見出し画像

雪解けアルペジオ【毎週ショートショートnote】

奏でられるアルペジオを聴きながら、玲奈は外を見つめた。

寒い冬が終わる。
雪が溶けたら、いよいよ卒業だ。

玲奈が県外の高校に行くと決めた時、一番寂しがったのは、隣のさくらだ。
幼馴染のさくらとは、ずっと同じフォークソング部だった。
二人の間には、いつもギターがあった。

「うちの高校、フォークソング部あるかな」

玲奈がつぶやくと、アルペジオがぴたり止まった。

「ないなら、作りなよ。」

__だから、ギターやめないでね。



さくらとの約束を思い出しながら、玲奈は川沿いを歩く。
向こう岸の桜が、舞い踊っている。

明日の入学式に向けて、学校までの道を確かめていた。
ついでに制服も腕を通した。


ふと、アコギの音が聴こえた。
定番「さくら」ソング。

見ると、女子高生が川向こうめがけて歌っていた。
同じ制服、きっと先輩だ。


玲奈は思わず話しかけていた。

「その曲、私も好きです!」

先輩は勢いよく振り返った。
桃色のギターだ。珍しい。

「私もギターやるんです!先輩、何部ですか?」

先輩は、にっこり笑って、こう名乗った。

「フォークソング部部長、___!」

_____________

(459字)

なぜか、二個とも書いてしまって、なんだか似てしまって。
それならもう、つなげてしまおう。
と思ったら、こんなことになりました。

対の作品を読むと、片方では知りえなかったことが分かる、みたいなのってお得感があっていいですよね。
実際に作るのは、難しいんだなあ・・・。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?