデートシーンで体で押し合いながら(?)歩くところのみ。
 これ、私トマト的にはなかなか衝撃だったんです。
 他は、真奈が青いボールペンで浩介の背中をさしたりするだけ。7人での海のシーンも浩介は真奈に直接水をかけない。真奈の結婚式でも新郎にキスはするけど、真奈にはしない(このシーンも激アツ!)。
 徹底して触れ合わないんですよね。

  そうすることで、真奈の結婚式での新郎はのキスやパラレルワールドでの涙を拭いたり、キスをする重さが増す!!
   そして、お互い気持ちを直接言わない。
「付き合って」という言葉を言わないんです。
浩介→真奈 は、
勉強を頑張ること。You are the apple of my eye.とリンゴを描いたTシャツを渡すこと。格闘技をすること。物語を書くこと。
真奈→浩介は、
テストを作ること。Tシャツを着てくること。ポニーテールにすること。「恋してくれてありがとう」という言葉。
などなど。
  全部間接的なんです。でも、お互いが惹かれあっているのがとても伝わる。そういうのって中々現実ではできないことで、素敵だなと思います。

浩介の気持ち


浩介って、言語力に長けていると思うんです。
後に小説を書くし、英語の単語にもすぐ反応する。デートの待ち合わせでも難しそうな本を読んでいて。
途中で出てくる「パラレルワールドを信じるか」「胸を打たれるね」というセリフ。
なかなか出てこないと思うんです。
数学は苦手だけど、言語は得意。
だからこそ、真奈の告白に対する気持ちを聞けなかったのかなと。
浩介はだんだんと真奈に惹かれていって、真奈も然りなのですが、
浩介と真奈は結構逆のタイプ。
真奈は数学が得意で言葉にするのはちょっと苦手だと思うんです。
真奈は言葉にしないで行動で表すけど、
浩介は言葉に長けているから真奈の気持ちに気づけなくて自信を失ってしまう。
そして、浩介独特というか、男子の独特の気持ちが真奈には伝わらない(格闘技で強くなってとか)。

言語力に長けているからこそ、相手の本心が分からなくて怖くなり
肝心な時に言うことができない。
自分で真奈も自分が好きと確認するまでは、真奈の気持ちを聞けない。
どこが好きなの?と言われても「ただ好き」となる。ただ好きな気持ち、すごく分かるんです。
全てが好きだし、そこに理由なんか要らない。
でも、数学が得意な真奈には、キッチリした何かがないと伝わらなかったのかなと。
そして、浩介は最初から全てをさらけ出していると思っていて。
自分の弱いところも。
たぶん、他の人もそうだと思っていて
だから真奈のまるっと全てが好きだと言う。
弱いところをあまり表に出さない真奈の気持ちが、
伝わらない。
ちょくちょく不器用なところが出てるんですよね。
可愛らしいところが。
最後の結婚式のシーンで「これからも幼稚だ」と伝えることが、浩介の最高の祝福であり、想いだった。
そこで「約束よ」と返す真奈も好きで。
今まですれ違ってしまっていたけれど、このやり取りで、2人には全てが伝わっている気がするんです。

真奈の気持ち


 
 この物語、浩介の「たかが10年の片思い」というサブタイトル?があるんですが、真奈にとっても片思い状態なんですよね。
 浩介の想いは真奈に伝わっていて、
でも、ただ好きと言われて
医者の家系で兄ふたりも優秀で、
自分に自信の無い真奈は疑ってしまって。
真奈も浩介が好きだけど、浩介が自分の何に惹かれたのか分からない。
だから、幻滅させてしまうかもしれない という気持ちが勝ってしまう。
だから、自分から付き合ってとは言えなくて。
灯篭に書いたり、Tシャツを着てポニーテールにしてくることで表している。
詩子に話していたように、浩介に言って欲しかったんだとおもう。
でも、返事をしようとしたら今じゃなくて良いと言われてしまって。
格闘技で何をしたいのか分からなくなって。
浩介の中の2つの人格が、本当はどっちなのか分からなくて。
付き合いたかったけど、言葉にはならなかった。

でも、大学で後の新郎と付き合っている時の地震で、あの時みたいなお月様を見ながら
浩介に「恋してくれてありがとう」
と言って、パラレルワールドの付き合っている自分たちを「うらやましいな」と言う。
この真奈は本心で。
ここまでは浩介を引きずっていたかもしれないけど、パラレルワールドの話があったことで、真奈は浩介より早く大人になって吹っ切れたのかなと。
恋 から、愛情(友人としての)に変わったのかなと。
でも、愛情といっても他の男子とは違う、友情よりは愛に近い気がしていて。
結婚の話を真っ先に伝えることもそうだけど
浩介が特別な存在なのは変わらないなと。

真奈にとっても浩介は、
「You are the apple of my eye.」
なんだと感じれて。



この物語では結ばれなかった2人だけど、
最後の2人は清々しい表情をしていて。
ハッピーエンドかバッドエンドか意見が分かれるところだと思うのですが、
2人にとってはハッピーエンドだったんじゃないかと。

そして、この物語は視聴者しか全てを知らないんですよね。
そこが好き!
浩介は真奈が灯篭に「好き」と書いたことを最後まで知らないし、
真奈は浩介が「お前が好きだー」と叫んでいたのを知らない。
詩子が浩介を好きだったのは、真奈しか知らないだろうし、
他の4人も然り。
全てを知れるのは私たちだけで。
でも、本当の全てを知っているのは本人だけで。
実話だからこその面白さというか、
現実もこんなものだよねっていうのがあって
構成がとても好きなんです。


 








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